大和ハウス工業株式会社

DaiwaHouse

研究員のセカイ

街に火災に強い建物を。建設現場に働きやすさを

木下が取り組むテーマは、建物の防耐火性能の向上。防耐火試験、ゼネコン数社との共同研究など、さまざまなアプローチで研究開発を進めています。

描く未来像

技術の進化で火災被害が減少、建設現場の課題も解消に向かいつつある社会

木下の描く未来
——日本で起こる火災被害が減少した。その理由は、周囲で発生した火災が燃え移るのを防ぐ、「防火技術」が向上したこと。そして、新しい素材や工法の開発などにより「耐火技術」が向上し、そもそも建物で大規模な火災が発生しづらくなったためだ。

また、ゼネコンなど建設業者間で、建物を建てる際の防耐火基準の共通化も進んだ。さらに、防耐火性能と施工負担軽減を両立する工法の開発にも、建築業者は企業の垣根を越えて取り組んでいる。
これにより、年々防耐火基準が厳しくなる中でも、基準を満たした建物を比較的容易に建てられるようになった。現場の負担も大幅に軽減。少子高齢化による建築業のなり手減少、職人の高齢化などの課題解決にも一役買っている——

いま取り組むこと

さまざまなアプローチで防耐火技術の研究開発を進める

木下の所属するチームでは、さまざまなアプローチで防耐火技術の研究開発に取り組んでいます。

「メインとなるのは、防耐火大臣認定取得に向けた新商品、技術の検証です」と木下。さまざまな性能が求められる建築物にあって、防耐火性能は特に重要な機能のひとつ。新しい商品、技術を世に出す際には、認定試験を経て、国が求める防耐火基準を満たしていることを証明できなければなりません。
そのための検証を行うのが木下たちの業務です。試験方法が決められているため、木下たちはその方法で新商品や技術を再現した試験体を実際に製作。耐火棟と呼ばれる施設で燃やしてデータを取得、基準を満たしているかを確認します。

木下は、ゼネコン数社と防耐火技術に関する共同研究開発も進めています。テーマは大きく二つ。一つ目は防耐火大臣認定の共同取得です。「これまで建築材料の防耐火認定は建材メーカーそれぞれで取得することが多く、よく似た複数の認定が混在していました」。そのため、建物を建てる際に現場が混乱します。これを解消するため、大和ハウス工業を始めとするゼネコン数社が一丸となって、現場が運用しやすい新しい認定を取得する試みを進めています。「私は、大和ハウス工業がワーキングリーダーを務める一認定に関して、試験体図や認定書草案を作成する業務を担当しています」

二つ目は、防耐火性能と施工性を両立する工法の開発です。「具体的には、梁と壁の納まりを改善する工法の開発です」。より広い居住空間を確保したいなど設計上の要望から、梁と壁を通常とは異なる配置にすることがあります。しかし、その場合、防耐火性能を担保することが困難に。「また、施工しづらくなることもあり、現場の大きな負担となっていました」。これまで建築業者は各社で改善に取り組んできましたが、共通課題であるため共同で開発することに。目指すは防耐火性能を担保、向上させつつ、施工負担を軽減すること。それが、職人さんのなり手不足や高齢化などの問題解決の一助にもなればと、木下は言います。

もともと、火災工学研究で歴史、実績のある大学で建築を学んでいた木下。大学院では、火災時に床のたわみが顕著となることで床の耐力が増加する現象、「メンブレン効果」を研究していました。「やってきたことを活かして、人の役に立つ研究開発がしたいと本研究所に入所しました」

研修では施工管理を経験。管理する内容も多く、作業も膨大。また、天候次第で段取りをやり直す必要もあるなど、その負担を身をもって経験しました。「この経験から、それまで勉強してきた防耐火に加え、建設現場の負担を減らすことも私のテーマとなりました」

防耐火というテーマで見たときの大和ハウス工業のアドバンテージは、膨大なデータの蓄積があること。そう木下は言います。「住宅系の開発を数十年前からやっていて、たとえ商品化されなくても試験データが数百と蓄積されています。新商品、技術を開発する際、こうしたデータや試験で得た知見を活用できます」。このアドバンテージを活かし、火災を未然に防ぎ人の命を守る技術を開発するのが目標です。「同時に、現場の負担を少なくする技術の開発にも取り組んでいきたいですね」

※記載内容は2025年3月時点のものです。

研究への想い/研究の様子

日々の研究の様子を映像で、研究への想いをインタビューで、ご紹介

火災から命を守るため 日々、検証を重ねる

研究員プロフィールProfile

木下 晃一(きのした こういち)

信頼性センター
耐火耐久性能グループ所属研究員
大学院融合理工学府建築学科コース修了
2019年4月入社

生きる歓びを分かち合える

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