大和ハウス工業株式会社
~物流施設の点検業務の負担を約30%短縮、2025年度からの導入を目指す~
物流事業を陰で支えるドローンとAI

大和ハウス工業株式会社は、NTTコミュニケーションズ株式会社とともに、ドローンやAIなどの先進技術を活用し、物流施設における無人点検管理の実現に向けて協業することを2023年7月27日に発表しました。2024年3月18日には、マルチテナント型物流施設「DPL久喜宮代Ⅰ」にて報道関係者向けにドローンが飛行しながら建物内の点検を行うようすを公開しました。現在は、AI画像判定の性能を高めるとともに、建物管理会社である大和ハウスプロパティマネジメント株式会社と大和ライフネクスト株式会社も参加し、現場目線のフィードバックを反映しながらアプリケーション開発を進めており、2025年度以降に新規竣工する物件からの導入を予定しています。
1.物流施設の大型化により、点検作業の負担も大きく
物流施設には点検が欠かせません。台風などの災害時はもちろん、平常時においても、トラックやフォークリフトによるシャッターやガードポールなど建物設備の損傷、敷地内の倒木、不審物放置など、様々な不具合が発生することがあります。こうした不具合は、入居テナントの物流業務に支障をきたす恐れもあります。
施設管理者は、物流施設における共用部の点検巡回や報告資料の作成といった業務を担っていますが、ネットショッピングの増加やグローバル化の進展による輸送の需要拡大などにより、物流施設の規模が大型化しており、施設管理業務の負担はますます大きくなっています。千葉県流山市にある当社最大規模のマルチテナント型物流施設「DPL流山Ⅳ」は、延床面積が約30万㎡あり、1フロアの点検だけで約1時間を要し、これを1日に3~4回実施しなければいけません。複数人で分担して行っているとはいえ、非常に負担の大きい仕事となっています。
一方で、労働力人口の減少に伴い施設管理者の雇用確保も難しくなってきており、業務効率化と自動化が求められています。
2.点検の負担を約30%短縮、書類作成・報告もスムーズに
ドローンによる点検は建設業など多くの現場で採用されています。点検時間の削減や省力化だけでなく、人では確認が難しい高所の点検が可能になるなどのメリットもあります。
当社とNTTコミュニケーションズ株式会社は、物流施設における点検業務を効率化、高度化させるべく、ドローンやAIなどの先進技術を活用した無人点検管理の実現に向けて、2023年8月1日より実証実験を開始しました。
実証実験では、GPSが届かない屋内車路においてドローンが発着台から出発して、事前に設定したルートを撮影しながら約3~4分自動飛行し、ドローンが撮影した映像がリアルタイムで遠隔のPCから確認できることを検証しました。取得した画像からは、シャッターやガードポール、消火設備に異常がないかをAIを用いて判定し、異常がある場合施設管理者へ通知されることが確認できました。
実証実験の結果にもとづき、2024年度にはAI画像判定の性能を高めるとともに、現地駐在員がオペレーションしやすい仕様のアプリケーション開発を目指します。ドローンによる無人点検が実用化されることにより、施設管理者の点検時間を削減できるほか、ドローンによる点検記録が自動蓄積され、検索することも可能となります。また、建物所有者への報告書類も自動作成できるなど、建物管理業務の効率化につながります。効果として、建物管理業務にかかる時間を約30%削減できると見込んでいます。
3.物流施設の無人建物管理の標準化をめざす
実証実験は2025年3月末まで実施、2025年度以降に竣工する物件からドローンによる無人点検を随時導入し、全国の物件を一元管理していく予定です。
将来的には、災害発生時の現場確認への活用や、当社の開発する物流施設以外の用途の物件への導入も視野に入れています。


