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コラム No.53-2

PREコラム

戦略的な地域活性化の取り組み(2)次世代における地域開発の方向性を探る

公開日:2018/06/29

7月に再始動するJヴィレッジに復興の期待が集まる

福島県浜通り南部に位置するJヴィレッジは、1997年に開設されたスポーツ施設です。米国マイアミ州のIMGスポーツアカデミーとまではいかないまでも、サッカートレーニング施設としては日本最大規模で、サッカー以外のラグビー、アメリカンフットボール、卓球、バスケットボール、バレーボール、バドミントン、チアリーディングなどの競技の試合や練習、合宿も可能です。また一般の来場者も、フィットネスクラブやレストランなどを利用することができて、企業の社員研修やビジネス客の宿泊などスポーツと関係のない利用も可能となっており、2011年3月までの利用者は、延べ約100万人といわれています。
しかし、東日本大震災で、津波の被害はなかったものの、原発事故に伴いスポーツ施設としては全面閉鎖され原発事故の対応拠点となっていました。それが今年7月に再開されることになったのです。Jヴィレッジの再開により、復興への足掛かりとして、特に近隣の広野町や楢葉町の避難区域解除後の住民帰還促進につながればとの期待が集まっています。

各地で続々とスポーツ施設を核とした地域開発が進んでいる

高崎アリーナは、群馬県高崎市がスポーツを都市集客の大きな要素と位置づけ、全国・世界レベルの大会やプロスポーツの試合が開催できる施設として、高崎駅前に昨年オープンした多目的スポーツ施設です。高崎は東京から新幹線で1時間弱、また上越新幹線と北陸新幹線の分岐点にもあたり、今後、多方面から多くの集客が期待されています。
長崎市では、プロサッカーJ1に昇格したV・ファーレン長崎のスポンサー企業が今年、長崎駅前にあった長崎重工長崎造船所跡地にサッカー場と大型ホテルからなる地域開発を行う計画を発表しました。観光地とはいえ、地場産業の衰えが著しい環境を、スポーツ振興をキーワードとして再開発し、地域振興を図る取り組みとして注目されます。

企業誘致から地域開発による集客型への転換

その他にも、樺細工で有名な秋田県角館の桜まつりや大曲の花火大会、埼玉県川越市の小江戸としての街づくりなどの事例では、国内はもとより外国人観光客の流入が年々拡大し、観光地としてのポテンシャルが顕在化しています。
少し前までの地域振興策といえば、工業団地を整備して企業を誘致し、雇用を確保することで人口の流出を防ぐといった“待ち”の戦略が多かったと思います。一方で、助成金や税制優遇で企業を誘致はしたものの、生産ラインが自動化されて、あるいは工場自体が海外移転して、雇用促進に貢献しなかったという事例も見られました。それが最近では、地域の魅力を再開発し、積極的に国内外から集客するといった“攻め”の戦略が多くみられます。これによって、集客(観光・観戦)⇒リピート(魅力の再発見)⇒ 移住(住んでみる)⇒定住(住民となる)といった、中長期的な効果がでれば、地域の活性化につながると期待されます。

これからの産業構造が人々の生活を変える

振り返ってみると、戦前戦後の日本は化学、電機、石油、鉄鋼といった重化学工業によって工業立国となり、続く情報化社会にあっても、コンピュータや通信ネットワーク時代の波にうまく乗ってきたのだと思います。これによって、大都市圏の過密化と地方の過疎化という課題を残してきたものの、都市間のネットワークという社会資本は整備されています。このことは、地方都市にあっても、将来的に明るい材料ではないでしょうか。
現代は、第四次産業革命の入り口にあるといわれています。ひと言で言えば、工業と通信の融合化、機械間のコミュニケーションを可能にする社会といえます。家電品や自動車などが通信ネットワークで結ばれ、人工知能がセンサーで状況を監視しながら自動運転化されたり、人工知能をもったロボットが人間の仕事を支援することが現実化します。
また、通信ネットワークは国を超えて世界規模でグローバルに結ばれるので遠隔地からの制御も可能です。バイオ、ゲノム技術によって医療技術や新薬開発も進むでしょう。その結果、人々が都市に集積して画一的な生産活動を行う必然性が減るのではないかといわれています。

第四の波に乗って地域活性化を考える

人々のニーズも多様化し、経済的な豊かさだけではなく、健康で文化的な人間本来の幸福感を求める人が増えています。観光事業やスポーツ振興、地域の多様性を活かした人材教育など、過密化した大都市にはない自然豊かな地方色を活かした取り組みは、さまざまありそうです。そして、近年少しずつ増加している、地方に移住・定住を望む若者や子育て家族、退職後にUターンを決意する初期高齢者、観光をきっかけとして日本への移住を希望する外国人などが牽引役となり、地方の多様性を深めていく兆しもあります。
日本の地方部には、まだまだ開発の可能性を秘めた資源があるはずです。即効性はないかもしれませんが、10年、100年先を見越して、工業化一辺倒の発想を変え、将来の産業構造と地域特性、多様化するニーズを見据えた再開発を進める必要があるのではないでしょうか。

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