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土地活用ラボ for Biz

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コラム No.27-41

サプライチェーン

秋葉淳一のトークセッション 第3回 協業によって、新たな知見を生み出す株式会社フレームワークス 代表取締役社長 秋葉淳一 × 株式会社ABEJA 代表取締役社長CEO 岡田陽介

公開日:2019/09/30

PoCの積み重ね、組み合わせがソリューションになる

秋葉:私たちには、自分たちが運営に関わっている物流センターがあります。そこでカメラを設置したり、音を録音したり、物流に関係のあるプロセスにおいて、いろいろなことができるわけです。またここで行っていることは、物流センターではなくても使える要素もたくさんあります。業務を抽象化すると言いますか、モジュール化していくようなイメージでしょうか。ほかの業務においても使えること、実用化できるようなことがたくさんあります。
最近よく話すことなのですが、小さな業務プロセスとしてのモジュールがいくつかあって、これらのモジュールを組み合わせることで、求める結果を出せるサービス、ソリューションを作り出すことができます。また、ある領域では、今あるモジュールだけでは足りない状況の場合、新しいモジュールを作り、ほかのモジュールと組み合わせることで問題を解決したりするわけです。小さいモジュールがたくさんあればあるほど、何か新しいことをやろうとしたときのベースが非常に早くできます。それがうまくいったところは次のステップにいって、またモジュールが積み重なっていきます。ダイワロジテック、フレームワークス、モノプラスというグループ会社の中で、そのことを理解できるエンジニアが何人かいれば、新たなソリューションを作りだすことがどんどんできていくと思います。
ですから、今、貧乏にならないようにPoC(Proof of Concept)をやっているところです(笑)。本当に実用化されるものを作ろうと、ターゲットを絞りながら小さなモジュールづくりを行っています。

岡田:カメラをつけたり、ICレコーダーにもマイクをつけて音を録るなど、さまざまな試みをやるべきです。こうした取り組みを始めるとき、多くの日本企業の場合、カメラとマイクの連動をどうするかといった精緻な仕組みを必ず作ってしまうのですが、そうではなくて、まずは簡易的なシステムで構わないので映像や音を録ってみて、後から必要に応じて調整していけばいい。小さく始めて徐々に精度を上げていけばよいのですが、多くの日本企業では、いきなり0.01秒をしっかり合わせようとして、大規模なシステムを作る傾向にあります。

秋葉:0.01秒合わせることに高い価値があるなら、合わせればいいですよね。

岡田:でも、最初の検証段階では小規模なシステムでいいと思います。問題がなければ、本番運用できるシステムを作っていくというように、段階を踏めばよいのではないでしょうか。ダイワロジテックは、そうした開発プロセスを理解していただいています。ICレコーダーに内部の情報を録音するとなると、普通は怖い部分もあるかもしれませんが、そういうところもフレキシブルにご対応いただけるのが非常にありがたいですね。

秋葉:もっとデータを集めたいですね。私と岡田さんのイメージに比べて、カメラの台数もまだまだ少ないです。現在の台数でも、カメラをつけたことでわかったことがたくさんありました。そうなると、カメラをつけることに対して誰も異を唱えなくなってきました。データをクラウドで保存するにしても、どれくらいの解像度で撮るかにもよりますが、1カ月数千円程度でデータが保持できますから、コスト的にもさほど問題ありません。しかも私たちの記憶よりもずっと高性能で高機能です。
また、ロジスティクスでの効果が高く、自分たちが現場を持っているので、まずはこのPoCをロジスティクスの現場で行いますが、この仕組みの展開先はロジスティクスに限らないと思っています。大和ハウスグループの中でも展開できるところはたくさんあると思います。

ダイワロジテックは、普通では考えられないほど少しですが、ABEJAに資本を入れさせていただいています。一緒にやるという意志の下、岡田さんが受け入れてくれました。業務提携やプロジェクト単位での協業というやり方もありますが、資本を入れさせていただいているということは、単に受発注の関係ではなく、私も岡田さんも、意識としてもっと上を目指しているという証明だと思っています。

岡田:私たちも非常に勉強させていただいています。インターネット上であらゆる情報が載っている時代、調べただけでわかった気になってしまうことは多いかと思います。しかし、インターネットで分かる情報は世界の誰でも知っていることが多いので、結局そこに本当に有益な情報はありません。今回、ダイワロジテックのプロジェクトに入っているメンバーは、物流の現場にかなり深くまで入り込ませていただき、非常に物流に詳しくなりました。これが重要だと思っています。デスクトップリサーチだけでは永遠にわからなかったことが、物流の現場の方々と一緒に実際に経験させていただくことによって、課題感が浮き彫りになってきます。ここからいろいろなかたちで連携していくというところが、一番価値があるところだと思っています。
AIベンチャー、ITベンチャーの人たちによくあることですが、理路整然と物事を進めようとするケースが多い気がします。しかし、理屈でスマートな話ばかりをしていても、何としても解決すべき物流業界の課題は見えてきません。泥臭くても足を運んで、手を動かしてやってみなければ分からないことが沢山あります。これは私たちの課題でもあります。結局、実ビジネスに実装する際に、どれだけその業界の課題を奥深く経験し、理解しているか。ここで違いが出ます。そういった部分を経験させていただいていますので、嬉しく思っています。
逆に、ダイワロジテックから見ると、随所に物流における独自のノウハウや、ポイントがたくさんあるはずです。そういうノウハウを出すことにためらう企業も多いのですが、そういった部分を余すところなく公開、共有していただいて、その上で、人工知能で革命が起こせるのはどこなのか、という議論を真剣に熱量を持って取り組ませて頂いています。そういうことができる企業は、多くありません。どうしても核となるような情報は出したくないものです。もちろん、出すべきではない情報はありますが、ダイワロジテックは、できる限り公開していただいている印象です。

秋葉:一般的な傾向として、旧来の仕組みの中で仕事をされてきたビジネスパーソンの方々は、「ITに何ができる?」「現場は違うぞ」といったイメージをお持ちの方が多いと思います。わが社のメンバーにも、当たり前だと思ってしまっていて見逃していることもあると思います。それを、「どうしてですか?」「これはおかしくないのですか?」と指摘されたり、言われたりすることで、もう一度考え直したり、見直すことができるだけでも大きいと思います。「そうか」と自分の中でもう一度整理でき、今までの概念を外すことができるわけです。「そうであれば、ここではこういうことができる、こうやってデータがとれる」というような話に発展していくわけです。

岡田:すでに、ちょっとした予見が見えてきているところもあるわけですね。

秋葉:少しずつですね。最初に岡田さんが優秀な人を出してくれましたが、わが社のほうは現場での仕事もあって、そういうことに敏感なスタッフは少ないのが現状です。ここでメンバーの選択を失敗すると広がっていかないので、最初は数ではなく、私の意図を汲める人材を入れています。その人たちから伝播させて、本当に理解できる人材を増やしたいと思っています。最初に入った人がきちんとできずに、ネガティブな考えを持ってしまうと、伝播していきませんから。

岡田:私たちの立場では、違う業界の方々との協業を通じて、何か新しいものが生まれることが一番面白いのです。私たち単体で、短期間でその業界のノウハウを吸収できるほど甘くないことは目に見えているので、お互いに尊重し合いながら進めていけることに光栄だと思っています。ここまで深く組ませていただいていますから、本当に物流業界で革命が起こせそうだとメンバーもすごく盛り上がっています。やればやるほど、これからの物流業界のあるべき姿が見えてくるのです。AIでサポートできる部分もわかりますし、さらに、現状の問題が人工知能で解決された後に、「次はこうなる」「ここまで到達する」という、物流業界がたどる道筋のイメージが湧きます。そういった経験したプロジェクトメンバーが、社内の他のメンバーにも経験を共有することによって、別の業務でも、同じような視点として転化することもできるのではないかと考えています。

秋葉:抽象化することができれば、「こうなる」「これが解決できる」という発想が生まれてきますよね。たしかに、AIはわかりにくい印象がありますが、画像から生まれてくる知見のようなものがあると、すごくわかりやすいですし、AIにはこういうことができるのかと新たな発見にもなります。本当に面白いですよ。
一方、紹介いただいた空調機メーカーのような、数値で表されるような大きな変化が見えるようなアウトプットを期待されるかもしれません。例えば、ある物流施設の一つのプロセスだけを切り取って、生産性が3%上がったと言うと、「3%ですか」と言われる可能性は当然あります。しかし、その3%が10拠点あったら全体の金額はどうなるでしょうか。これをそのまま流用できるほかのプロセスがあって、また3%の生産性向上を実現できたらどうでしょうか。その3%が達成できたから、ネクストステップでは10%ということも当然ありえます。いきなり大きなインパクトがダイレクトに伝わる事例にはならないかもしれませんが、そういったこともあると思っています。
そもそも、人間がオペレーションをしていて一定の割合でミスをするとします。そのために次のプロセスを用意して、そこも人間がやっているとすると、ミスは永遠になくなりません。人間がやっていることを二重にしたからといって、けっきょく100%にはなりません。だからこそ、画像に撮っておくのです。あるプロセスを画像に撮っておいて、撮ったものを、タイムラグは少しあるけれども処理をして、「おかしい」と判断した画像をセンター長がチェックします。結果として車に乗せる前に止められたというだけでも、実はものすごく効果があります。それをコストで見たらどうなのか、という話です。しかし、出てしまった後の大変な事後処理やそれに伴うストレスと比較すると、まったく違う話になります。そのように、いろいろなところで効果は出せると思っています。
現在、新しく物流センターを立ち上げて人を採用すると、パートの方の比率が2〜3割で、残りは派遣の方という人員構成になります。これが大きな問題になっています。パートの方は働く時間が短いかもしれませんが、パートの方のコミュニティがあり、継続性がありますから、一定のレベル感で仕事をしていただけますし、ルールから外れるようなことはほとんどありません。派遣の方の場合、契約は派遣会社なので、人は入れ替わることを前提に仕事のプロセスを組み立てる必要があります。そうした条件を前提にして、どのような仕組みで一定以上の物流品質のレベルと生産性を上げるかを考えなければいけません。

社会の問題を解決するグランドデザインを描く

秋葉:現在興味を持っていることの一つに、身長70センチくらいの、あるパーソナルロボットがあります。これは、岡田さんが言う汎用性の話と同じだと思っています。産業用ロボットは、通常この業務プロセスをロボットにしたい、あるいはマテハンでやりたいというように、ある目的のために作り込んでいきます。すると、ある一定のことについては非常に優秀ですが、汎用性が低く、しかも高額になります。さらに、目的が変わってしまうと、このロボットの使い道がなくなってしまいます。
それに対して数十万円で買えるような、パーソナルな汎用型のロボットは、汎用型であるがために使い方を私たちが考えないといけません。
このパーソナルロボットにはロボット間のコミュニケーションもできますが、ロボットを介して、その先にいる岡田さんとのやり取りもできます。その機能を生かすことで、物流の中だけではなく介護施設やいろいろなところで使えるアプリケーション層を作り込もうと思っています。人工知能の話と同じで、要素を作っていって、組み合わせたのがソリューションです。最初は、現場がある物流施設の中でできることからやらせようと思っています。当たり前ですが、家庭用のロボットなので、3〜4キロしか重いものが持てません。物流施設の中だったら10〜20キロ持てないとだめだろう、という意見もあります。しかし、10〜20キロを持つのだったら、産業用のロボットを作りますよね。産業用は何百万もしますが、このパーソナルロボットは30万円です。20キロ持つためには、7台あればいいわけですから、7台で210万円です。余っているときには、他のことをやらせてもいいわけです。「フォローミー」というとついてきますからかわいさもあります。

岡田:今、日本は物流クライシスだといわれていますが、逆にいうと、ポテンシャルが大きいマーケットですし、社会課題に直結しています。「ゆたかな世界を、実装する」ために、そうした社会課題を着実に解決していきたいと思っています。今後、少子高齢化で労働人口が減っていくのは間違いない一方で、ECの普及などにより、物流における輸送量は右肩上がりに増えています。町の許容量等の指標を踏まえて人工知能が人をある程度サポートをしない限り、対応可能な範囲を超えた作業が発生してしまう状態に陥るのも、時間の問題かもしれません。そこも含めて、物流をうまく生かすため、人工知能に着目し、物流に紐づくECのような他の業界も踏まえて、業界を跨いだ全体のグランドデザインを秋葉さんと一緒に描いていきたいと思っています。

秋葉:これからは少し世界観を変えることも必要かもしれません。より広い視野の中で、テクノロジーの活用を考えていきたいと思います。期待にお応えできるように頑張ります。

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土地活用ラボ for Biz アナリスト

秋葉 淳一(あきば じゅんいち)

株式会社フレームワークス会長。1987年4月大手鉄鋼メーカー系のゼネコンに入社。制御用コンピュータ開発と生産管理システムの構築に携わる。
その後、多くの企業のサプライチェーンマネジメントシステム(SCM)の構築とそれに伴うビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)のコンサルティングに従事。
2005年8月株式会社フレームワークスに入社、SCM・ロジスティクスコンサルタントとしてロジスティクスの構築や改革、および倉庫管理システム(WMS)の導入をサポートしている。

単に言葉の定義ではない、企業に応じたオムニチャネルを実現するために奔走中。

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