大和ハウス工業株式会社

DaiwaHouse

団地再生シンポジウム~団地再生で未来を拓く〜

日時:2024年1月27日(土)
会場:大和ハウスグループ みらい価値共創センター「コトクリエ」(奈良県奈良市)

郊外型住宅団地は、高度経済成長期にかけて大量に開発され、全国に約3,000あるといわれています。当社も全国61カ所で大規模戸建住宅団地「ネオポリス」を開発し、現在は「まちの再耕(再生)」に取り組んでいます。
住宅団地は良好な住環境を有していますが、一方で、開発から年月を重ねるにつれ多くの課題も立ちはだかっています。その解決の糸口をつかむ一助として、団地の住民(以下「住まい手」)と産官学民の専門家が経験や知見を持ち寄り、対話から未来を探る「団地再生シンポジウム」を開催しました。
当日は、ネオポリスの住まい手約240名(会場:約120名、サテライト会場:約120名)やオンライン視聴者を含めて約520名が参加。団地再生に向けた想いや期待を共有しました。

■ 郊外住宅団地の再生を考える講演会

主催:(一財)高齢者住宅財団、(一社)高齢者住宅協会

共催:大和ハウス工業(株)

後援:国土交通省

協力:(一社)生涯健康社会推進機構、(一社)スマートウエルネスコミュニティ協議会

■ ネオポリスサミット2024~ネオポリスの再耕に向けて~

主催:ネオポリスサミット実行委員会
(大和ハウス工業(株)(代表)・各団地の住まい手・(一財)高齢者住宅財団・(一社) 高齢者住宅協会)

協力:(一社)生涯健康社会推進機構、(一社)スマートウエルネスコミュニティ協議会

郊外住宅団地の再生を
考える講演会

開会挨拶

(一財)高齢者住宅財団 理事長 加藤利男氏

主催者を代表して、本日の催しが、郊外住宅団地が多世代が健康で安心して
住み続けられる住宅団地へと再生していくための一助としていきたいとご挨拶されました。

来賓挨拶

国土交通省 近畿地方整備局長 見坂茂範氏

住宅団地は全国に約3,000。そこに人口の約15%が暮らして、多くの団地は50年を経過して住民の高齢化や建物の老朽化、空き家の発生などの課題を抱えていると危惧されており、行政、有識者、産業界が連携して解決したいと意欲を表明されました。

講演1

「住宅団地再生について」国土交通省大臣官房審議官 (住宅局担当) 宿本尚吾氏

既出の課題に加え、市場の現状から、今後は新しい住宅を供給せずとも空き家が増えていくと問題提起。住宅団地の再生には、多様な担い手の参画が必要だとの考えを述べられました。現在は、団地内に商業施設を建築できるよう建築規制を緩和する議論が進み、住宅市街地総合整備事業でまちの再生を支援していることも報告。スタートアップ企業などの新たなプレイヤーも含め、多様な人たちの議論と協力が引き起こす化学変化に期待を寄せられました。

講演2

「住民主体の団地再生に向けて
〜まちづくり協議会の事例を通して〜」
東京大学 大学院工学系研究科 建築学専攻 教授 大月敏雄氏

(一財)住宅生産振興財団が主催する「住まいのまちなみコンクール」審査委員を長年務め、これまで100の団地を表彰し、その数倍のインタビューを行ってきた経験から、共通の悩みである「居住者組織の構成と運営」「他の組織・人材との連携」の具体的な解決事例を紹介されました。また、大月氏が関わる八王子市めじろ台の再生プロジェクトについても経緯や取り組みを解説されました。

講演3

「大和ハウスグループの“将来の夢”」大和ハウス工業株式会社 リブネスタウン事業推進部
東日本統括グループ長 作田千佳

当社は、郊外型住宅団地に新たな魅力を創出する再耕(再生)事業「リブネスタウンプロジェクト」を推進し、現在8カ所のネオポリスで取り組みを行っていることを紹介。各地のネオポリスには社員が通い、時には移り住み、住まい手との信頼関係を構築してきたことを述べ、持続・発展するまちを地域の住まい手と共創することを「将来の夢」として掲げました。

閉会挨拶

大和ハウス工業株式会社 常務執行役員 原納浩二

今日の講演から住宅団地の再耕(再生)について多くのヒントをいただけたと感謝しました。ここで得た知見を共有しながら、住まい手の皆様を主役に、企業と行政、有識者が共に、日本の郊外住宅地の再生に取り組んでいきたいと未来に思いをはせました。

ネオポリスサミット2024~ネオポリスの再耕に向けて~

■ プログラム

  • ・開会挨拶
  • ・ネオポリスの取り組み発表
  • ・パネルディスカッション
  • ・サミット宣言

■ ファシリテーター

東京大学 大学院工学系研究科 都市工学専攻 教授 小泉秀樹氏

■ 発表者

ネオポリス住まい手の皆様

■ コメンテーター

東京大学 大学院工学系研究科 建築学専攻 教授 大月敏雄氏
前・消費者庁 長官 伊藤明子氏
大和ハウス工業株式会社 代表取締役社長 芳井敬一

開会挨拶

大和ハウス工業株式会社 代表取締役社長 芳井敬一

2017年に代表取締役社長に就任する際、SDGs12番目の目標「つくる責任、使う責任」を果たしているかを自問し、まちの再耕を決断しました。それから6年、同じ志を持つ人々が集まった今日この日を決して忘れないと語り、住まい手や行政と連携して持続可能なまちづくりに挑み続けると宣言。そして、社会の役に立ちたいと考え、ネオポリスに通い、最前線で尽力する社員に対する住まい手のみなさまのご理解とご支援をを改めてお願いしました。

各ネオポリスの取り組み発表

所沢ネオポリス(埼玉県所沢市)

所沢ネオポリスは高齢化が進み、「車を手放して移動手段がない」「自治会活動の担い手が不足」「空き家が増加」などの問題を抱えています。一方で新たな活動も芽吹いています。登壇した大学生の祖父母が住んでいた空き家は、子育てハウスことりに生まれ変わりました。不登校などの「子どもの第三の居場所」も計画中。閉じた空き家から、開いた居場所へ。新しいアイデアを取り入れ、世代を紡ぐことで、持続・発展するまちに成長させたいと表明されました。

横浜上郷ネオポリス(神奈川県横浜市)

まちの再生を住民だけで行うのは難しい。そう考えた住まい手の皆様は、大和ハウス工業に声をかけ、産官学民連携の活動を推進。コンビニ併設型コミュニティ拠点の野七里テラスなど、先進的な取り組みに次々と取り組まれてきました。2023年度「住まいのまちなみコンクール」を受賞し、先日は地方創生大臣がまちを視察し、意見交換。さらに、住まい手がタウンクリエイターとなってまちに収益をもたらすタウンマネジメント構想も発表されました。

加賀松が丘団地(石川県加賀市)

入居開始から約50年。町内会を中心にさまざまな活動を行ってきた中、2021年から大和ハウス工業とまちづくりの意見交換をする「住まい手会議」をスタート。2023年の第46回夏祭りには、大和ハウス工業の協力も得たとのことでした。まちを取り巻く環境も変わろうとしています。2024年3月に北陸新幹線が延伸し、開通する加賀温泉駅から団地までは徒歩圏内。郊外住宅地から、駅近の住宅地へと変わり、新しい展開への期待を語られました。

豊里ネオポリス(三重県津市)

自治会連合会を中心にさまざまな組織が連携し、交流・防災・福祉など幅広い自治活動を実施されています。生活弱者を支援するための福祉バスは、スーパーや病院、駅への送迎車として運行。子どもが行方不明になった際のSOSネットワークも構築。「やれることは自分たちでやる」という思いで活動されてきましたが、若い人が減って活動の担い手が高齢化。次の世代に自治活動を継承するため、大和ハウス工業の協力に期待を寄せられました。

阪南ネオポリス(大阪府南河内郡河南町)

分譲開始から52年。地域行事の担い手が減り、コロナ禍でほとんどの行事を中止されました。4年前からは大和ハウス工業とともに、まちの未来を検討。まちづくりの意見交換会には中学生・高校生、近隣の大学も調査協力で参加しました。その後、セミナーや親子交流イベント開催を経て、地域の祭りを復活。キッチンカーを呼ぶなど、時代に合わせて内容を再構築したことを紹介し、他の団地の良いアイデアも取り入れたいと意欲を示されました。

阪急北ネオポリス(兵庫県川西市)

5つの駅を利用でき、若い世代にも人気のまちです。高齢化率も徐々に下がり、市内で唯一、子どもの人口が増加。地域通貨を活用した互助システムや地域情報誌などもあり、自治会加入率80%の現状維持を第一に活動されています。最近は、禁止事項が増えて使いにくくなった団地内の公園ルールを整理。現状調査や地域・行政・大学共催のワークショップを通じ、ボール遊びや花火も楽しめて、地域に愛される公園づくりを進行中と発表されました。

緑が丘・青山ネオポリス(兵庫県三木市)

高齢化率は高いものの、駅や商業施設が近く、子育て世代が増加。空き家を活用したコミュニティ施設「たかはしさんち」や住み継ぎワークショップなど熱心に活動されています。まちをアップデートする団地再耕方針としては、新たなサービス導入を目指し、中間法人を設立。まちの中で住み継げる住宅整備も検討していると紹介。本サミットに先立ち独自に行ったプレサミットでは、まちの困りごとや中間法人の役割が明確になったと報告されました。

パネルディスカッション

東京大学 大学院工学系研究科
都市工学専攻 教授
小泉秀樹氏

東京大学 大学院工学系研究科
建築学専攻 教授
大月敏雄氏

前・消費者庁 長官
伊藤明子氏

大和ハウス工業株式会社
代表取締役社長
芳井敬一

これまでの50年を次の100年に活かす

パネルディスカッションには、ネオポリスの住まい手と並んで、有識者3氏と大和ハウス工業 代表取締役 芳井が登壇し、各団地の発表について意見・感想を述べました。大月氏は、各団地が培ってきた歴史や知恵、ネットワークなどの地域資源を活かし、開発から50年続けた活動を次の100年にどう展開するか考える地点に立っていると実感されました。伊藤氏は、地域経営においては、主体となる住まい手と産官学民の連携が不可欠だと発言。芳井は、大和ハウスグループが目指す方向性に改めて自信を深め、再耕の取り組みを継続していく姿勢を示しました。

郊外団地に共通する課題と展望

続いて、住まい手から講演会や他の住宅団地の発表についての意見・感想を発表。見えてきたのは、共通の課題でした。住民の高齢化、地域活動の担い手不足、空き家の増加、運転免許を返納した高齢者は買い物等が不便になること、免許を持たない若年層の移住が難しいこと。
これらの問題は、デジタル化やライドシェアなどの新しい動きで解決できる可能性が見えています。そのためにも、住まい手が「仲間意識」を持って団結し、産官学との連携を「力」にしよう、との発言もありました。活動が盛んな団地の住まい手は、女性の交流関係の広さや子どもの柔軟な発想力を目の当たりにし、「多様」な人たちが参加する重要性に言及しました。
次の世代へのバトンタッチが急務との意見には、会場のあちこちでうなずく姿が見られました。登壇者の一人である高校生は親の影響でまちづくりに関心を持ったと語り、ファシリテーターの小泉氏は小さい頃 の地域活動の経験が、大人になっての地域づくりへの参加につながると洞察しました。
芳井は、課題を解決するには、若い世代を引きつける魅力あるまちづくりが最も大切だと考え、ネオポリスにいる社員たちに「廃園・廃校した幼稚園・保育園、小学校、中学校をたったひとクラスでもいいから取り戻してほしい」と伝え、鼓舞していると語りました。そしてネオポリスの住まい手への感謝を述べ、「まちが再耕するまで私たちはやり続けます」と力強いメッセージを発信しました。

ネオポリスの未来に向けての新たな一歩

最後に小泉氏から、各団地のユニークな取り組みや工夫を共有し、地域の力を結集するための宣言文を提案。会場からの拍手でネオポリスサミット2024宣言が採択されました。

ネオポリスサミット2024 宣言

私たちのまちづくりは

  • すべての住まい手が主役になる
  • 企業や行政、大学などの多様な主体と共に進める
  • 地域の個性を活かす
    100年後も住み続けられるコミュニティを育もう!!

住まい手懇談会

サミット終了後、各団地の住まい手と大和ハウス工業の役員・社員が膝を付き合わせて話す懇談会を開催。「再耕」の構想や施策についての質疑応答や、まちの将来像についての意見交換を行いました。また、この日は、古都・奈良に早春を告げる伝統行事「若草山焼き」の日。コトクリエのテラスから夜空を焦がす炎や打ち上がる花火を鑑賞しました。

COCOLANアレンジメント体験

大和ハウス工業のオリジナルミニ胡蝶蘭「COCOLAN(ココラン)」は、兵庫県の緑が丘ネオポリスにある施設で、まちの方々も働き手として一緒に栽培しています。壁一面のココランが迎える会場で、ご希望者にアレンジメントをお楽しみいただきました。

ネオポリスの歴史展示

61のネオポリスの長い歴史を一覧できるパネルや発売当初のパンフレットなどを展示。会場を訪れた人は、懐かしい写真や資料を熱心に見学されていました。

住まい手の皆様との交流

全国各地からの来場をねぎらう夕食会では、ネオポリスに通う、あるいは住んでいる大和ハウス工業社員が、住まい手の方々に溶け込み、知人・隣人として談笑する風景があちこちで繰り広げられました。
ネオポリスを代表する住まい手が初めて一堂に集結した「団地再生シンポジウム」は、ゴールではなく通過点です。今日の日を新たなスタート地点にして、大和ハウスグループは住まい手の方々と共に、これからも「まちの再耕」に挑み続けます。

※掲載の情報は2024年1月27日開催当時のものです。

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