大和ハウス工業株式会社

DaiwaHouse

サステナブル・ブランド国際会議
2020横浜

会期:2020年2月19日(水)・20日(木)
会場:パシフィコ横浜

サステナブル・ブランド国際会議は、サステナビリティ(持続可能性)とブランド戦略の統合をテーマに、世界13カ国14都市で開催されている国際会議です。今年度のグローバル共通テーマは「Delivering the Good Life(グッド・ライフの実現)」。ブランドは “グッド・ライフ”を提供できる存在になっているかという問いを掲げ、国内外のサステナビリティ有識者や先進ブランドのCEO、企業、NPO/NGO、官公庁・自治体、学生など数多くの参加者・登壇者が一堂に集まりました。大和ハウス工業はサステナビリティの先駆的な企業として、自社の取り組みをさまざまな形で発信しました。

パネルディスカッション

Breakout Sessions:ESG Strategy

「TCFD対応による戦略と
シナリオ分析の情報開示」

「TCFD」は、気候関連の財務情報開示に関する国際イニシアティブで、今後、ESG情報開示のグローバルスタンダードになるであろうといわれています。

このセッションでは、「TCFD」への対応に取り組む企業2社(当社、積水化学工業株式会社)、「TCFD」のコンサルタントを行う大手監査法人(EY新日本有限責任監査法人)、気候変動などに関する開示を促進する世界的プラットフォームの事務局(PRI事務局・CDP事務局)から4人が登壇。田中信康氏(SB Japan Lab、サステナブル・ブランド国際会議 ESGプロデューサー)のファシリテーションのもと、「TCFD」についてディスカッションを行いました。

大和ハウスグループ

TCFDを活用し、“脱炭素化”を加速

大和ハウス工業
環境部 部長
小山 勝弘

「TCFD」は、企業に対して「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標・目標」の4項目について、自社への財務上の影響を踏まえた気候関連情報を開示することを推奨しています。

大和ハウス工業は、気候変動について2つの危機感を持っています。1つは「気候変動の深刻化」。もう1つは「脱炭素革命の加速」です。

「気候変動の深刻化」においては、平成29年7月九州北部豪雨や西日本を襲った平成30年7月豪雨など、日本では近年、非常に大きな豪雨災害が発生。当社が提供している価値の根幹ともいえる住まいや暮らしの安全・安心が脅かされています。

2つ目の危機感は、世界の常識が「脱炭素」へ猛烈なスピードで動いていることです。2017年に参加したCOP23(国連気候変動枠組条約 第23回締約国会議)では、世界の企業が取り組む脱炭素への大きなうねりを肌で感じました。

その中で当社は2018年、脱炭素に向けた4つの国際イニシアティブ「EP100」「RE100」「SBT」「TCFD」に参画しました。本日のテーマである「TCFD」は情報開示のツールといわれていますが、私たちは財務影響をしっかりと分析して、脱炭素に取り組む戦略を精緻(せいち)化するツールだと認識しています。「EP100」「RE100」「SBT」の枠組みで取り組みを加速しながら、「TCFD」のシナリオ分析などを通じて戦略を精緻(せいち)化する好循環を生んでいきたいと考えています。

「TCFD」に沿ったシナリオ分析においては、「リスク」と「機会」の影響期間や財務影響の分析を進めています。これらは2018年に「TCFD」に賛同表明する以前から取り組んでいた作業でしたが、「サステナビリティレポート2019」で初めて「TCFD」の枠組みに沿って情報を開示するにあたり、地球の平均気温上昇が2℃未満に収まる場合と4℃以上となってしまう場合、それぞれのシナリオを想定し、改めてリスクと機会のどちらが大きいのか、そしてまた機会を最大化するには今、何をすべきなのかなどについて検討する作業に時間を費やしました。その結果、リスクよりも機会が大きいことがわかり、当社が実施してきた取り組みの妥当性を確認することができました。

さらに重要なのは、実際の活動に落とし込んでいくことです。脱炭素化を社会に実装していくためには、自社活動の脱炭素化を目指す「EP100」「RE100」「SBT」のノウハウを、住宅・建築・まちづくりに落とし込み、これらを両輪で好循環させることを、当社の気候変動問題あるいは脱炭素化への取り組みの戦略的アプローチとして考えています。

これらを当社の中期経営計画にも落とし込み、全社的なマネジメントに統合。これまでは環境の目標というと二酸化炭素排出量(トン)などの単位ばかりでしたが、第6次中期経営計画では初めて「環境貢献型事業の売上高1兆5,000億円」という目標を明記しました。第6次中期経営計画の売上高目標4兆5,500億円のうち、1/3は環境に貢献する事業で売り上げを上げる目標です。

また、「TCFD」に賛同してからは経営層の理解が進み、具体的なプロジェクトが推進しやすくなりました。現在は「再エネ100%のまちづくり」をテーマの一つに掲げています。以前からZEHやZEBといわれる環境配慮型住宅や建築物をつくり、再生可能エネルギーによる発電事業もそれぞれに展開してきましたが、2019年11月に「ダイワハウスでんき」(※)というサービスを開始し、私たちがつくった電気を私たちがつくった住宅に住まわれるお客さまに一貫してお届けする形を実現しています。

※太陽光発電システムの余剰電力買取および電力販売を行うサービス

積水化学工業株式会社は、積水化学グループの環境および気候変動への取り組みを発表。EY新日本有限責任監査法人は、非財務情報を可視化・価値化するために、メトリクス(評価尺度)になる「TCFD」の枠組みを使う方向へ世界が大きく動いていることを示唆。PRI事務局・CDP事務局からは、「TCFD」の提言に合致したCDP質問書の開示(CDP2019)において、全回答企業8,360社のうち、上位2%の気候変動Aリストに大和ハウス工業および積水化学工業株式会社が入っていることが紹介されました。

パネルディスカッション

Breakout Sessions:Sustainable Management

「サステナビリティに先進的な企業は何が違うのか」

「サステナブル」という言葉が初めて使われたのは1987年でした。「持続可能性」と「開発」を両立できるかという問いかけは、2020年現在、「環境保全と経済発展」、「現役世代の利益と将来世代の利益」、さらには「社会課題解決と企業価値向上」、これらを両立できるかという問いに深化しています。その矛盾やギャップの中、企業がどう取り組んでいるか、戦略的視点と組織的視点の2方向から議論しました。パネリストは当社をはじめ、YKK AP株式会社、株式会社大川印刷、富士通株式会社の4社が登壇し、取り組み事例や社員への啓発などについて語り合いました。

大和ハウス工業のサステナビリティ経営

~統合思考に基づいたESG戦略の推進~

大和ハウス工業
サステナビリティ企画部長
近久 啓太

大和ハウスグループは、創業以来、「儲かるからではなく、世の中の役に立つからやる」という創業者の言葉を原点に事業を行ってきました。変化を捉え、変化に対応することで世の中の役に立つ事業を創出し、2018年度には売上高4兆円を突破するまでに成長しています。

私たちはこの創業者の精神を「統合思考」としてサステナビリティ戦略の精神的支柱に位置づけており、環境・社会におけるマテリアリティ(重要課題)を選定する際には「統合思考」を基に検討しています。具体的には「社外の課題」と「社内の課題」の統合を図り、それを基にしたビジョンを掲げて、実際の中期経営計画に落とし込む取り組みを行っています。

そこには当然ながら、ESG(環境・社会・ガバナンス)による経営基盤の強化も含まれるのですが、実施にあたって私たちが最も苦労したのは、縦割りの各部門にいかに「横串」を刺すかということでした。そこはサステナビリティ企画部が横串の機能となり、本社部門におけるコンセンサスを取っています。

また、当社では8割以上を新規契約で請け負うため、札幌から沖縄まで全国津々浦々に広がる事業所のマネジメントも重要です。現場は数カ月から数年という納期を常に意識した仕事をしていて、サステナビリティやESGという視点を持つことは難しい。そこで、仕事の平準化や生産性向上への貢献を数字に置き換え、きちんと業績評価に盛り込んでいくことが肝心であり、つまりは企業理念に基づく事業の社会価値を示し、それを各部門や事業所において詳細にマネジメントしていくことがSDGsへの貢献につながっていくと考えています。(Sustainable Brands Japanより一部引用)

会場からの質疑応答では、参加者がサステナビリティを若い世代に伝えるための工夫を質問。自分のやっていることが、より大きな目的の何につながっているかを自覚してもらうなど、各社さまざまな取り組みを紹介しました。ファシリテーターは本日のディスカッションを振り返り、日本企業には創業理念などが暗黙知としてあるが、欧米は文章などによる形式知化に長けている。日本企業の理念をグローバルに伝えるには、暗黙知を形式知化する一つのツールとしてSDGsが役立つと提言しました。

ブース出展

Activation Hub

まちと住まいの再耕

出展企業および団体の展示ブースに、大和ハウス工業もパネル出展をしました。

当社は2015年の創業60周年を機に、サステナビリティを軸とした「まちづくりビジョン」を策定。第6次中期経営計画には、重点テーマとして「まちと住まいの再耕」を掲げ、「リブネスタウンプロジェクトの推進」を織り込んでいます。

当社が過去に手掛けた郊外型住宅団地は全国に約60カ所あり、高齢化が大きな社会問題となっています。そこで現在、多世代の住民が快適に暮らし、長く住み続けることができるまちづくり「リブネスタウンプロジェクト」を立ち上げ、取り組んでいます。展示ブースでは、それらの活動をパネルやリーフレットなどでご紹介しました。

また、一般参加者を対象にしたガイド付きツアーも行われ、当社ブースを訪れたお客さまへ取り組みのご案内や質疑応答を実施。高齢者だけでなく若い世代からのニーズも聞き取っている事例や、地域のバリアフリー情報を社員が体験して集め、まちの設計に生かしている活動などもご紹介しました。

サステナビリティ(サイトマップ)

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