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コラム
<空き家/賃貸>
老人ホームへ入居後、自宅を空き家にしない方法は?
「売却」「生前贈与」「空き家管理サービス」を比較!
老人ホームへの入居を視野に入れて、自宅を手放すことを検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
このコラムでは、「売却」「生前贈与」の観点からそれぞれのメリット・デメリットを検討します。
また、自宅が空き家になってしまった場合、「特定空き家」になることを避けるための「空き家管理サービス」についてもご説明します。
自宅を売却する場合
「一人暮らしの高齢者」が老人ホームに入居する際に自宅を売却すると、次のようなメリット・デメリットが考えられます。
メリット
- ・自宅を売却した資金を、入居費用や生活費などに充てられる
- ・建物や土地の固定資産税や修繕・管理費などの負担がなくなる
デメリット
- ・自宅の家具や残置物などの処分費用がかかる
- ・老人ホームから退去した際、新たに賃貸物件を借りるのが比較的難しい
売却を検討する際は、費用の面から「何歳までその老人ホームで生活できるか」を計算することが大切です。物価上昇も考慮し、費用を年0.5~2.0%ほど上乗せしたシミュレーションをすると良いでしょう。
また、売却の譲渡所得によっては、売却翌年にかかる所得税や、翌年6月以降の住民税、健康保険料や介護保険料、医療費や介護費の負担割合が一時的に上昇する可能性もあるため、事前に確認しましょう。
生前贈与する場合
生前贈与をする場合、まずは相続財産が相続税基礎控除の基準である「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えていないか確認しましょう。もしご自身の財産が基準を超えていない場合、税務対策のための生前贈与は必要ないでしょう。
(相続財産の計算は容易ではないため、税理士などの専門家にご相談するのがおすすめです。)
もしご自身の財産が基礎控除額を超えている場合は、「暦年贈与」と「相続時精算課税制度」の2つの方法から選択する必要があります。
暦年贈与では、贈与額が年間110万円以下であれば贈与税がかからず(基礎控除)、確定申告も不要です。したがって、毎年、相続までに財産を「小分けして」贈与する方法を取る方に有効な税制です。
一方、相続時精算課税制度とは、2,500万円までの贈与は贈与税が非課税、超過分は一律20%課税となる制度です。相続時は、過去の贈与財産を相続財産に合算して相続税を計算し、贈与税を差し引いて精算します。
自宅などの不動産を贈与するの場合は、基本的に「相続時精算課税制度」の方が適しているでしょう。
詳しくは下記のコラムをご覧ください。
コラム <相続 > 生前贈与にはどれくらいのお金がかかる?相続税を含めた費用について解説します!
上記を踏まえ、自宅を生前贈与した場合のメリット・デメリットについて見てみましょう。
メリット
- ・贈与者の任意のタイミングで、希望する人に財産を継承することができる
- ・認知症で売却が容易にできなくなることを防ぐことができる
デメリット
- ・老人ホームに入ったもののうまくいかずに退所する可能性がある場合、持ち家をそのままにしておくと物件活用ができずに空き家になってしまう可能性が高い
- ・相続人が複数いる場合は、相続人同士のトラブルが生じないよう相続人全員との調整が必要になる
- ・贈与された住宅にかかる税金や維持・管理費などが、受贈者の家計の負担になる
生前贈与は老人ホームへ入所する資金が十分にあり、ご自身の意思で相続人を決めたい方や、認知症対策としては有効といえます。
生前贈与について、具体的な方法など詳しくは下記のコラムをご覧ください。
コラム <相続 > 生前贈与って何?遺言書って必要? 不動産相続の3つの対策
空き家管理サービスに依頼する場合
自宅をそのまま残し、「空き家管理サービス」に依頼する場合のメリット・デメリットは下記のとおりです。
メリット
- ・換気、通水(水回り)、敷地の清掃など、建物の管理・保持ができる
- ・郵便受けに入れられた広告やチラシなどの撤去、戸締まりの管理を行い、犯罪に巻き込まれるリスクを軽減する
- ・資産としての価値を落とさずに、売却したり貸したりできる
デメリット
- ・ご自身がいない状態で他人が自宅に入ることになる
- ・貴重品の管理は対象外となる
- ・維持・管理費のほか、光熱費や固定資産税を払い続けることになる
管理を依頼することで、老人ホームへの入居中も自宅をきれいに保つことができるだけでなく「空き家等対策の推進に関する特別措置法(特定空き家)」対策も可能です。近隣との良好な関係を保つこともできるでしょう。
「特定空き家」に関しては下記のコラムをご確認ください。
コラム<空き家/賃貸>実家は大丈夫?「空き家の放置で、税金6倍」の仕組みを解説|くらし情報コラム|Livness(リブネス)実家は大丈夫?「空き家の放置で、税金6倍」の仕組みを解説
リブネスでは空き家管理サービスを展開しています。下記よりご相談ください。
売却と生前贈与、空き家管理サービスへの依頼、あなたはどれに向いている?
どの方法にも、メリット・デメリットはあります。ご自身やご家族の今後を長期的に考えた上で選択しましょう。
売却に向いている方
すぐに現金が必要な方、または今後自宅が必要なく、税金や住宅の維持・管理費を削減したい方。
生前贈与に向いている方
ご自身が生涯生活できる資金が確保されており、子どもや孫が必要なときに贈与することができる方。相続税の基礎控除額以上の財産をお持ちの方。
空き家管理サービスに向いている方
将来ご自身や子ども、孫が自宅に住む予定がある方。ご家族が遠方に住んでいるなど、ご自身で管理ができない事情がある方、専門的な管理サービスを希望する方。
まとめ
誰も住まなくなった自宅をなんとかしたいと考えるのは当然のことですが、いざそのような状況になると非常に難しい判断を迫られることになります。
金銭的な問題だけでなく、ご家族の気持ちも重視し、それぞれが納得する方法を選ぶようにしたいものです。
子どもや親族などに不動産の名義を移しつつ、適切に管理・処分をしてもらう「家族信託」という制度もありますので、ご検討ください。
また、住み替えについては、下記のコラムもご参照ください
- 住み替え先の地域は「利便性」「居心地の良さ」のバランスがカギ!選定基準を解説!
- 住み替えるなら購入?賃貸?「家は資産」を意識して考えよう!
- 住み替えで自宅を購入する場合、新築住宅と中古住宅どちらがいい?
- 老後を見据えた住み替え、マンションと戸建ての比較と重要な確認ポイント
- なぜ住み替えが必要?誰に相談したい?住み替えに関するアンケート
リブネスでできること。
「不動産売買」「リフォーム」「賃貸管理」「空き家管理」「相続」「資産運用」まで、大和ハウスグループのネットワークを生かし、お客さまのお住まいに関するお悩みの解決をお手伝いいたします。
記事監修
牧野寿和(まきのひさかず)さん
牧野FP事務所合同会社(https://www.makino-fp.com/) 代表社員。日本で唯一「人生の添乗員®」と名乗れる公正中立な独立系ファイナンシャルプランナー。CFP(R)(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャルプランニング技能士、プライマリー・プライベートバンカー(公益社団法人日本証券アナリスト協会認定)などの資格を保有。
※掲載の情報は2025年3月時点のものです。内容は変わる場合がございますので、ご了承ください。
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