大和ハウス工業株式会社

DaiwaHouse

CRE戦略

2026.6.30

建築費高騰時代の事業用ビル戦略「再生モデル」

  • #CRE戦略
  • #企業不動産
  • #不動産投資
  • #リノベーション
  • #バリューアップ

昨今、「建築計画が見直しになった」「建て替えがいったん白紙になった」「新築ビルの規模を縮小することになった」など、建築資材不足・高騰、職人不足・人件費高騰による建築計画の見直しや中止に関する話題を耳にするようになりました。 現在でも建築費や人件費は上昇が続いており、将来的に建築を計画している企業にとって、実現の可能性が不透明な状況となっているケースもあるようです。計画の見直しや中止が進めば、ビルの供給量が減少し、ストック物件が相対的に増加することになります。
そうした中、注目を集めているのが、新築ではなく、既存建物をリニューアル(再生)して、次の事業につなげるという、いわゆる「再生モデル」です。

新たに供給される建築物の床面積は減少傾向

2026年6月現在においても、都心部では、商業施設やホテルも含めた大規模なビルが建築されている光景を目にすることも多く、開発が変わらず活況を呈しているように見えますが、実際には、供給される建築物の床面積はなだらかな減少傾向となっています。
国土交通省「建築着工統計調査報告(令和7年計)」によると、全建築物の着工床面積は、前年比 6.7%減となり4年連続で減少しています。公共の建築主は前年比 13.2%減で3年ぶりの減少、そして民間の建築主は前年比6.4%減で4年連続の減少となっています。使途別に見ても、建築物の着工床面積は、Eコマースの隆盛や多頻度小口配送の進展などにより増加傾向である物流施設を除けば、事務所や店舗、工場については、大きな流れとして減少傾向にあります。

着工建築物使途別床面積推移(民間建築主)

国土交通省「建築着工統計調査報告(令和7年計)」より作成

また、現在市場に存在する、オフィスビル、店舗、工場、倉庫、ホテルなどの事業用ビルは、1970年代の高度経済成長期から1990年代初頭のバブル経済期にかけて建設されたものが多く、築30~50年超のビルが多数あります。
法人が所有している建物の件数を建築時期別に見ると、「平成3~12年」の10年間に建築された建物の割合が20.9%と最も高く、次いで「昭和56~平成2年」の20.1%となっています。つまり、昭和56年から平成12年までの20年間に建築された建物は、割合は減少しつつあるものの、法人が所有している建物件数の約4割を占めていることになります。特に、工場、倉庫においては、平成2年以前に建てられた建物が半数を超えており、それだけ築35年超の建物が存在していることになります。(築45年以上も約3割存在)

建物の建築時期別 建物所有件数割合(平成25~令和5年)

国土交通省「令和5年法人土地・建物基本調査」より作成

今後も続く、建築費の高騰

建築物の着工床面積が減少している大きな原因のひとつが、建築工事費の高騰です。国土交通省が公表している建設工事費デフレーターによると、住宅、非住宅を合わせた建築総合値は、2025年度では「132.4」と、特に2020年以降、大きく高騰しています。

建設工事費デフレーター(国土交通省)統計表より作成

この建築費の上昇の大きな要因のひとつは、資材価格の国際的な上昇です。鉄骨や鉄筋、セメント、ガラス等の主要建設資材の価格は、一向に安定しない世界情勢や地政学リスクの影響を受けながら、輸入価格が上昇しています。
資材価格の上昇に加えて大きいのが、労務費の高騰と人手不足の問題です。建設業界は、長年にわたる労働人口の減少と高齢化という構造的な課題を抱えてきました。これに加えて、いわゆる「2024年問題」(時間外労働の上限規制)が、労働力不足に拍車をかけ、労務単価の上昇につながっています。熟練技能者の不足も深刻となっており、計画通りの工期、品質、コストを実現することが、非常に困難になってきています。

公共工事設計労務単価 全国全職種平均値の推移

出典:国土交通省 不動産・建設経済局「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」より

注目されるストック物件のリニューアル

ここで注目されているのが、ストック物件のリニューアルによる再活用です。建て替えに比べて投資額を抑えることができるだけではなく、工期も短く、資産・資源の有効活用という観点からも、効果的な方法です。さらに、移転や売却、投資家を巻き込んだ証券化などの複数のスキームを組み合わせることで、経営戦略に応じた財務的なメリットを享受できる可能性もあります。 国も「不動産ストックビジネスの発展と拡大」を以前から推奨しており、今後は国からの支援や制度上の優遇も想定されます。

リニューアル(再生)の注意点

自社が持つ建物を単純にリフォーム・リノベーションだけを行い、継続的に使用するというケースもありますが、ストック物件を自社の大切な資産(CRE)と捉え、いかに事業の成長に向けて有効活用するかという観点から検討することが重要なポイントです。 現在の立地条件を考えた場合に、他の使途のほうがより適切であったり、自社の戦略実現のためには、異なる不動産資産のほうが適していたりするケースもあるかもしれません。また、従業員の働き方や生産性を考えた上で、検討することも必要でしょう。自社の経営課題を的確に把握した上で、CRE戦略として構築することが望まれます。また、事業展開のスピードも十分に検討する必要があります。複雑なスキームのために、新築同様の時間がかかってしまっては、リニューアルのメリットは半減します。 そのためには、用途展開や保有スキームなどの戦略策定において、信頼できるパートナーの存在が何より重要になります。

従業員の働きやすさや快適性を重視

コロナ禍を基点に、リモートワークとオフィスワークを選択できるハイブリッドワークが浸透し、オフィスに求められる機能が変わりました。従業員のエンゲージメントを高めるという意味においても、オフィスは「単なる仕事をする場所」という機能に加え、生産性やコミュニケーションを重視した「場づくり」が必要とされるようになりました。
これはオフィスだけではなく、工場や倉庫、店舗等、従業員が働くすべての場所においても言えることであり、建物としてのレジリエンス、セキュリティ、防災環境といったハード面に加え、環境性能や働く人たちのウェルビーイングまで考慮された、ソフト面が充実した「場」が求められるようになってきました。 このような環境の構築は、新築物件のみというわけではなく、リニューアルや売却、移転まで含めた、CRE戦略として取り組むことで実現できるケースもあります。

現在の建築費高騰、働き手不足の状況は、簡単に収まる気配はほとんどなく、自社の貴重な資産を有効活用するという意味でも、市場に増える膨大なストック物件という社会的な課題の解決という観点においても、「再生モデル」は注目を集める可能性があります。
そして、この状況は、不動産保有企業にとっては、チャンスとも言えます。経営戦略のひとつとして、新築だけではない、多彩な選択肢が広がっています。大和ハウス工業では、こうした市場環境を踏まえ、「BIZ Livness」と名付けられたビジネスモデルによって、資産価値の最大化を目指した取り組みを行っています。

西橋本リブネスプロジェクト
(COTOE橋本)

地域に親しまれてきた店舗を購入・改修し、全く新しい複合商業施設として生まれ変わりました。大手小売店の契約終了により閉店となったことを機に、既存建物を解体することなく、大和ハウス工業の再生スキームにより築20年の大型商業施設を「環境配慮型商業施設」として改築・再生させました。

事例をみる

駒ヶ根リブネスプロジェクト

「自社製品の製造工場」として建築された建物について、活用または売却を検討されていたところ、大和ハウス工業が購入を提案。既存建物付きで不動産を購入後、工場から営業用物流倉庫への用途変更および改修工事を実施し、テナント企業様へ賃貸。そして投資用の収益物件として投資法人へ売却しました。売主、買主、テナント企業の三者のニーズを満たした事例となりました。

事例をみる

企業が保有する不動産は、経営に直結する資産です。経営課題の解決、従業員ニーズへの対応、サステナビリティに関する社会的要請を踏まえた、「再生モデル」という資産活用は、これからの経営戦略のひとつとして検討するべきテーマではないでしょうか。

他の記事を読む

このページの先頭へ
ビズ・リブネスが既存不動産を即戦力に変えていく 最適な解決法をご提案し、オーダーメードでスキームをつくりあげます。

企業不動産の売却(買取・仲介)、
購入、改修について
お気軽にご相談ください。

ご相談・お問い合わせ

大和ハウス工業のビジネスソリューション

大和ハウス工業オフィシャルサイトトップ

個人のお客さま

住まいを探す

大和ハウスグループの住まいを探す

(土地情報 / 新築・中古一戸建て / 新築・中古マンション)

法人のお客さま