インタビュー

大和ハウスリアルエステート株式会社
代表取締役社長 山﨑 考平
サービスの幅を広げ、お客様のさまざまなご要望にお応えし、ストック不動産の有効活用にも取り組みます。
社名変更によって、サービスの幅が広がる
――「大和ハウスリアルエステート」と社名が変わりました。どのような背景だったのでしょうか。
山﨑:会社の名前が変わることは、私が着任する前の役員会で決議されていたのですが、時期と社名は何も決まっていませんでした。私はもともと大和ハウス工業の人間なので、「日本住宅流通」という社名に違和感を持っていました。本来であれば、連結の完全子会社になった2007年に社名を変えるべきだったのを、昔の名前のままにしていました。
「日本住宅流通」は大阪ではそれなりの歴史を持ってやってきましたが、関西以外ではほとんど知名度がなかったのが正直なところでした。「大和ハウスリアルエステート」に社名変更し、事業内容の紹介の仕方も変えたことで、大和ハウスグループ企業として事業の幅を広げることができたと思います。この社名変更によって、個人のお客様、一般の法人のお客様に対して、ブランディング、会社としての信頼感など、さまざまな面で良くなりました。社名が変わって良かったと思う社員も多いのではないでしょうか。また、連結子会社になってから入社した社員のほうが人数も多くなりました。今社員が全体で約560名おり、そのうち約360名が連結子会社となった後に入社した社員です。
――「住宅流通」と「リアルエステート」では事業範囲のイメージが違います。社名が変わることで、サービス内容、関与の仕方から変わっていきそうです。
山﨑:不動産を売却する際には、不動産会社への対応が必要になります。営業の人が「今度の日曜日の13時に行きます」と言えば、その日までに家を片づけて、その時間家にいなければならないわけです。最近、そういったことを嫌がる方が増えています。「多少安くなっても手間をかけずに売りたい」という方が増えてきているのも事実です。一方で、お客様の資産をたとえ1円でも高く売ることをミッションと思う社員も多くいます。「手間を掛けない」こともお客様へのお役立ちであることを理解してほしいと思います。
最近は相続のご相談案件が増えていて、「争族」で遺産の取り合いをされているようなご家族もあります。そこでのニーズの多くは「早く不動産を換金してほしい」ということです。不動産を分配することは困難ですが、現金にすれば後は分配するだけです。大和ハウスリアルエステートにご相談いただければ、不動産の条件にはよりますが、当社で購入したり、購入者を斡旋したりすることが可能です。成立すれば、すぐに不動産を現金化することができますので、金融機関からお金を借りる必要もありません。この点でもお客様のメリットは十分あると思います。
個人のお客様が収益物件を売買される場合、金融機関が介入したり、手数料が発生したりします。しかし、当社で買わせていただければスムーズにできますし、不動産を別の用途に変えたい時にも当社のサービスをご紹介できます。事業として不動産管理をされている法人のお客様の資産ポートフォリオの見直しも当社でお手伝いできます。税理士の先生方にとっても、仲介だけを紹介されるよりもはるかに提案の幅が広がるのではないでしょうか。
売る、買う、貸す、借りる、何をするにしても、先生方が不動産のことで関与先様からご相談を受けられたら、「大和ハウスリアルエステートの担当者に聞いてみよう」とお考えいただけるようにしていきたいと思います。
幅広いレンジでお客様に貢献する
――大和ハウスリアルエステートは4つの事業領域をお持ちです。そういう意味では、親会社の大和ハウス工業にも匹敵する幅広さです。
山﨑:大和ハウスリアルエステートは、「不動産流通」「賃貸管理」「ソリューション」「開発」という4つ不動産事業領域で展開をしています。不動産の流通を仲介と買取販売の2つのカタチで推進しており、まずはここを知っていただきたいと思っています。不動産売買仲介では、土地・建物の売買において、長年蓄積してきたノウハウにより双方のお客様に満足度の高い取引をご提案いたします。また不動産買取販売では、住宅だけではなく、流動化しにくい土地、収益物件、事業用不動産も当社が直接買い取り、時代のニーズに応える再生で価値を高め、不動産の流動性を高めます。

この4つの事業領域というサービスを見ると、大和ハウス工業に近いサービスを想像されるかもしれませんが、大和ハウス工業とはレンジが異なりますし、私たちの場合は、既築の物件をリノベーションしてバリューアップしたり、そのまま持っておいて次のユーザー様に買っていただいたりできることに強みがありますので、大和ハウス工業とも連携をとりながら進めていきたいと思います。

――お客様からすれば、不動産に関するどのような問題や課題であっても、適切な対応をしていただけるということですね。
山﨑:例えば、先生方の関与先様が賃貸物件をお持ちで、今までは自分で管理をしていたが、手放してどこかに任せたいというケースがあります。当社では賃貸管理事業として、賃貸共同住宅だけではなく個人住宅の賃貸管理にも対応することができ、サブリース(一括借上転貸)、管理代行など、オーナー様のニーズに応じ、さまざまな管理方法をご提案できます。


また、当社は既築物件も扱いますし、収益不動産、不動産信託受益権を扱うソリューションもあります。他社が賃貸管理をされていた収益物件を当社で購入し、購入後の賃貸管理を当社で行うことで、付加価値をつけて次の購入者を探すこともできます。
このようなサービスを加速させるため、今回、当社営業推進室の社員を現場の各店舗に配置するカタチにしました。TKCの先生方との関係を生かしながら、地域に密着していくという方針に変えたわけです。
――不動産活用のさまざまな手段がある中で、より良いソリューションを選ぶための社内の仕組みのようなものはございますか。
山﨑:取締役会とは別に、経営会議というものを始めました。そこで、投資物件や先生方からご相談を受けた大きな物件について、どのように活用をするのがその物件にとって一番プラスになるのか、意見交換をするようにしました。当社はさまざまな手段を持っていますから、柔軟性という面で面白い展開ができそうです。そのため、仲介だけではなく、自社買い取りも現場に任せるようにしました。TKCの先生方から仲介で売ってほしいというご相談を受けた時、現場で買取のジャッジもすることができます。その上で、リノベーションをすることでバリューアップした建物にすることもできれば、建て替えることもできますから、先生方の関与先様の様々なニーズにお応えすることができるでしょう。
社員には、手数料を稼ぐだけの商売ではなく、お客様のため、会社のためにさまざまな工夫ができる面白みを知ってほしいですね。そのほうが仕事としての深みがありますし、自分の成長にもつながっていくと思います。
――すべての活動は、あくまでお客様のお考え、ニーズに対応されているということですね。
山﨑:まさにその通りです。通常、大手企業傘下の不動産会社の場合、不動産会社が購入した不動産は親会社が対応されることが多いでしょう。しかし、大和ハウスリアルエステートでは、建てることも含めて、基本的には自社の中で活用や工夫をしていきたいと考えています。また、お客様に無理にソリューションを押し付けることもしません。あくまでも建築する場所をご提供しているわけで、お客様が建てたいものを好きなように建てていただく。ベースにあるのは、お客様が望むことであり、大和ハウス工業を選択いただけるのであればそれでいいですし、そうでなければ他社を選ばれる。これは致し方ないことだと思います。
循環型社会の実現を目指す
――「リブネス」ブランドを掲げ、不動産ストック事業として再生、循環型社会の実現への取り組みも進められています。

山﨑:今、大和ハウス工業ではリブネスタウンの展開をしていますが、大和ハウスグループとしては、土地を造成し、建物を建てて、販売したものが空き家になってそのまま残っているものをどうするかという課題に直面しています。
当社としても、団地の再生という「再生事業」に取り組んでいきたいと思っています。当社の店舗が大和ハウス工業の作ったすべての分譲地、ネオポリスをカバーできているわけではないのですが、少なくとも当社店舗の近隣に所在する「緑が丘ネオポリス」や「上郷ネオポリス」のお客様、それから大和ハウス工業のマンション事業部が分譲したマンションに関しては、必ず当社に声がかかるようにしなければなりません。「お客様をさみしがらせない」と大和ハウス工業の芳井社長もおっしゃっていますが、売りっぱなしで、後は何もしてくれないでは困ります。アフターサービスも大事ですが、それ以上に、売却する時、貸す時にも私たちが常に近くにいることが大事です。
――団地の老朽化が進み、空き家問題も大きな課題になっています。
山﨑:京都で全国初の空き家税が導入されることになりましたが、これから日本中で空き家に高い税金が賦課される時代がくるでしょう。当社が店舗を出している地域に関しては、大和ハウスグループのお客様に限らず、幅広く空き家を再利用するお手伝いをしていかなければならないと思っています。既築物件に対して、単なる仲介であれば売れないような物件でも、当社では自社でリノベーション、バリューアップも可能です。解体するにも費用がかかりますから、解体費用がないのであれば、当社で買わせていただいて、解体して、更地にして、売却すればいいわけです。大和ハウス工業という建設会社が親会社にあるわけですから、さまざまなご支援が可能だと思います。
――現在、多くの会社で事業承継問題を抱えています。不動産事業者においても同様のことが起きていると思いますが、2025年問題といわれる中、今後は事業承継等のご相談も増えていくかと思います。
山﨑:事業承継に悩む不動産事業者は、本当に多くいらっしゃいます。こうした不動産事業者が保有されている貴重な資産を守ることも、将来の社会にとって大切なことだと思います。不動産管理業の事業承継で困っている会社様をグループ会社として取り入れていく、グループ会社化していくことも、今後は必要だと考えています。
――大和ハウスリアルエステートの臨機応変な対応が、これからのTKCの先生方、職員の皆様にとって、とても身近で重要な存在になりそうです。
山﨑:最初に申し上げたように、「不動産流通」「賃貸管理」「ソリューション」「開発」という4つ不動産事業領域のサービスを掲げており、体制に関しても常により良い対応ができるように刷新していくつもりです。大和ハウスグループが一体となって対応させていただきますので、不動産に関することであれば、何でもご相談いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【賃貸住宅における一括借上に関する注意事項】
- 賃貸住宅を賃貸する場合、借主(サブリース会社を含む)による一定の条件があります。
- 賃料は、契約開始日以降、賃貸借契約に基づき一定期間経過時およびそれ以降も契約に定める期間が経過するごとに、貸主借主協議のうえ、賃料の改定を行う場合があります。
- また改定時期にかかわらず、物価・経済状況の変動や近隣賃料の著しい変化等により賃料が不相当になった場合も、貸主借主協議のうえ、賃料の改定を行う場合もあります。
- 賃料改定の協議が、賃料の改定期日以降に整った場合は、改定期日に遡って改定されます。
- 賃貸借契約においては、契約の定めに従い、賃料の免責期間が適用される場合があります。
- また、建物や設備の維持修繕等においては、建物の所有者としてご負担いただく費用があります。
- なお、賃貸借契約期間中においても解約になる場合があり、また、貸主から更新の拒絶をされる場合には正当な事由が必要となります。