「データインフラ構築を
加速する」

大和ハウス工業のデータセンターブランド「DPDC」。
一刻も早い社会インフラ構築を目指し、スピードへの飽くなき追求を続けている。
大和ハウス工業株式会社 東京本店 データセンター事業部 営業第一課 課長 北野 一真 大和ハウス工業株式会社 東京本店 データセンター事業部 営業第一課 課長 北野 一真

大和ハウス工業株式会社 東京本店 データセンター事業部 営業第一課 課長

北野 一真【KITANO KAZUMA】

2009年:大和ハウス工業に入社、神戸支店建築営業所に配属

2017年:東京本店建築事業部第二営業部へ異動 データセンター事業の主担当として従事

2025年:東京本社データセンター事業本部準備室へ異動

2026年:東京本店データセンター事業部 営業第一課

2022年4月 データセンターブランド「DPDC」誕生 2022年4月 データセンターブランド「DPDC」誕生
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巨大とコンパクトの両極端

Spirit of Hearts

スマートフォンで動画を見る。キャッシュレスで支払う。オンライン会議に参加する。店舗では売れ行きを分析し、トラックの配送ルートは最適化され、金融市場では1000分の1秒単位で取引が更新されていく。

私たちの暮らしは、もはや膨大なデータなしには成り立たない。その流れを支えているのが、データを保管・処理するサーバーを大量に集めた施設、データセンターだ。

大和ハウス工業のデータセンターブランド「DPDC(ディープロジェクト・データセンター)」は、日本最大級のプロジェクトから、テニスコートほどの小型施設まで、両極のスケールを備えている。

千葉県印西市の「DPDC印西パーク」は、開発敷地面積8万坪超、東京ドーム約5.7個分の敷地に、データセンター14棟が並ぶ計画だ。敷地の一角には超高圧変電所を誘致。最大1,000MWの電力供給能力は、黒部ダムの最大出力約3基分に相当する。

その対極が、データセンター商品「Module DPDC(モジュール・ディープロジェクト・データセンター)」だ。延床面積約200m2、テニスコート1面に満たない建物に機能を凝縮。1棟目は福島県双葉郡大熊町に建設し、ショールームとしても活用している。

この巨大なプロジェクトとコンパクトな商品、スケールは全く異なるが、共通点がある。それは「運用開始までのスピード」だ。

「DPDC印西パーク」の1棟目は、アジア太平洋・中東地域でハイパースケール・データセンターを展開するAirTrunk Japan Operating合同会社(以下「AirTrunk」)の日本初進出案件だった。AirTrunkは、顧客となる世界的なメガクラウド事業者の需要に応えるため、一刻も早いインフラ構築を急いでいた。

「Module DPDC」1棟目には、AIスタートアップの株式会社RUTILEAがテナントとして入居した。RUTILEAは、名だたる大企業と並び、経済産業省から日本のAIインフラ事業者として認定を受けた実力派。同社もまた、急いでいた。AIの頭脳であるGPUは毎年進化し、建設に数年かけている間に型落ちする。データセンターの最速稼働は命運を賭けた絶対条件だった。

では、この厳しいスピード要求に、大和ハウス工業はどう応えたのか。出発点となった千葉県印西市での取り組みを振り返ってみたい。

日本最大級の「DPDC印西パーク」(2025年12月撮影)

日本最大級の「DPDC印西パーク」
(2025年12月撮影)

データセンター商品「Module DPDC」

データセンター商品「Module DPDC」

建物と設備を一体で設計・施工

建物と設備を一体で設計・施工

社会インフラをつくるプロジェクト「DPDC印西パーク」 社会インフラをつくるプロジェクト「DPDC印西パーク」
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世界のスピードに鍛えられる

Spirit of Hearts

それは、大和ハウス工業のデータセンター事業が、まだ影も形もなかった2017年。東京に一人の営業が異動してきた。現在、東京本店データセンター事業部の営業チームをまとめる北野である。

最前線に立つ今の姿からは想像もつかないが、当時の北野は先の見えない焦燥感に駆られていた。「建築営業で契約がなかなか取れず、一時、出向した大手企業との合弁会社でも結果を残せなかった。その歯がゆさがずっと続いていたんです」と言う。

東京へ異動したちょうどその頃、所属チームが印西市の土地を取得していた。上司から「開発を担当するか?」と声をかけられ、「ここで何がなんでも結果を出さなきゃいけない」と思い、「やらせてください」と志願した。

土地を工業団地として造成し、土地分譲や施設建築を売り込んでいる時、思いがけない話が飛び込んできた。AirTrunkだった。「印西でハイパースケール・データセンターを立ち上げたい」。

求められたのは土地だけではない。AirTrunk日本代表の松下典弘氏は「日本の法規制や官公庁との交渉を熟知し、プロジェクトを着実に遂行でき、長く付き合えるパートナーを探していました」と振り返る。

北野たちメンバーにデータセンターの知識はない。それでも、良いものをつくる技術には自信があった。だが、待ち受けていたのは、自分たちの常識を超えるスピードだった。

例えば打ち合わせの2時間後には、もうAirTrunkから正式な決定事項が届く。「明日までに回答がほしい」と言われる。そのスピード感に、チーム全体で食らいついた。大和ハウス工業側の決裁者である役員を夜遅くまで追いかけ、「今日中に決断してください」と頼み込んだ。役員が翌日から海外出張と聞けば、出発前の空港に先回りした。

AirTrunk経営層との交渉はすべて英語。言葉や商習慣の違いから、交渉やコミュニケーションが難航することも数多くあった。

「ミスは山ほどしたし、至らない点も多かった。社内外から叱責されて辞めようと思ったこともある」と北野。それでも後々迷惑をかけないよう安請け合いはしなかった。課題は事前につぶし、石橋を叩いて、走った。

AirTrunk松下氏は「ハイパースケール・データセンターは、利用する事業者ごとに設計や設備が異なり、スペックもどんどん進化します。そのため本来なら時間がかかるものを、とても速いスピードで完成させなければならない難しさがあります。その中で大和ハウスの皆さんは、私たちが最も重視する『期日』を守ってくれました。北野さんとは共に困難を乗り越えてきましたし、今も日々乗り越えています」と確かな信頼を口にする。

AirTrunk Japan 日本代表 松下氏

AirTrunk Japan 日本代表 松下氏

世界水準の設計思想や運用ノウハウを学んだ

世界水準の設計思想や運用ノウハウを学んだ

2026年4月 データセンター事業部が始動 2026年4月 データセンター事業部が始動
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デベロッパーであり、ゼネコンである

Spirit of Hearts

大和ハウス工業の強みは「デベロッパー」と「ゼネコン」の能力を併せ持ち、用地取得からインフラ整備、設計、施工、運営まで一貫して担える点にある。

そもそもデータセンター開発の成否は、まず「土地」と「電力」で決まる。災害リスクが低く、大規模電力を安定的に確保できる適地は、たちまち争奪戦だ。

データセンターは、経済やデータ需要の中心地である東京・関東圏と大阪・関西圏に集中している。国は地方分散を推進するが、適地は容易に見つからない。

では、なぜ大和ハウス工業は適地を確保できるのか。鍵は、全国約160カ所に広がる営業拠点網にある。地域の不動産会社や自治体と長年築いてきた関係を通じ、用地情報がリアルタイムで集まり、未公開の情報もいち早く届く。ポテンシャルを持つ土地を見極めるデベロッパーとしての目利き力もある。

ただし、開発の現場では、特別高圧の電力を引くまで5年以上、いや10年かかってしまう、そんな厳しい現実に直面することも少なくない。千葉県印西市でも電力需要が激増。AirTrunkが進出しても、将来的な電力不足が懸念された。

北野たちは、すぐに動き出した。東京電力ホールディングス傘下で、送配電事業を担う東京電力パワーグリッド株式会社へ、開発地に変電所を誘致するアプローチをかけたのだ。提案したのは、敷地奥の不整形な土地。事業施設用地としては使いづらくても、柔軟に配置できる変電所なら十分に機能する。

こうして東京電力パワーグリッドは、実に24年ぶりとなる超高圧変電所「千葉印西変電所」を新設。別の変電所から送電用地下トンネルを全長約10km掘り進めるなど、通常なら10年はかかるといわれる巨大工事を、わずか4年という異例のスピードでやり遂げた。

「土地」と「電力」を確保したら、次はゼネコンとしての「建設力」を発揮する番だ。高度な建設・設備エンジニアリング能力は備えている。ところがデータセンターでは、逆転の設計フローが求められた。

設備技術の森川は「躯体を設計してから設備を収める従来の施設とは異なり、データセンターは設備に合わせて建物を設計します。『設備が先行する建築』という発想の転換に最も苦労しました。ただ、設備担当としてスケールの大きな電力インフラにも関わることができ、非常にやりがいがありました」と充実感をにじませる。

設備技術の森川は自ら手を挙げて参画

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営業主任の三宅も頼れる専門家に成長

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専門人財が連携するチーム力が強み

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パートナーとの共創によりデジタルインフラ事業へ進化 パートナーとの共創によりデジタルインフラ事業へ進化
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まちに新しい社会インフラを実装する

Spirit of Hearts

データセンターという未知の領域に挑んだ若いメンバーたちは、本や資料だけでなく、専門家に直接会い、知識を貪欲に吸収し、議論を重ね、次の革新を生み出した。

世の中に必要なものを、必要な場所へ、もっと速く。「スピードは最大のサービスである」という創業者精神を反映した「Module DPDC」の誕生だ。

引き込みに時間がかかる「特別高圧電力」ではなく、電気容量を抑えた「高圧電力」を使用することで、早期稼働を可能にした。

延床面積は200m2に抑え、建築確認申請に要する期間を短縮。設計を標準化し、部材の多くを工場で生産する。「建築の工業化」を企業理念とする大和ハウス工業の本領が発揮された。

さらに、耐震性や遮音性、厳重なセキュリティなど、オーダーメイドに匹敵する機能も盛り込んだ「オールインワン型」として、契約から引き渡しまで約1年という短納期を実現した。

「Module DPDC Fukushima」に入居するRUTILEAの取締役COO井川拓人氏は、次のように語る。

「当社には、生成AIの計算資源を国外のメガクラウドに頼るのではなく、セキュリティの観点から自分たちでデータセンターを持ち、生成AIの開発を進め、お客様にお届けしたいという思いがあります。日進月歩の生成AI業界において、『Module DPDC』は小さな施設をスピーディーに増設できるところに大きな価値がある。これまで感じていた改善点も全てクリアされ、200m2内に最適化された設備配置や高い天井がもたらす搬入・更新のしやすさなど、本当に素晴らしいと感じています」。

「Module DPDC」は、データセンターの地方分散を加速し、全国でまちづくりや地域貢献を重ねてきた大和ハウス工業の真骨頂を示すだろう。物流施設などとの複合開発により、デジタルインフラを地域活性化の一助として実装できるかもしれない。

さらに、北野たちは「データセンター建設事業」から「デジタルインフラ事業」へ進化させるスキームも構想中だ。大和ハウス工業が建物を自社で所有し、スペースを貸し出す「コロケーション型」。RUTILEAのような専門性の高いパートナーと連携し、サーバー機器までセットして貸し出す「ホスティング型」。打ち手は縦横無尽に広がっている。

そしていつか、データセンターブランド「DPDC」は、電気や水道と同じく、止めてはならない「社会インフラ」として、あらゆる社会活動を支えていくだろう。

事業統括部 副統括部長の石原は、社会インフラの構築に奔走する北野に、温かいエールを送る。「彼は以前、出向先で、実際にモノを動かす実業の厳しい世界を経験しました。今回もタフな交渉に臨みました。その経験を糧に、わが社の誰も見たことがない新たな道を切り拓き、若い人たちの道しるべになってほしい。大いに期待しています」。

託された北野に慢心はない。「データセンターは、当社が印西に土地を所有していたこと、AirTrunk様にきっかけをいただいたこと、それらがあってスタートした事業です。そこからRUTILEA様とのご縁につながり、生成AI業界に足を踏み入れるところまで来ています。次は“私”自身が新しい事業を見つけられる人でありたいのです」。

グローバル企業やスタートアップの時間軸に触れ、大和ハウス工業は巨大組織ゆえに意思決定に時間を要する現実も痛感した。急がなくては。もっと速く、兆しを見つけ、判断し、動き出せ。私たちの「スピード」は今この瞬間も、日本で、世界で、試されている。

RUTILEA 取締役COO 井川氏

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営業の片山から次のフェーズをご提案

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副統括部長の石原は事業や社員の未来を見据える

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未来を見据える

※掲載の情報は2026年7月時点のものです。

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