大和ハウス工業株式会社

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インタビュー

大和ハウス賃貸リフォーム株式会社 代表取締役社長 小髙 一浩様

オーナー様の資産運用全体に関わる
新しいビジネスに生まれ変わりつつある

大和ハウスグループで連携して幅広く対応

インタビュアー(以下:I):普段、大和ハウス賃貸リフォームとTKCの税理士の先生方とは、どのように関係を築かれているのでしょうか。

小髙:大和ハウス工業と関与先様が新築契約を結ぶ際には、税理士の先生方が関わりますが、弊社は税理士の先生方と直接関係する機会はそれほど多くはありません。ただ、営業所ではTKCさんの会合等に参加させていただいた時などに、賃貸住宅経営を長年されている関与先様からのご相談をお受けすることがあります。その際は、リノベーションなどを提案させていただいています。

I:大和ハウス賃貸リフォームの魅力や強みを教えてください。

小髙:やはり大和ハウスグループの一員であることが一番の強みだと思います。大和ハウス工業で施工した賃貸住宅の築年数が経ってくると、必然的にリフォームやリノベーションのニーズが高まってきます。そのときに、大和ハウス工業、大和リビングと連携して幅広く対応することができます。弊社がもっとも連携することが多いのは、日々、入居者に対応する大和リビングです。どうすれば入居促進が図れ、更には家賃アップが期待できるのかなど、大和リビングの元役員2名が弊社に参画してから、今まで以上に連携を図ることができ、今ではリノベーションや賃貸住宅経営についての提案を強化することができています。他社で建てた賃貸住宅を弊社がリフォームして、管理会社を大和リビングに変更することもあります。このような組織のつながりは、お客様にとって大きなメリットになるのではないでしょうか。

I:大和ハウスグループならではの組織力は魅力ですね。具体的な業務内容としてはいかがでしょうか。

小髙:私が考える弊社の大きな強みは、「点検」がしっかりしていること。社内認定を受けた96名の点検員がいて、月に約3000件の点検を行っています。オーナー様の収益のためにも、入居者様に長く快適に住んでいただくためにも、建物の5年、10年、15年、20年、25年、40年の定期点検は欠かせません。私たちは、オーナー様との接点が多いため、お互いの顔が見えていて、建物の様子がわかっています。ですから、点検内容に基づいた将来のメンテナンスやリノベーションの計画を提案したり、売却の意向をヒアリングしたりするなど、長期にわたってオーナー様とお付き合いができます。点検するのは大和ハウス工業で建てた賃貸住宅だけではありません。他社で建てた賃貸住宅なども、構造、防水、外壁など、さまざまな点検をしてからお客様にメンテナンスやリフォームの提案をします。建物の状況がわからずリフォームやリノベーションの提案をしても、適切な提案になっていないかもしれませんし、お客様との信頼関係は築けません。

リノベーションによるバリューアップで付加価値を高める

I:小高社長が大和ハウス賃貸リフォームに移られてからの3年間でビジネスはどのように変化しましたか。

小髙:大きな変化は2つあります。ひとつ目は、大和ハウス工業が建てた件数と他社で建てた件数の比率です。分社化前は、大和ハウス工業が建てた賃貸住宅が仕事の約85%を占めていました。現在は、売上増に伴い他社で建てた賃貸住宅や住宅などが増えているため、大和ハウス工業の割合は75%程度となっています。お客様の約75%が大和ハウスオーナーなのは、我々は点検や定期メンテナンスでオーナー様と顔を合わせる機会が多く、建物の状況をよく理解しているという強みがあるからです。ふたつ目の変化は、仕事の内容です。これまでは外装がメインでしたが、近年ではリノベーションの件数が伸びています。

I:オーナー様と長いお付き合いをしていると、住宅の部分的なリフォームのみならず、建物全体として付加価値をつけるリノベーションのご要望もありそうです。

小髙:以前は、賃貸住宅は100年間で3回建て替えが必要でしたが、技術の発展によって賃貸住宅の躯体が丈夫になり、今は2回の建て替えで済むようになりました。しかし、建物が50年、60年もつようになっても、建ててから20~30年経つと設備や間取りのニーズが変わります。それらに対応して再投資することが、空室対策や家賃の値上げにつながるのです。ですから、リノベーションには費用がかかりますが、建て替えが3回から2回になった分、リノベーションをして建物に再投資するという考え方をオーナー様にお伝えします。

I:どのようなリノベーションが人気なのでしょうか

小髙:今は、国から補助金が出る窓のリノベーション、通称窓リノベが人気です。弊社でも非常に増えています。断熱効果の高い窓リノベのほかにも、外装、内装、外構など手立てはいろいろとあります。さらに、賃貸住宅以外にも、オーナー様の自宅、倉庫、店舗のリノベーションなど、事業領域は広がっていますね。

I:大和ハウス工業の賃貸住宅を購入後、バリューアップして再販することにも力を入れていきたいとお聞きしました。

小髙:はい、昨年度の実績は6件でしたが、今年度上期から本格的に取り組んでいます。大和ハウスが供給した賃貸住宅は120万戸以上ありますので、築年数が古かったり、築年数が短くても代替わりした後継者が賃貸住宅経営に興味がないという場合は、売却を検討されることもあります。社内データによると、大和ハウスグループで建てた賃貸住宅をオーナー様が売却する際に、大和ハウス工業が関与したものは約30%しかありませんでした。残りの約70%に関われなかったのは、大変もったいないことです。大和ハウス工業や大和リビングと連携をより強化して、我々が力を入れて取り組まなければならないところだと思います。弊社が賃貸住宅を買い、外壁・外構をきれいにしたり、付加価値のあるリノベーションをしたりしてバリューアップして、資産価値を高めて売却します。賃貸の需要が減りつつあるといわれる地方都市でも、バリューアップしてすぐに売却できたケースもあります。このビジネススキームを活かせば、人口減少に伴う日本全国の空き家増加問題にも貢献できるのではないかと思っています。他社で建てた賃貸住宅でも、もし売り先がなかなか見つからない関与先様がいらっしゃれば、私どもに声をかけていただきたいと思います。

お客様の資産運用のアドバイザーでありたい

I:お話をうかがうと事業の幅が大きく広がっているようですね。

小髙:社名に「リフォーム」とついていますが、単純にリフォームを請け負うだけの会社ではなくなりました。賃貸住宅に関するご相談をいただいたら、点検を行い、オーナー様のニーズに沿ったリフォームやリノベーションの提案をします。また、グループ力を生かしポートフォリオの見直しや、賃貸住宅を買い取ってバリューアップして再販したり、売却先を探すこともしています。つまり、私たちの仕事は、修繕・リフォーム工事から、オーナー様の資産運用全体に関わり、収益性を高めるさまざまな方法を模索するという新しいビジネスに生まれ変わりつつあるのです。さまざまな賃貸住宅に対応してきましたからノウハウはあります。そのノウハウと大和ハウスグループの組織力を活かして、オーナー様が求める資産運用のご相談にもより専門的な立場で応えられるアドバイザーのような会社にしていきたいと思います。オーナー様の資産を守る点というでは、TKCの先生方と我々の目的は同じですから、どんどんお声掛けいただき、協力や連携をお願いしたいところです。

I:税理士の先生方に伝えておきたいことがあればお願いします。

小髙:私は、自利利他でオーナー様に貢献することが一番だと思っています。大和ハウス工業が開催するオーナー会に参加して、全国のオーナー様と懇親を図ったり、リノベーションのセミナーをやらせていただいたりしています。弊社が設立された大きなメリットとして、大和ハウスグループの連携が強くなったことをオーナー様に感じていただければと思います。また、かつて外装が仕事のメインだったころは、資格がない従業員が多数でした。しかし、これからはオーナー様の賃貸住宅経営にコミットしていく必要があります。宅建や賃貸管理士などの資格がある社員が増えると、オーナー様も税理士の先生方も安心でしょう。社内教育を続け、税理士の先生方が安心してタッグを組める組織にしていきたいと思っています。