大和ハウス工業株式会社

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連載:5分でわかる!サステナブルニュース サステナブルな組織を目指し——ゼロから問い直す、大和ハウス工業の人財戦略

連載:5分でわかる!サステナブルニュース

サステナブルな組織を目指し——ゼロから問い直す、大和ハウス工業の人財戦略

2026.6.29

    企業は、そこで働く人そのものです。何万人もの社員が何を考え、どう動くか——それが、その企業の行く末を決めると言っても過言ではありません。

    住宅から商業施設、物流やエネルギー事業まで。事業領域が広がり続ける中で、大和ハウス工業の人事部は今、採用のあり方から育成の哲学まで、「人」に関わるすべてを問い直しています。時代の変化に適応すべく、約1.6万人規模の組織が静かに、しかし確実に動き始めています。

    経営戦略本部人事部採用・人財開発グループ グループ長の松本由香子さんは、同社の採用・育成戦略を大きく転換する最前線に立っています。新卒採用の大幅な見直しから、AIを活用した面接手法の導入、そして「Keep Learning, Growing, and Dreaming.」を掲げる新たな人財育成ポリシーの策定。創業100周年となる2055年に向けて、大和ハウス工業は「人」と「組織」をどう変えようとしているのか。松本さんに話を伺いました。

    AIの台頭は、新卒採用を減らしていく?

    大和ハウス工業は近年、新卒採用の人数を大きく見直しました。これまでは毎年700〜800人規模の新卒採用を行ってきましたが、2026年度は約200人へと急減。2027年度も400人程度を目標に設定しています。一方で、中途採用(キャリア採用)の比率は高まっています。

    AIの普及によって人の業務が代替され、採用人数が減っているのでしょうか。そう尋ねると、松本さんは首を横に振りました。

    「AIの台頭を見据えて採用人数を減らしたわけではありません。会社の経営方針や業績目標を達成するために必要な人財や人数を、逆算して考える形に転換した結果です」。

    これまでの採用計画は、各部門に「何人欲しいか」をヒアリングし、それを積み上げる形で決定してきました。しかし現在は、中期経営計画の最終年度に達成すべき業績目標から逆算し、「全社として本当に何人必要なのか」「どのようなスキルや経験を持った人が何名必要か」を精査するあり方へと変わっています。

    「新たに外部から採用する必要があるのか、グループ内の人財の流動化でカバーできるのではないか。これらを突き詰め、算出したのが2027年の400名でした」。

    そして、中途採用が増加している背景には、社会全体における「人材の流動化」という大きな波があります。

    「これまでのキャリア採用は、即戦力となる人財の採用がメインでした。ですが、今は一社で勤め上げるのが一般的とされていた社会から変わり、優秀な人が転職市場にも広く流入しています。イノベーションは、多様な視点や人がいることで生まれていきます。弊社の今後を考える上でも、異業種出身の方やポテンシャル人財も含めて、キャリア採用の比率を高めています」。

    住宅事業は全体の2割。“ファン採用”をやめる

    採用人数の変化に伴い、採用の手法も大きく変わっています。大和ハウス工業といえば、「ハウスメーカー」の印象が一番にくるのではないでしょうか。実際、これまでは住宅業界を志望する学生が自然と集まってくる傾向がありました。

    「ありがたい話ですが、『大和ハウス工業が好きです』『良い住宅をつくり、お客様に喜んでもらいたいです』という方々をお待ちしていれば、ある程度の母集団が形成できていました。ですが、私たちの事業は住宅だけでなく、商業施設や物流・事業施設、環境エネルギー事業など多岐にわたります。実際のところ、戸建住宅事業の売上高割合はグループ全体の2割程度です」。

    もはや、面接時に「志望動機」や住宅展示場への訪問歴などは聞かないと、松本さんは続けます。

    「例えば、展示場に足を運んでいないと本気度が見えない、とする時代もありましたが、『どれだけ大和ハウス工業を志望しているのか』『どれだけ知っているか』は求めません。大和ハウス工業の“ファン”であることを採用基準から外したんです」。

    現在は、「考動で夢をかたちに。」を採用のキーメッセージとし、自社が求める人物像に合う人を「探しにいく」スタンスへと転換しています。その見極めにおいて、活用しているのがAI採用です。

    「現在、AI面接とAIケース面接を導入しています。AI面接では、エントリーシートの内容をAIのアバターが深掘りし、社会人としての基礎力を定量化します。さらにケース面接では、与えられたお題に対し、その主人公になり切って課題解決をしていただき、思考力や実行力を測ります」。

    学生時代に頑張ったこと(ガクチカ)は事前に準備できますが、ケース面接は準備ができません。その学生さん本来の思考の深さや一歩踏み出す力などを見させていただきます。ビッグデータに基づいた客観的な評価はAIに任せ、その上で最終的な判断は「人」が行います。

    「最終的には、人の目で『この人を部下にしたいか』『一緒に働きたいか』『育てたいか』という、直感的で情緒的な部分を判断します。AIと人で、見るべきものを明確にすみ分けています」。

    2055年に向けた新たな人財育成ポリシー

    採用のみならず、入社後の育成のあり方も大きく変化しています。大和ハウス工業は2055年の創業100周年に向けて、「Keep Learning, Growing, and Dreaming.」をコンセプトとする新たな人財育成ポリシーを策定しました。これは、すべての社員が自発的に学び続け、成長し、夢を追い続けることを目指すものです。

    その理念を具現化したのが、2024年7月に導入された学びのプラットフォーム「&D Campus(アンドディーキャンパス)」です。

    「従来の人財育成体系では、このコンセプトを実現するのに十分とはいえず、例えば、階層別研修は、新入社員時に実施したあとは、主任昇格時やライン管理職登用時といった役職が付くタイミングで実施するのみ、“社員の能力開発”というよりは“役割教育”に近い内容になっていました」。

    そこで、社員一人ひとりに個別最適化された学習機会を提供し、その過程で自律的な学習習慣の定着を目指して導入しました。

    「&D Campus」のユーザーマイページ。Schoo社が提供する9,000本以上の動画コンテンツを中核に、社員一人ひとりのスキルアップとキャリア開発を支援しています。導入から約2年が経った今、全社員のうち75%程度が動画視聴している学習基盤として定着していると言います。

    自分の成長段階を、先輩とともに見つめる必要性

    また、新入社員の育成においては「成長ストーリー」の可視化に力を入れています。武道の「守破離(しゅはり)」の概念をベースに、①基本習得、②個性発揮、③パイオニアへ、という3つの成長ステージを定義しました。

    「当社の業務は、新入社員がすぐに成果を出せるものではありません。大型案件の受注には何年もかかります。地道な活動を続ける中で、『今やっていることが自分の成長にどうつながるのか』と悩む若手は多いです。だからこそ、先輩社員が成長ストーリーの中で今の立ち位置を示してあげることが重要です」。

    こうした成長ストーリーを実践で支えるのが、3年間にわたるOJT体制です。大和ハウス工業では、新入社員1人に対して業務全般を指導する「OJTエルダー(育成担当)」と、2〜3年目の先輩社員が担う「OJTアシスタント」の2人が寄り添う体制を取っています。

    「集合研修とOJTを別々のものにしないのがポイントです。研修で学んだことを職場に持ち帰り、実践できているかどうかをOJTエルダーがちゃんと見届ける。この『学ぶ→実践→振り返る』のサイクルを3年間かけて回すことを、初級社員教育として位置付けています」。

    10歳ほど年上の育成担当と、2〜3歳上のアシスタント。年齢の近い先輩が身近にいることで、ジェネレーションギャップを埋めながら、新入社員が「見られている」ではなく「支えられている」と感じられる環境をつくっています。

    大和ハウス工業の育成の基本に『事業を通じて人を育てる』という考えがあります。人が成長するためには、本人の努力だけでなく、3つの基盤が必要だと松本さんは語ります。

    「1つ目は、その人に合った適切な『実践の機会』を提供すること。2つ目は、一緒にやり抜く『仲間』を作ること。そして3つ目は、一人ひとりの個性や強みを引き出し合う『職場づくり』です。この3つの基盤があって初めて、人は成長できると考えています」。

    時代が変わっても「変えてはいけないもの」とは

    こうした抜本的な改革を進める中で、ミドルマネジャーの育成や次世代リーダーの早期発掘、さらには評価期間の延長といった人事制度の変更も進められています。これまでは、組織の中でどう成果を上げるかというマネジメントが中心でしたが、これからは組織や会社をまたいで一緒に何かを作っていく『共創』が重要になっていきます。

    そうした中で、特に力を入れているのが、ミドルマネジャーへの再教育です。

    「組織を変えるためのカギは、やはりミドルマネジメントです。これまでは一度研修を受けたらそれっきりで、皆さん自分なりのスタイルでやってこられた。その結果、業績を上げるためのマネジメントはできるけれど、メンバーの育成と本当に連動していたかというと、そうではなかったのではないか、と」。

    そこで2024年から、約2,000人いる管理職の全員を対象に、マネジメント教育を改めて実施し始めました。約半年間をかけ、最初と最後に集合研修を行いながら、その間も要所要所でチームとして実践の振り返りを重ねる設計です。4年間で全員に届けることを目指しています。

    最後に、どれだけ時代が変わり、AIが普及しても「変わらないもの」があると松本さんは力を込めます。

    「人財戦略に『完成』はありません。世の中も会社も変わり続けるからです。しかし、人財育成において『実践が大事』だということは変わりません。研修だけでなく、実際にやってみないとわからない。実践しながら人を育てていく。そして『凡事徹底』。基本を大事にし、仲間を大切にする。そうした部分は、どれだけ時代が変わっても変えるべきではないと思っています」。

    予測不能な時代の中で、大和ハウス工業が変えようとしているのは、採用人数や研修制度だけではありません。

    「誰を採り、どう育て、どんな組織をつくるのか」——。高度経済成長期から続いてきた、日本型大企業の人財戦略そのものが、いま静かに組み替えられようとしています。

    新卒一括採用を前提とした時代から、必要な人財を逆算し、社外からも獲得し、学び続けることを前提とする時代へ。大和ハウス工業の改革は、“人事制度の変更”ではなく、日本企業の働き方そのものの変化を映しているのかもしれません。

    未来の景色を、ともに

    大和ハウスグループも「生きる歓びを、分かち合える世界」の実現に向け、様々な取り組みを進めていきます。

    大和ハウス工業の採用・人財育成の考え方を詳しく知りたい方、また採用に興味がある方はこちらをご覧ください。

    採用情報|大和ハウス工業

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