大和ハウス工業株式会社
工場で働く作業員の負担軽減のために可動架台を開発!
大和ハウス工業株式会社は、工場で勤務する作業員の負担を軽減するため、建築用鉄骨を加工する際に支えとして使う架台を、作業に応じて動かすことができる可動架台「置っくん」を開発しました。現在、当社の奈良工場と九州工場に合計20台以上設置しており、今後、事業用建築の部材を生産する残りの3工場にも展開していきます。

架台とは、主に機械や設備などの重量物を設置・固定するための構造物のことです。当社工場では、鉄骨加工の際に使用していますが、架台の位置調整や移動は、作業員の身体的負担となるとともに作業時間も問題となっていました。
300㎏を超える架台を作業員自らが動かすことは、足腰への大きな負荷や転倒リスクも伴います。また、重い架台の移動にはクレーンが必要となりますが、クレーンへの固定や移動操作など作業量が多くなります。さらに、事業が拡大し、物流施設などに使用する大型鉄骨の生産も増加する中で、工場内のクレーンの使用頻度も高まりました。その結果、待機時間が発生するなど、架台の移動にかける時間が長くなっていました。
そこで、これらの問題を解消するため、車輪を組み込み、人力での移動が容易な可動架台「置っくん」を開発しました。「置っくん」は、架台に取り付けたレバーを押すと、油圧ジャッキが作動し、車輪が下に押し出されることで、架台を軽い力で移動できる状態となります。そのため、作業員の身体的負担を軽減し、安全性が向上が期待できます。
さらに、クレーンを使わずに運搬することができ、作業時間を大幅に削減できます。先行導入した九州工場では、架台を移動するためにかかる作業時間が10分の1に短縮され、年間1,570時間の待機時間削減できることを確認しました。

※1.レバー
※2.車輪
※3.油圧ジャッキ
今後は、残りの自社工場にも導入を進め、2026年度には国内外の鉄骨製造業者向けの販売を計画しています。
なお、「置っくん」は、2022年7月に当社社員78人が参加した「第2回技術改善コンクール」の「改善実施事例の部」において最優秀賞を受賞しており、開発者の奥は「いずれは世界にも展開し、工場で働く方の労働環境改善に少しでも貢献したい」と意気込んでいます。
☆開発者に聞く!

Q1.なぜ可動架台を開発しようと思ったのか。
A. 「老若男女問わず、一人でも多くの人が働きやすい職場にしたい」との思いからです。工場では全国的に人手不足や高齢化が進んでいる傾向にあり、重筋作業が伴う労働環境の改善が今後の人材獲得の鍵になると考えています。私自身、体に障がいがあって電動車いすを利用することもあるため、日々働きやすい職場について考えながら仕事をしています。日常的に使う架台に着目し、可動式にすることで工場の作業員の負担を軽減できるのではと考え、現場の声を聞きながら開発を進めてきました。この架台を当社以外にも広め、より多くの人が働きやすい環境を提供していきたいと思っています。
Q2.こだわりのポイントは?
A. シンプルかつ利用方法が分かりやすい造りにしています。「誰でも使える」をテーマに、使用時に複雑な操作が必要ないように部品の数を減らし、用途や機能を絞ってシンプルにしました。また、使用方法を分かりやすくするために色使いやデザインにも工夫を凝らしています。
Q3.技術改善コンクールで最優秀賞を受賞した感想は?
A. 自分が取組んできたことを認めていただけた歓びとともに感謝が込み上げてきました。架台の機能改善を通して、人・会社・社会の喜びにつながる製品やサービスの提供につなげていきたいと、さらに思うようになりました。今でも仕事をしながら、工場の現場が抱える問題を解決するために何かできないか考え続けています。
- タグ: