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連載:みんなの未来マップ 未来をつくるのは、大人ではなく子どもたち。映画を通して、感覚や感性を育む

連載:みんなの未来マップ

未来をつくるのは、大人ではなく子どもたち。映画を通して、感覚や感性を育む

2026.7.31

    安藤さんのロングインタビューはこちら

    この10年は振り返らなくていい。安藤桃子さんが高知で見つけた「自然か、自然じゃないか」という世界の見方

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    2014年に高知に移住し、「すべてのイノチにやさしい」をテーマに、農業、食、教育、芸術など、さまざまな分野で活動している映画監督の安藤桃子さん。

    特に近年、力を入れているのがNPO法人「地球のこども」の理事として、子どもたちと行う映画づくりワークショップ「地球のこどもビジョン」です。安藤さんが、映画づくりを通じて未来につなげたい思いとは。

    映画は「想像を創造するメディア」

    安藤さんは映画づくりワークショップや映画鑑賞教育プログラムを、高知県内の小学校で展開しています。なぜ「映画×教育」に着目したのでしょうか。

    私が移住した頃は、高知市内でもWi-Fiがつながらないことが多く、高知は日本におけるガラパゴス状態でした。でもここ数年で、山間部などの小学校でもパソコンやiPadを授業で使い、動画を撮るのが当たり前になってきたんです。

    何を意味するかというと、子どもたちにとっての世界が広がり、"世界の言語"が変わったわけですね。それまでは、読み書きが言語のすべてだったのが、映像や写真も彼らにとっての言語になった。映画人を育てるためではないんです。映画って、一人ひとりが持って生まれた半分を見つけ出し、その花を咲かせることができるメディア。これからの10年で、それが常識になるのは間違いないと思います。

    だからその前に、"映像の本質"を子どもたちと分かち合いながら、映像を通して自分らしく世界とつながる力を育んでいきたい。そこから世界はより優しくなっていくと信じています。

    「映像の本質」とはなんでしょうか。

    映画は「想像を創造するメディア」だと思っていて。例えば『宇宙大戦争』だったら、本当に宇宙へ行った意識になって劇場を出ることになるし、見たことのないファンタジーの世界のお話だったら、その世界にひとっ飛びして、実際に体験したような感覚になれる。一人ひとりの人生に影響を与えて、響き続けていく。

    高知はビジョンを具現化できるまちとお話ししましたが、まさに映画はイメージやビジョンをかたちにできるメディアなんです。未来を掲げて、それを生み出すことができる。

    子どもたちという「先輩」から大人が学ぶ

    ワークショップの内容はどういうものなのでしょう。

    子どもたちは12人ぐらいでワンチームになり、地元のいいところを探して、地元のことを描く15分ぐらいの短編映画を3日間かけてつくります。映画の現場って、社会の縮図でもあるんですね。だから『鬼滅の刃』みたいに、現場にいる全員が柱なんです。監督が偉いわけではなく、それぞれの持ち場と大好きなことを持ち寄って一つの作品が出来上がる。

    写真提供:NPO地球のこども

    確かに、映画には、監督、脚本家、カメラマン、録音、俳優など、ちょっと考えただけでもいろいろな役割がありますね。何かしら好きなことや興味のあることが見つかりそうです。

    そうなんです。これまでたくさんのワークショップをやってきましたが、どれだけ内向的な子であっても、最後までやりたいことが見つからない子はいません。一人ひとりが本当に好きなことで関われるから、それぞれの才能が見事に花開いていくんです。テーマを決めて、そのテーマに向かって好きなことで関わり、技術的なことを学びながらつくりあげる。

    最後の上映会では、想像が創造された世界が具現化されるんです。出来上がった映画を地域のみなさんと一緒に観ることで、子どもたちだけでなく、地域も元気になる。自己肯定感がすごく高まるし、夢が叶う成功体験にもなる。"自分たちには夢を叶える力がある"と気づくと、何かあった時にそのことが必ず背中を押してくれます。

    ワークショップを積極的に開催しているのは、やはりその手応えが大きいからでしょうか。

    本当に大きいです。たった3日間で、子どもたちの自己肯定感は大きく変わります。その変化は先生や保護者、地域へと広がり、富士の裾野のように波及します。毎回その力の大きさに驚かされますし、私の方が子どもたちからたくさんの元気やインスピレーション、幸せをもらっています。

    写真提供:NPO地球のこども

    今の子どもたちを見てどう感じますか?

    とても進化しているな、と。未来をつくるのは私たちではなく、あとに生まれた子どもたちです。見方を変えると、子どもたちのほうが、感性やDNAレベルの情報に関して大人よりも「先輩」なんです。知識や技術は先人から学ぶ必要がありますが、実は大人のほうが子どもたちという進化した感性から学ぶことがいっぱいあるんです。

    確かに、子どもたちの発想や感性、純粋な行動に気づきをもらうことはよくあります。

    高知では「全部あるがやき(全部自分にあるんだよ)」ってよく言うんです。ないものを探すんじゃなくて全部ある。私も、子どもたちがもともと持っている感性や感覚を一緒になって育んでいけたらと思います。

    写真提供:NPO地球のこども

    世界は医療から変わっていく

    最後に、安藤さんが考える未来の行く末について聞かせてください。

    世界は、医療や看護から変わっていくと思います。なぜなら、命に直結することは、本当に"待てない"ものだから。命にかかわる時、人間は思ってもみない最大級のパワーを発揮します。命を慈しむあたたかな心こそが、すべての分野の原点だと思うんです。

    農業、ビジネス、教育など、さまざまな分野の課題も、やはり命に直結するところから新しい発想やアイデアが生まれて進化していくはずです。そこから世界は、より優しくなっていくと思います。

    PROFILE

    安藤桃子

    安藤桃子Momoko Ando

    1982年東京都生まれ。高校時代よりイギリスに留学し、ロンドン大学芸術学部を卒業。その後ニューヨークで映画づくりを学び、2010年『カケラ』で監督・脚本デビュー。14年に自ら書き下ろした長編小説『0.5ミリ』を映画化し、国内外で多数の映画賞を受賞する。2014年、高知県に移住。2021年に初のエッセイ集『ぜんぶ愛。』を上梓。2023年「キネマ ミュージアム」を高知市の中心市街地にオープン、代表を務める。2019年からはNPO法人「地球のこども」のメンバーとしても活動している。

    未来の景色を、ともに

    大和ハウスグループも「生きる歓びを、分かち合える世界」の実現に向け、様々な取り組みを進めていきます。

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