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連載:みんなの未来マップ 海の温度が、2年先の未来を教えてくれる。気象データが守る、「当たり前」のサステナブルな日常 日本気象協会 須長智洋さん

連載:みんなの未来マップ

海の温度が、2年先の未来を教えてくれる。気象データが守る、「当たり前」のサステナブルな日常

2026.5.28

    「過去のデータが通用しない」——異常気象が常態化したいま、企業の経営判断に求められる気象情報の精度と時間軸は、かつてとは大きく変わってきています。

    一般財団法人日本気象協会では、2024年から「2年先の気象予測」という業界初の試みに取り組んでいます。なぜ2年先を見据える必要があるのか、そしてその先にある未来とは何か。同協会でデータを活用した需要予測コンサルティングを務める須長智洋さんに話を伺いました。

    大気情報ではなく「海面水温」を読み解く

    2024年から「2年後の気象予測サービス」を始められたとのことですが、そもそもなぜ2年先の予測が必要になったのでしょうか。

    アパレル業界やエネルギー、石油関連など、1年先の気象の傾向がどれだけ変わるのかを、生産計画や価格変動の前提として知りたいというお客様が増えてきました。単に「来月の売り上げがどうなるか」ではなく、来年の経営計画全体を見た時に、気象の影響がどれほどのインパクトを出すのか。気象データが、企業の中期的な活動の前提になりつつあるんです。

    画像提供:日本気象協会

    しかし、気候変動により、急な大雨など天気が予測しにくくなっているように感じます。2年先という長期の予測は、どのような仕組みで可能になるのでしょうか。

    2年先の予測は、大気だけの分析ではなく、世界中の「海面水温」を分析しています。海の温度というのはすぐには変化しません。熱を長くため込み、放出もゆっくり行われます。この性質を利用し、世界中の海のデータを分析しているのです。

    特に注視しているのは赤道域です。この海域の水温によって、エルニーニョやラニーニャといった太平洋の現象がわかります。さらに、インド洋など海外の海の状況も組み合わせることで、日本への影響を導き出しています。長期になればなるほど、世界中の海の影響が複雑に絡み合っていきます。

    2023年からの猛暑を事前予測

    実際に、この予測モデルで成果が出た事例はありますか。

    2023年から過去に例を見ないほどの記録的な暑さが続きましたが、実はこの猛暑の傾向を事前に予測できていました。

    特に電力業界では、気象条件が需給バランスや市場価格に直結します。近年は異常気象の増加や再生可能エネルギーの導入拡大により、長期的な電力需給の予測精度向上が重要な課題となっています。そうしたお客様にとって、1年、2年先の気象傾向を把握できることは、経営判断の精度を大きく高めることになります。

    気象データとAIの掛け合わせは近年注目されていますが、実は日本気象協会では以前から取り組んでいた、と。

    そうなんです。現代の最新AI技術には及ばない部分もありましたが、長年蓄積してきた独自の統計モデルとAIを組み合わせることで、精度の高い予測を実現してきました。膨大な過去のデータと最新の解析技術、その両輪があるからこそ、不確実な未来に対しても的確な意思決定を下すことができると思っています。

    日々のアクションの裏側には「天気」がある

    最後に、須長さんにとっての「サステナブル」とはどのようなことでしょうか。

    もしかしたら「予測」とは対極にあるのかもしれませんが、気候変動や新たな社会課題の顕在化など、世の中は常に変化しています。そうした変化に対応していくことが、サステナブル——持続可能な社会を維持していくことなんだと思います。

    だからこそ、私たちは気象データを元に、人々の日常におけるアクションを良い方向に変えていく。そうした企業努力を裏側から支えることで、先々は一般の人たちが気象情報を意識しなくても、快適な生活を"変わらずに"享受できる未来を実現していきたいですね。

    画像提供:日本気象協会

    私たちの生活の裏側には、緻密な気象データの分析と、それを活用して社会を動かす企業や人々の存在があります。予測不能な時代だからこそ、気象データという確かな「道標」が、サステナブルな日常を静かに支え続けているんです。

    PROFILE

    須長智洋

    須長智洋Tomohiro Sunaga

    一般財団法人日本気象協会に所属し、需要予測をはじめとする気象データのビジネス活用において、メーカーや小売店など多岐にわたる企業のコンサルティングに従事。AIを組み合わせた高度な予測モデルの開発・提供を通じて、食品ロスの削減や企業のサステナブルな活動を支援している。

    未来の景色を、ともに

    大和ハウスグループも「生きる歓びを、分かち合える世界」の実現に向け、様々な取り組みを進めていきます。

    8月8日を気候変動の対策を進める日に。大和ハウス工業は、JCLP「暑すぎる夏を終わらせる日」の趣旨に賛同しています。

    JCLP「暑すぎる夏を終わらせる日」

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