インタビュー

増山会計事務所 税理士 増山英和
事務所の強みを生かす「選択と集中」
専門分野以外はプロと連携することがお客様の安心にもつながる
さまざまな専門家とのパートナーシップによって
解決策を提案
増山会計事務所では、「税務・会計・経営の分野における専門家として、お客様の問題予測・回避・解決を図り、お客様・パートナーとともに成長し、地域経済の発展に貢献する」ことを経営理念としています。税務会計をベースに、不動産に関しても税金のプロとして申告業務を行いながら、土地の活用や売却のお手伝いもしています。
土地の活用や売却についてはいろいろな方策がありますが、基本的にはプロにお願いすべきだと考えています。一番多くの情報を持っているのはやはり専門家です。私たち税理士には、入口の段階でお客様から相談を受けることが多いのですが、実際の不動産活用の部分においては専門家に依頼しています。
ハウスメーカーや建設会社はさまざまです。不利益になるような提案を行う業者から関与先を護ることも、私たちが行うべき資産防衛業務のひとつです。大和ハウス工業の歴代の担当者は、仕事でもプライベートでも信頼がおける方々ばかりです。多くの関与先を紹介させていただきましたが、みなさま大変お喜び頂いております。過去の実績を見ても間違いありません。流通店舗やマンション、賃貸住宅、戸建てから物流センターまで、幅広い間口で事業を展開されているので、大和ハウス工業の担当者に相談すると、さまざまな切り口から問題解決を図ってくれるので安心です。
効果的な組織づくりによって、お客様に対応
TKC全国会の委員長を務め、多くの先生方と情報交換や事務所を見学させていただくことで学び、気づきが生じ、マネジメントスタイルの変革を図ることができました。トップ1人が全員をマネジメントするには限界を感じていたので、グループごとにリーダーを任命し、その下に3~4人のメンバーを置き、グループでの自発的な活動を重視した組織をつくりました。
資産税の対応においても、資産税専門のグループを設置しました。基本的にハウスメーカーの方々と接するのは、現在4人いる資産税チームです。このグループは主に相続税の申告、自社株式の算定業務を行っています。かつて巡回監査担当者が資産税業務も兼任していたこともありましたが、時間の制約や知識不足等の問題があったため専門特化したグループにしたのです。これによりハウスメーカーの担当者への相談や接触が多くなり連携と信頼関係が高まりました。
巡回監査グループの担当者は、定期的に関与先を訪問し積極的に社長と対話をしています。社長の「最近草むしりが大変なんだよ」という何げないぼやきも聞き逃しません。「不動産等の資産についてお悩みがあれば、事務所の資産税グループで解決できるかもしれませんよ」と伝え、この情報を資産税グループにトス上げする。次回の巡回監査時には資産税担当者を同行させることで、活用や売却等の具体的な話につながるのです。
今では事務所内で情報の共有化と対応ができるようになりました。どのような資産活用を行ったのか、をまず資産税グループの中で情報共有し、それを巡回監査の担当者にも伝える。するとイメージができ同じような事例があったとき、今度は巡回監査の担当者が資産税グループに伝える。このような情報の共有化・高度化により、関与先様をサポートする体制を構築することができました。
NPO法人 相続支援協会
相続でお困りの方々のために、NPO法人相続支援協会を立ち上げました。相続支援協会は、相続で悩む方の相談を受けたり、必要に応じて相続の専門家を紹介する組織です。茨城県内の弁護士、税理士、司法書士、行政書士、不動産コンサルタント、土地家屋調査士、不動産鑑定士など、相続に関係する専門家が事務所の垣根を越えて集まっているので、相談を受けたらワンストップで対応できます。まず概要をお話しいただいた後は、内容に応じた専門家を紹介し問題解決の手助けをしております。個々の専門家では解決できない場合には、プロジェクトチームを組んで仕事を完遂させます。これがこの組織の強みであり、ご評価をいただいています。
私は若かりし頃、仕事はすべて自分の事務所で行うつもりでいました。時間の余裕もあったのでしょう。しかしTKC全国会の活動を活発に行い、会員や提携・協定企業のそれぞれの分野でのスペシャリストに出会ったことで、自分は井の中の蛙であったことに気づきました。事務所の後継者として「あれもこれも」と事業展開をしておりましたが、時代背景も鑑み「あれかこれか」の「選択と集中」戦略にかじを切りました。事務所の強みを生かし、専門分野以外のことはその道の専門家にお願いしたほうが安心なのです。
税理士は一番身近な相談相手であるべき
関与先とのコミュニケーションが乏しいと信頼関係を築くことができず、親身な相談相手になることはできません。かつて確定申告のみの関与先を訪問した時、新しい賃貸住宅が建っているのを見て驚いたのと同時に不甲斐なさを感じたことがあります。建てる前に相談がなかったのは、信頼関係ができておらず、親身な相談相手になっていなかったのが原因です。関与先が悩んだら、真っ先に思い浮かぶ信頼される存在にならなければいけない、と強く決意した出来事でした。
私はよく「T字型人間になれ」という話をします。情報は幅広く持ち、税務会計、経営支援の専門分野は深堀りをする。まさにT字です。税務会計、経営支援のみ、となるとI字になります。経営環境が常に変化する現在、専門分野だけでは関与先のさまざまなニーズに対応することは不可能です。関与先にとって価値ある情報を日々収集し提供する。と同時に業況などの生きた現場の貴重な情報を関与先からいただくことで常に関与先とともに成長している、と実感しています。
私たち税理士は、関与先にとって最も身近で親身な相談相手です。月次巡回監査を通じて関与先の夢の実現に向けてしっかりと経営支援をし、共に成長できるベストパートナーでありたいと思います。