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コラム No.53-4

PREコラム

戦略的な地域活性化の取り組み(4)官民連携で空き家問題を解決

公開日:2018/08/30

今回は、官民連携による空き家や空き店舗の活用事例を見ながら、地域において課題を解決する具体的な手法について考えたいと思います。

地域の空き家・空き店舗の活用への取組プロセスをみる

一般社団法人「まちづくり八王子」が中心となって取り組んだ「空き店舗撲滅プロジェクト」。このプロジェクトは、さまざまな活動を記録したハンドブックとしてまとめられており、地域における空き店舗や空き家の活用を促進するための戦略的な創意工夫が詰まっています。ここから、取り組みのプロセスをご紹介します。

  • (1)地域の空き店舗の現状を徹底的に知る
    空き店舗問題の解決には、まず地域の現状を客観的に知る必要があります。そのためには、空き店舗を調査するだけではなく、地域内にあるすべてのテナント物件、業種構成、有効活用が期待できる「空き地」や「空き家」などについて徹底的に調べ上げ、今後空き店舗となる可能性の高い物件や出店地域の不足業種、住民ニーズなどを把握して、将来的な活用を意識した基礎資料を作ることが大切だとしています。確かに、空き店舗や空き家問題を解消する最終目的は、地域を活性化することであるはずです。単に空き店舗や空き家が減ったとしても、賑わいが創出できなければ、いずれは廃業や閉店が増加してしまいます。そうならないためにも、地域全体の状況を把握し、空き店舗を活用した将来像を描いて計画を立てる必要があるのだと思います。
  • (2)空き店舗オーナーの本音を知る
    空き店舗となっている要因、オーナーが賃貸を望んでいるのか、どのような業種にかしたいのかなど、オーナーのニーズや課題を収集し、オーナーとの強固な信頼関係を作り出すことが大切だとしています。
    空き店舗や空き家を放置しているオーナーは、他の収入源を確保していることも少なくなく、自分自身の緊急な課題であると感じていない方々も多いのではないかと考えられます。また、不動産事業者においても、仲介している物件が地域にとってどのような存在なのかという意識も薄いのではないでしょうか。そこで、まちづくりを推進する団体などが直接オーナーと腹を割って話しをすることで、地域課題への関心を高めるのは重要なことです。
  • (3)オーナーに空き店舗の活用方法を提案する
    オーナーとある程度の信頼関係ができた後も、問題解決をオーナー任せにするのではなく、どのような業種のどのような店舗が地域にとって魅力的なのか、地域住民がどのような店舗を望んでいるのかなど、空き店舗ごとに提案し、オーナーが自身の物件の再生を積極的に考えるきっかけを提供することが必要です。
    オーナーが空き家の価値を認識し、早期の賃貸を考えると、賃貸料の設定や改装の許容範囲などに柔軟に対応できる場合もあり、入居条件がより魅力的になることが期待できます。
  • (4)空き店舗情報の情報発信拠点を持つ
    地域の空き店舗・空き家マップやオーナーとの信頼で得た入居条件などの情報を、入居希望者に対して発信する拠点(案内所)など、オーナーや不動産事業者と入居希望者のコーディネート機能を設置することも大切です。
    近年の傾向として、若者や女性の起業意識も高まっており、手頃な店舗で開業する事例も増えてきています。そのような開業予備群に対して、官民が連携して情報提供やマッチングを推進することも、効果的だと思います。

地域の空き家・空き店舗の活用への取り組みプロセスには、官民一体となった共通点がある

以前ご紹介した志賀島自治協議会とカラクリワークス株式会社が運営している「志賀島空き家プロジェクト」も、八王子におけるプロジェクトと同じようなプロセスを継続的に実施しています。
このように考えると、主に行政が中心となった空き店舗・空き家の解消施策のみではなく、地域活性化に向けたトータルな空き店舗・空き家活用策として、官民一体となって持続的に推進している取り組みが、効果を上げているようです。そして、八王子や志賀島の事例では、若者や学生の参画が活発であることも特徴となっています。

地域を活性化させるにあたっての地域課題は、空き店舗・空き家問題に限らず、商工業の時代的な衰勢、伝統的工芸や祭事の承継問題、住環境の変化など、さまざまあります。1つの課題を解決するには、解決施策を策定し、PDCAサイクルを回すことで効果を確認しながら推進するのが一般的な手法だと思います。しかし、複数の課題が多発する場合などには、個々の課題に対応するだけでは難しいケースも出てきます。
地域では課題として認識されていても、全国的な問題となるまで問題が放置されることもよくあります。地域課題を官民連携により地域内で持続的に解決していく仕組みが構築されるのが理想的です。

世界的にも例を見ない発展をし、今なお活性化している地域として、米国シリコンバレーがあります。第二次世界大戦以前は、これといった産業も無い土地でしたが、第二次世界大戦において、スタンフォード大学で軍事関連研究が盛んになり、それに伴って、地域で軍事産業が勃興しました。戦後も軍需で培った先端技術を生かしたハイテク企業が生まれ、大学を中心とした産業集積が起こりました。ここまでは、日本を含め多くの国で見られる現象かと思います。シリコンバレーが特異なのは、産学連携の強みもありますが、企業自体が新たな産業の支援者(メンター)となって人材や資金、知財の供給源となり成長スパイラルを生み出す仕組み、いわゆるシリコンバレー・エコシステムが構築されたことです。この仕組みは、現在でも地域成長モデルとして、国内各地、各国で地域開発の手法として研究が進められています。
地域におけるエコシステムを生み出すのは、そう簡単ではないと思います。しかし、少子高齢化、産業構造の変化とグローバル化が叫ばれている現在、地域独自の将来的な利益創出のために、ヒト・モノ・カネの持続可能な循環システムを、地域の行政や企業、住民が連携して再構築する時期に来ているのかもしれません。

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