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連載:みんなの未来マップ 動物にも「選択」できる未来を アドベンチャーワールド副園長 中尾建子さん

連載:みんなの未来マップ

動物が「選べる環境」を未来へ。アドベンチャーワールド副園長が語る、動物と人のこれから

2026.9.30

    中尾さんのロングインタビューはこちら

    パンダと向き合った30年を経て。アドベンチャーワールド副園長が考える、動物園の役割

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    長年にわたり、陸・海・空の動物たちの飼育・繁殖、研究、教育、資源循環など、生き物と人、地域の未来につながる取り組みを重ねてきた和歌山県白浜町のアドベンチャーワールド。

    30年以上にわたってジャイアントパンダの飼育・繁殖研究に携わってきた副園長の中尾建子さんは、動物園を「野生動物と人をつなぐ場所」と捉えています。

    気候変動が進み、種の減少や生息地の分断も深刻化する今、動物園は何を伝え、どんな未来をつくることができるのでしょうか。中尾さんに聞きました。

    動物園の飼育現場は、どう変化している?

    温暖化が進む中、動物園の飼育現場はどう変わっていますか?

    気候変動の影響を最も受けるのは、人間以上に動物たちなんです。もちろん暑さ対策は必須で、木を植えたりタープを張ったりします。日が当たる場所がいいのか、日陰に入りたいのか、水に入りたいのか。その時々で違いますから、動物が自分で選べる環境をつくることを意識しています。

    日陰で休む動物たち。

    導入した設備を一度使わなかったからといって、興味がないと決めつけることもできません。最初は警戒していても、慣れてくると面白がることもあります。

    隠れられる場所をつくる。群れで暮らす種には、その関係を保てる環境を用意する。食べることに十分な時間を使えるようにする。正解はないので、動物の反応を見ながら、よりよい環境を考え続けるしかありません。

    動物にとって最大の脅威は「開発」

    気候変動は、野生動物にとって最大の脅威なのでしょうか?

    気候変動は種が減少する大きな要因の一つです。ですが、動物が移動できる環境が残っていれば、暑くなれば標高の高い場所へ移動する、餌が減れば別の場所へ移る、という選択ができます。

    一方で深刻なのは開発です。山が残っていても、道路や畑で分断されてしまえば、動物は行き来できません。山としては残っているように見えても、分断された瞬間に行き来できなくなってしまいます。

    沖縄県西表島の「イリオモテヤマネコとびだし注意」の看板。

    気候変動対策だけではなく、動物が移動できる環境を残していくことが大切です。

    そんな時代に、動物園は何を未来へつなげられますか?

    前編でもお話しした通り「種の保全」といった取り組みに加えて、動物たちが困難に直面していることをもっと伝えていかないといけないと思っています。

    ですが、私たちだけではできません。今や海外ともオンラインでつながれる時代ですから、同じ思いを持つ人たちと、どう一緒につくっていくかを考えていきたいです。

    動物園の動物たちは、野生からの大使です。私たちは、その通訳をどう務めるかを考えなければなりません。動物たちがどんな環境で生き、どんな困難に直面しているのかを、人に伝えていくことが必要です。

    世界三大珍獣のコビトカバ。普通のカバの約10分の1程度の大きさ(体重約160〜275kgほど)なのが特徴的。

    キーワードはつながりとバランス

    生物多様性のために、私たち一人ひとりができることはありますか?

    サステナブルが意味することは、「つながり」だと思います。何かを買うという行為も、それがどこにつながるのかを考えていくこと。

    深く想像すれば、いろいろなものとつながりが見えてくる。そうすると、ものを大切にすることや、自分自身の行為がどう影響していくのかも考えられるのではないでしょうか。

    また、「つながり」と同じくらい「バランス」も大切です。経済活動をすべてやめて動物を守る、ということではありません。そのバランスを考え続けることが大切だと思います。

    中尾さんが、これからつくりたい未来を聞かせてください。

    次の世代も、豊かな自然や多様な生きものに出会えるようにしたいです。そのために自分は何をするのかを、一人ひとりが考えていくしかないんです。

    私は鳥取の自然豊かな場所で育ちました。小さい頃は、自然があることを当たり前だと思っていましたが、今はそうではありません。自然と共生できる社会をつくりたい、というのが私の思いです。

    自分一人で思っているだけでは、できることは限られます。こういうことをしたいよね、と声に出すと、同じように思う人が集まってくる。そんな持続可能なつながりを、これからもつくっていきたいです。

    PROFILE

    中尾建子

    中尾建子Nakao Tatsuko

    アドベンチャーワールド副園長。獣医師・学芸員。鳥取大学農学部獣医学科卒業後、1988年に入社し、獣医師として動物園動物の診療や飼育管理、極地ペンギンの人工孵化・育雛に携わる。1994年の日中共同ジャイアントパンダ繁殖研究開始から、ジャイアントパンダの飼育・繁殖に関わり、これまで17頭の赤ちゃんの誕生を見守ってきた。株式会社アワーズ常務取締役、SDGs担当。

    未来の景色を、ともに

    大和ハウスグループも「生きる歓びを、分かち合える世界」の実現に向け、様々な取り組みを進めていきます。

    “環境負荷ゼロ”と“事業の拡大”の両立を目指し、資源が循環するサステナブルな社会の実現の取り組みはこちらよりご覧ください。

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