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コラム vol.240-3
  • 土地活用法律コラム

土地活用・不動産投資におけるトラブル第3回 賃貸住宅管理におけるトラブル

公開日:2018/06/29

POINT!

・トラブルが生じた場合、ご入居者募集業務を行っていた不動産管理会社にその責任を追及するのは基本的に難しい

・リスクを回避するには、信頼できる不動産管理会社を選択する

賃貸住宅経営において重要なことは、ご入居者を入居させ、かつ、高い稼働率を維持すること、そして、適時かつ適切な修繕等を実施することにより、資産価値を維持すると共に、快適な生活環境を維持すること、などです。
これらがうまく循環している場合には、安定的な賃貸収入を見込むことができますが、これらを一度失敗した場合には、悪循環に陥り、深刻な事態に陥ることがあります。

    

1.賃貸住宅管理の方法

  1. 賃貸住宅管理の方法としては、大別すると
    • 【1】賃貸業務に係る全ての業務をオーナー様自らが基本的に行う「自主管理」
    • 【2】オーナー様が不動産管理会社に一括して管理業務を委託する「管理委託方式」
    • 【3】オーナー様が不動産管理会社に賃貸住宅を一括して賃貸し、当該不動産管理会社がご入居者と契約を締結する「一括借上方式」
    の3種類があります。
  2. 【1】の自主管理は、オーナー様自らの費用と責任において、ご入居者の募集から退去処理、建物のリフォーム等を全て行うことになるため、当然、賃貸住宅経営や不動産管理等について知識経験がないと、うまくできるものではありません。また、これらの業務に時間を割かれることになりますので、副次的な業務というよりは、ある程度専従する必要があります。つまり、気軽に不動産投資をしようと思う方には当然向いていません。
  3. 【2】の管理委託方式は、ご入居者の募集・契約行為、建物の日常管理、賃料の回収などについて、不動産管理会社が代行等することになりますが、対ご入居者との関係では、オーナー様が責任を負うことになります。そのため、ご入居者等の契約手続は不動産管理会社が代行しますが、契約締結当事者としてはあくまでオーナー様が賃貸人となり、最終的なトラブルに対して、オーナー様自身が矢面に立つことになります。
  4. 【3】の一括借上方式は、不動産管理会社が一括して賃貸住宅を賃借し、それをご入居者に対して転貸する形になるため、オーナー様はご入居者に対して直接契約責任を負うことはなく、当該不動産管理会社が自己の責任と費用でご入居者とのトラブルに対処するのが基本となります。
  • 【サブリース会社による一括借上げ計画における注意事項】
  • ○賃貸住宅を賃貸する場合、借主(サブリース会社を含む)による一定の条件があります。
  • ○賃料は、契約開始日以降、賃貸借契約に基づき一定期間経過時およびそれ以降も契約に定める期間が経過するごとに、貸主借主協議の上、賃料の改定を行う場合があります。
  • ○また改定時期にかかわらず、物価・経済状況の変動や近隣賃料の著しい変化等により賃料が不相当になった場合も、貸主借主協議の上、賃料の改定を行う場合があります。
  • ○賃料改定の協議が、賃料の改定期日以降に整った場合は、改定期日に遡って改定されます。
  • ○賃貸借契約においては、契約の定めに従い、賃料の免責期間が適用される場合があります。
  • ○また、建物や設備の維持修繕等においては、建物の所有者としてご負担いただく費用があります。
  • ○賃貸借契約期間中においても解約になる場合があり、また、貸主から更新の拒絶をされる場合には正当な事由が必要となります。

2.ご入居者にまつわるトラブル

一般のオーナー様においては、自らご入居者を募集したり、契約事務手続を行うことは現実的ではなく、実情としては、多くのオーナー様が、不動産管理会社に管理委託をしており、当該不動産管理会社が募集業務等を行っています。
この場合、極めて信用上問題のあるご入居者や、種々の事情から入居に適切ではないご入居者を、不動産管理会社が入居させるケースが起こりえます。この場合、入居後に想定されるリスクとしては、ご入居者が滞納をしながら居住を継続することや、近隣住民とのトラブルを引き起こすこと等が挙げられます。
オーナー様としては、これらのトラブルが生じた場合には、ご入居者募集業務を行っていた不動産管理会社にその責任を追及したいと考えるのが通常だと思いますが、果たして可能なのでしょうか。
一般論としては、ご入居者の募集及びご入居者との仲介を行う不動産管理会社においては、原則として賃借希望者自ら申し出た身元、職業等の事項を委託者であるオーナー様に伝えることで足り、それ以上に独自に調査し、オーナー様に報告する義務まではないと解されています。つまり、基本的には不動産管理会社の責任を追及することは難しいでしょう。
もっとも、ご入居者募集において、通常の注意を払うことにより賃借希望者の申し出た事項に疑問があり、ひいては正常な賃貸借関係の形成を望むことができない事情がうかがわれるような場合には、不動産管理会社においても、適当な方法で自ら調査し、又はその旨を委託者であるオーナー様に伝えて注意を促す義務があると解されています。
したがって、可能であれば、管理委託方式においては、ご入居者を募集・決定する際、不動産管理会社にどの程度の調査を実施してもらい、その報告を受けるかなどの詳細についてまで契約書で定めておくとより安心です。
一方で、一括借上方式のご入居者リスクについては不動産管理会社が負担することになりますので、上記のようなトラブルが生じることは原則ありません。

3.賃料を滞納した場合

ご入居者が賃料を滞納した場合、管理委託方式においては、不動産管理会社が支払の催促等を行いますが、これが効を奏しない時には、最終的にはオーナー様自らが弁護士に委任するなどして、賃料回収、ひいては建物明渡請求をしなければなりません。
これに対して、一括借上方式においては、ご入居者との間で契約当事者となるのは全て不動産管理会社となるので、オーナー様は賃料滞納等のリスクを負うことはありません。
また、一括借上方式においては、物件での空室リスクを回避することができ、実質的な家賃保証の役割を果たすことになります。もっとも、一括借上方式における上記取り扱いについては、各契約において種々定められており、具体的には個別の契約で決まってきますので、この点十分ご留意ください。

4.信頼できる不動産管理会社を選択

賃貸住宅の稼働率を上げるためには、日ごろの建物管理やリフォーム等が重大になってきます。どのような方式を取った場合でも、その判断権者や責任が異なり、具体的な内容も各契約によって異なりますが、いずれにおいても共通して重要なことは、不動産管理会社に任せきりにしないということです。
そうでなければ、十分な補修、リフォームがされないまま不動産が劣化したり、逆に、過剰なリフォーム等が実施されたり、必要以上の資金負担を余儀無くされるリスクが生じます。こうしたリスクを回避するためにも、不動産管理会社に対して、一定程度の報告義務を課し、
また、一定程度オーナー様の意向を反映できる契約条項を盛り込みたいところです。また、実質的にこのような取り組みを実現するためには、やはり信頼できる不動産管理会社を選択することが最も肝要といえます。

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