大和ハウス工業株式会社

DaiwaHouse

CRE戦略

2026.3.30

2026年度税制改正で相続税評価額がまた見直し、どうなる相続対策?

  • #税制改正
  • #不動産投資
  • #事業承継

2025年12月19日、政府より「令和8年度税制改正大綱」が公表されました。今回の改正は、不動産投資家にとっても耳目を集める内容となっています。今回の改正で、不動産投資家にとって大きなインパクトを持つのが、「貸付用不動産に対する評価方法の見直し」と「不動産小口化商品の評価方法の見直し」です。
一般財団法人 日本不動産研究所の資料でも、今後については、「新規投資を積極的に行う」という回答が94%で横ばいとなっているように、不動産投資家の非常に積極的な投資姿勢が維持されている中、今回の税制改正は、不動産投資家にとってどのような影響を与えるのでしょうか。

*今回の内容は、2026年2月末時点のもので、「税制改正大綱」の内容を参照しています。税制改正は今後国会での成立・公布によって法律として確定した後、実際の運用を記した「通達」が国税庁より出されます。運用面の詳細についてはこの通達を待つことになります。

貸付用不動産の評価方法に「5年ルール」。直前の購入は評価減に制限

令和8年度税制改正大綱によると、「被相続人等が課税時期前5年以内に対価を伴う取引により取得又は新築をした一定の貸付用不動産については、課税時期における通常の取引価額に相当する金額※1によって評価する」とあります。簡単に言えば、相続時の5年前までに購入した不動産は、取得時の価額の80%で評価することになるということです。

※1課税時期における通常の取引価額に相当する金額は、課税上の弊害がない限り、被相続人等が取得等をした貸付用不動産に係る取得価額を基に地価の変動等を考慮して計算した価額の100 分の80 に相当する金額によって評価することができます

これまでは、相続が発生する直前に不動産を購入した場合、建物は固定資産税評価額、土地は路線価で評価されていました。さらに、貸付用としての減額を受けることで、ケースにもよりますが、時価の3割〜5割程度まで相続税評価額を圧縮できていました。ところが、今回の税制改正大綱では、相続開始前5年以内に取得した賃貸住宅や賃貸マンションは、基本的に80%の評価となるわけです。
この改正は令和9年1月1日以後に相続等により取得をする財産の評価に適用されますが、経過措置として、この改正を通達に定める日までに、被相続人等がその所有する土地(通達に定める日の5年前から所有しているものに限る)に新築をした家屋(建築中のものを含む)には適用されません。ただし、すでに着工している必要があります。

不動産小口化商品の評価方法は、さらに厳しい評価額に

賃貸住宅や賃貸マンションの相続よりも、さらに厳しい評価方法となったのが、不動産小口化商品です。不動産小口化商品とは、「不動産特定共同事業法(不特法)」という法律に基づき、事業者が投資家から資金を集めて不動産を賃貸に出すなどの運用、管理を行い、そこから得られた収益を投資家に分配する仕組みの投資商品です。一棟マンションや区分マンション、オフィスビル、商業施設などの高額な不動産を、個人でも投資しやすいよう少額の単位に「小口化」して販売します。
投資家は、賃料収入などのインカムゲインに加え、将来的な売却益といったキャピタルゲインを得ることができます。また、商品タイプによっては不動産の所有権の一部を得られることも特徴のひとつで、相続対策として購入する人も少なくありませんでした。不動産小口化商品は都市部の便利な立地条件にある物件が多いために、実際に、相続税評価額と実勢価格との乖離が大きくなりやすく、購入価額に対して相続税評価額が20%程度になることも珍しくありませんでした。土地については、小規模宅地等の特例が適用されれば、さらに50%の減額も可能です。
一般的に相続対策として利用される生前贈与や生命保険金等の非課税枠の利用については、金額の上限がありますが、不動産小口化商品は基本的には金額の上限もありません。
今回の令和8年度税制改正大綱では、不動産小口化商品のうち任意組合型又は信託受益権型の貸付用不動産について見直しがなされ、その取得の時期にかかわらず、相続開始時又は贈与時における通常の取引価格に相当する金額※2によって評価することになりました。不動産小口化商品においては、貸付用不動産に適用される保有期間による猶予はなく、保有している全期間で時価評価が求められるという厳しい内容となっています。

※2課税時期における通常の取引価額に相当する金額は、課税上の弊害がない限り、出資者等の求めに応じて事業者等が示した適正な処分価格・買取価格等、事業者等が把握している適正な売買実例価額又は定期報告書等に記載された不動産の価格等を参酌して求めた金額により評価することができます。

収益を生む経営計画と長期的な承継計画が重要

投資家や賃貸不動産を中心として資産運用を行ってきた人にとって、今後はどのように考えていけばいいのでしょうか。
貸付不動産に関しては、相続発生直前の不動産購入に対する改正となっていますので、まずは、長期的な取り組みが不可欠となりそうです。相続税のメリットだけにこだわらない、収益を生み出すための経営計画の見直しが必要となるでしょう。長期的な取り組みとなれば、賃貸住宅経営にはキャッシュフローを生み出す経営戦略が不可欠です。5年以上の長期的なスパンで資産を次世代へ移転する計画を立てること、貴重な財産である不動産を将来にわたってどのように活用し、社会に貢献できるかを家族や企業でじっくり話し合うことも重要なことです。
法人が保有する貸付不動産についての詳細は、これからかもしれませんが、評価については同様の措置が取られる可能性がありますので、CREについても出口戦略まで見据えた長期的な取り組みが必要となるでしょう。

今回の改正で5年ルールができたとはいえ、古くから土地を保有し、長期にわたって賃貸住宅経営を行ってきた人にとっては、さほどあわてる必要がないことも事実です。相続発生直前の対策だけが対象となっているわけですから、その地域に根差した賃貸住宅経営をずっと行われてきた方や企業は、引き続き不動産経営に取り組んでいけば問題ないでしょう。
評価ルールが変わっただけで不動産が持つ資産としての有用性が変わったわけではありません。資産の持ち方、活用の仕方は様々です。何よりも、オーナー自身の価値観や家族、不動産を保有する企業の意思を尊重した資産運用を選択することが重要であることは言うまでもありません。

他の記事を読む

このページの先頭へ
ビズ・リブネスが既存不動産を即戦力に変えていく 最適な解決法をご提案し、オーダーメードでスキームをつくりあげます。

企業不動産の売却(買取・仲介)、
購入、改修について
お気軽にご相談ください。

ご相談・お問い合わせ

大和ハウス工業のビジネスソリューション

大和ハウス工業オフィシャルサイトトップ

個人のお客さま

住まいを探す

大和ハウスグループの住まいを探す

(土地情報 / 新築・中古一戸建て / 新築・中古マンション)

法人のお客さま