インタビュー

キムタカ税理士法人
代表社員 税理士 大濵 真三朗
土地活用は「経営」。長期のビジョン、経営の視点を持ち、将来まで見据える
「志高く、キムタカく※、夢実現の支援者となり、幸福社会の創造に貢献する」というのが私たちの経営理念です。土地活用の相談者には、「土地活用は企業経営と同じですよ」とお話しするようにしています。不動産経営は、長く安定して続けながら、「手元にどれだけ資金を残すか」という、長期的視点が大切です。借入金の返済期間は30年程度の長期間となるのが一般的だからです。オーナーさんの長期的な夢(ビジョン)をお聞きし、その実現のために俯瞰逆算する。例えば、30年後のなりたい姿から10年後、5年後、3年後、1年後、そして今をしっかり分析します。その目標と現状とのギャップが課題であり、それぞれの課題を整理して解決していけば、ギャップが埋まり、徐々に、夢・目標に近づいていくわけです。
不動産経営の観点でいえば、賃料をいかにアップするか、空室期間をいかに短くするか、賃料の未回収をどう防ぐかなど、様々なことを考えます。
さらに、そもそも何のために不動産投資をするのか、何のために賃貸住宅経営をするのか。すべての基本はそこにあるので、お客様には最初にそこを問いたいと思っています。
※「キムタカ」とは沖縄の方言で、「肝高(チムタカ)」=「志しが高い」という意味。
「資産」と「経営」の両輪でお客様をサポート
私は、土地活用は長いスパンの経営だと考えますので、お客様には「投資」というより「経営」であるとお伝えします。お客様から不動産活用の相談があった場合は、私は「資産」と「経営」という両輪でお客様のサポートに努めています。
「資産を守る」という言葉をよく聞きますが、人があってこその資産です。必要があれば資産を売るかもしれないし、組み替えるかもしれない。どのような方法を選択するかはケースバイケースであり、お客様の価値観によって活用の仕方は180度変わります。同じ不動産を持っていたとしても、「先祖代々のこの土地は絶対に売らない」と言う人もいれば、「生きている人が活用して初めて土地が生きる」と言う人もいます。選択肢は人それぞれであって、正解はありません。ただし、自分の選択に納得することが大事です。例えばA案、B案、C案とあって、自分はA案を選択したものの、結果的にB案のほうが、キャッシュフローが良くなったとしても、そのとき自分の知識と経験と情報をもって判断したのですから、やはりA案が一番良い選択です。「ああすればよかった」と言う人もいますが、そのとき自分が選択したことがすべてだと私は思います。他を選ばず、その案を選んだのですから、自己責任であり、それで良かったのです。
お客様には、土地活用とは何かを知ったうえで、判断するものさしを持ってほしいと思います。そして、十分納得のうえ、選択してほしいと思います。普段から自分のものさしを持って、「この場所でこの価格であれば買う」といった指針を持っておけば、良い物件が出たときに素早く反応することができます。そのためには、常に最新の情報を持っていただくことがとても大事です。
実際にお客様から土地活用の相談があったときは、用途、規模など、大和ハウス工業からの提案をはじめ複数の選択肢を用意し、自分に一番ふさわしいものを選んでいただきます。そこで選べないということは情報を持っていない、ものさしを持っていないということですから、そのお客様はもう少し勉強が必要です。大きな金額を投資するのに、依頼した会社に全部お任せするということは、経営を人に任せることになります。ただ土地が余っているから、相続で賃貸住宅経営をすすめられたから投資する。きっかけはそれでもいいのですが、やるからには自分で賃貸住宅経営についてしっかり勉強してほしいと思います。初めて不動産経営をするということは、新規のビジネスに挑戦するということです。空室を出さないため、稼働率、値段設定はどうしたらいいか、付加価値をつけるにはどうしたらいいか、そういった勉強をするべきです。
相続対策は将来まで見据え、トータルで考える
不動産活用をシミュレーションするとき、収益(売上)は「単価×数量」で考えます。賃貸住宅経営であれば、「部屋数×@賃料」です。これをどう高めるかが問題です。最初の3~5年ぐらいは満室近く埋まるかもしれませんが、近隣に新しい賃貸物件ができたりすると、入居率が悪くります。シミュレーションでは、頭金の金額、入居率が悪くなっていった場合、どのように資金はまわるか、借入金は返済できるか、入居率をどう高かめるか、近隣の賃貸物件と比較してどのような差異化を図るか、付加価値をどう高めるかなど、様々なことを考えていきます。シミュレーションは長期的視点で考え、トータルで考えることが大切です。
借入金の返済スピードが速すぎると、キャッシュフローがマイナスになることもあります。安定してキャッシュが貯まり始めても、築10~15年もすると建物の大規模な修繕が必要となる場合もあり、そのような支出も見込んでシミュレーションする必要があります。借入金の返済が終わるころキャッシュが貯まりますが、減価償却が終わるころには、利益が出て税金が増えることもあり得ます。さらに、手元にキャッシュが貯まると、今後どのような資産運用をすればいいのかといった話も出てきます。
現金を不動産に変えたり相続対策を駆使して相続税を減らしても、その人や家族の人生にプラスになるかどうかはわかりません。土地を売らずに残したほうが良い場合もありますし、土地活用を行ったほうが良い場合もあります。目先だけの対策とならないように、長期的視点に立ち、20~30年と債務返済することも考慮しながらトータルで不動産経営として考えることが大事です。