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2026.3.30

地方都市で「令和の都市(まち)リノベーション」が進む?

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国も個性ある都市空間の実現に向けた取り組みを推進

現在、全国的に生産年齢人口(15-64歳)が減少しており、「令和5年版高齢社会白書」によると、1995年に8716万人でピークを迎えた生産年齢人口は、2030年に7076万人になると予測されています。
特に地方においては、その傾向が顕著で、生産年齢人口の減少は自治体の財政問題を引き起こし、地方都市等における生活サービス機能の提供・維持がますます困難になっていきます。
生産年齢人口減少の一因は、地方都市での仕事や魅力の不足による若者の地方離れの深刻化にあるとの指摘もあります。国土交通省の資料によれば、「希望する職種や待遇の良い仕事が見つからない」「日常生活の利便性が悪い」などが挙げられており、若者を地方都市に引き留め、地方を活性化させるためには、地域の稼ぐ力の強化や、まちの魅力を上げるために地域への民間投資を呼び込むことが必要となっていると言えそうです。

国土交通省「都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案 概要(国土交通省調査の結果より都市局作成)」より作成

そこで、国は2026(令和8)年3月10日、「都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案」を閣議決定しました。
地方都市における社会資本、公的資金は潤沢ではないため、地域の公民が連携した積極的な地域社会環境の整備が必要となります。これまでも国は、2019年に改訂された「まち・ひと・しごと創生総合戦略」において、内閣府地方創生推進事務局と国土交通省が連携して、各地方の成功事例を波及させることを推進しており、2022年に公表された「デジタル田園都市国家構想総合戦略」におけるモデル事業、2024年の「新しい地方経済・生活環境創生本部」設置(地方創生2.0)も、この流れに沿った施策であると考えられます。
今回、個性ある都市空間の実現促進を図る諸制度(都市再生特別措置法、都市計画法、建築基準法等)の改正によって、これらの施策をさらに推し進め、都市の再生を加速させる方針となっています。

都市リノベーションを促進する今改正の主なポイント

今回の都市再生特別措置法の改正では、以下のような制度整備が想定されています。

1. 都市機能の更なる集積・連携による地域の活性化

  • ・都市の中心部に、オフィス、インキュベーション施設、集客施設等の業務施設等の立地促進(用途・容積率の緩和制度の創設や施設整備への金融支援)
  • ・都道府県に、立地適正化計画に関する市町村間の調整権限を付与

2. 地域の歴史・文化や景観・環境に根ざすまちづくりの推進

  • ・地域固有の魅力の維持向上を図る区域を位置づけ、 地域の核となる建築物をリノベーション・活用するための制度等を創設
  • ・地域の個性を引き継ぐ「歴史まちづくり」を拡充

3. 官民連携による適切なマネジメントを通じた地域の付加価値の維持・向上

  • ・民間企業が公共施設に関与するインセンティブを高めるために、公共公益施設の整備・管理に関する協定制度を創設
  • ・エリアマネジメント活動に関する計画制度を創設(無利子貸付けや施設整備への金融支援、道路・公園の利活用の円滑化等)

4. 都市の安全確保

  • ・立地適正化計画においては、居住誘導区域から災害危険区域を全て除外
  • ・防災指針に位置付けた防災施設(備蓄倉庫等)の維持管理に関する協定制度を創設

これらの施策を見ても、不動産の活用が大きなポイントになりそうです。ベンチャー企業の誘致・支援、歴史を生かした施設の再生によるコンテンツの創出、安全性の確保など、多様な「令和の都市(まち)リノベーション」の実現に向けて、官民が連携した取り組みが期待されます。

地域の活性化・地方創生に向けた、不動産流動化・証券化による不動産ストックの再生

地方都市においては、空き店舗や古民家等の遊休不動産が増加していますが、地域活性化・地方創生の推進のためには、観光立国の推進、企業の地方拠点強化などの需要を掘り起こす意味においても、質の高い不動産ストックの形成・再生が不可欠です。
その解決手法のひとつとして、「不動産の所有と利用・運営の分離」を図る、いわゆる「不動産流動化・証券化」の仕組みを活用して、地域に眠る不動産を「稼げる不動産」、「地域価値を高める不動産」に転換していくことが必要となります。
これまでにも、こうした取り組みによる成功事例はいくつか存在しており、地方における官民連携による不動産流動化・証券化による地域再生は、今後も増加すると思われます。

市有地化した百貨店跡地を活用した複合施設整備事例(石川県小松市)

人口約11万人の小松市では、人口や店舗数が減少する中、駅前百貨店が2010年に閉店するなど、中心市街地のにぎわい喪失が深刻化していました。小松市は2013年に百貨店跡地を市有地化し、その活用について官民が連携して検討を重ねた結果、2014年に、不動産証券化手法を活用し、民間都市開発推進機構のまち再生出資、金融機関の融資、民間投資家からの出資、国や市の補助金により総工費約45億円を調達。ホテルや公立大学、子育て支援施設、民間の教育施設、飲食店等から成る官民複合施設として整備しました。

廃業した老舗旅館の再生事例(神奈川県湯河原町)

湯河原温泉の中心地に位置し、多くの政治家や文士に愛された江戸時代後期から続く老舗旅館「富士屋旅館」。2002年に営業を休止、15年もの間放置されていました。この湯河原のシンボルである歴史的建造物を再生することで湯河原町の地域活性化につなげようと、地域経済活性化支援機構(REVIC)と地元金融機関が共同出資して「かながわ観光活性化ファンド」を設立し、「不動産特定共同事業特例事業」制度を活用。その結果、不動産証券化により改修総工費約10億円を調達し、2019年に再開業を果たしました。

商業棟を併設したサービス付き高齢者向け住宅新設の事例(北海道札幌市)

札幌市を中心にサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)事業を展開しているA社は、不動産特定共同事業者と協業して金融機関や地元証券会社、建設会社等との調整を行い、施設の開発資金14億円のうち、SPC型特例事業により2.6億円を調達。同事業が地域社会に欠かせないインフラ施設建設であり、地域に必要な施設を地域資金によって整備するというコンセプトを訴求することにより、地元証券会社を通じて一般市民から資金を募ることに成功しました。

不動産の証券化、流動化を促進する取り組みは、官民が連携した地方創生の有効な手法であるものの、地方においては、人材不足や資金不足などの課題は多く、地方事業者だけの取り組みでは限界があることも現実です。
地方都市の発展は、多くの人の願いです。今回の国主導による法改正のような、ビジネスから集客のための施設、地域に存在する歴史などのコンテンツ、さらにはエリアマネジメントや防災にまで踏み込んだ、包括的で幅広い取り組みがこれからも必要であることは間違いないでしょう。

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