インタビュー
TKC関東信越会 茨城支部 高谷豊 会員
精力的な活動で関与先さまの有意義な資産活用を支えるTKC会員にお話を伺いました。
※本コンテンツは、情報誌TKC&D CREARE vol.89掲載記事のロングバージョンです。
ライフプランの視点を
不動産活用の提案に活かす
すべては関与先の幸せのために
不動産活用を取り巻く環境の変化に対応する
インタビュアー(以下:I):開業された当時のことを教えてください
高谷会員(以下:高谷):勤めていた都内の税理士事務所から独立し、故郷の茨城県つくば市で開業したのが2003年のことです。担当していた幾つかの顧問先を引き継いでのスタートでした。TKCへの入会当初に、大和ハウスさんと協定を結びましたが、当時はとにかく関与先を増やすことが最優先で、土地活用の提案にまではなかなか意識が向くことはなかったです。
それはちょうど、つくばエクスプレスの開業前後で、沿線の開発が活発化しだした頃。市内では、多くの地主の方が賃貸住宅経営を始められるケースが多く見受けられましたが、当時の私の周辺には、そのような資産家の方はおられませんでした。ですから、土地活用の現場にふれることなく、本来の業務で目の前の方一人ひとりに向き合う毎日を過ごしていました。
I:関与先さまの不動産活用に関わるようになったきっかけは何でしょう
高谷:大和ハウスさんと協定を結んだご縁から、茨城支店で開かれる個別相談会に招かれることがあり、賃貸住宅の建築を検討されているお客さまの中から「税理士に相談したい」という方や個人で確定申告をしている方をご紹介いただきました。その流れで、何度か税務対策の効果検証や相続税の試算などもサポート。結果として出た数字をもとに、悩む方の背中を押す役目なのですが、私が土地活用による課題解決を積極的に提案するまでには至りません。でも、思えばこれが”税理士として土地活用に関わるきっかけ“になり、貴重な成功体験として、いまに活きているのだと思います。
そんな経緯があるものですから、関与先から不動産や資産に関する課題が伝えられたら、一つの解決方法として土地活用を提案したり、大和ハウスさんをご紹介するというのが、いまも続けている私の基本スタンスです。
I:その当時といまとでは、不動産活用を取り巻く環境がずいぶん変わってきたように思われます
高谷:そうですね。私の肌感覚でいえば、10年ほど前まで土地を活用することは、“遊休地対策や相続対策として、所有地に賃貸住宅や収益物件を建て収益を得る”というのが主な目的と手法で、その他のスキームはいわば特殊なケースでした。また、資産の中でも不動産は特別な存在で、家族代々減らすことなく受け継がれていくものだという考えが、特に地方では一般的だったと思います。土地持ちの関与先がほとんどいない私は、情報誌「TKC&D CREARE」や大和部会の事例発表などから、「他の会員は、土地活用の潜在的なニーズをどのようにつかみ、話を進めているのか」とヒントを探っていたものです。
しかし、おっしゃるように時代は着々と変化。土地を他の資産と同じように捉え、活用する目的もこの10年の間に実に多様化してきたと思います。たとえば、「不動産賃貸業を新たな事業の柱にする」「スムーズな事業承継に向けての株価対策」、「法人の第三者承継(M&A)を優位に進めるための資産の組み換え」「ライフプラン(終活)に合わせた資産の整理」等々、相続・遊休地対策以外の目的に不動産を活用する事例が増えてきたことを感じています。また、手法も所有地への建築や建て替えだけでなく、新たな土地や分譲物件の購入、場合によっては所有物件の売却など、不動産の可能性はかなり拡がったのではないでしょうか。
I:そうした“変化”による影響はありますか?
高谷:私の場合、いままで長くお付き合いしてきた関与先がフィットするようになってきた、つまり不動産活用をご提案する新たな余地が生まれてきたといえます。順調に業績を伸ばしている法人、新たな事業展開を考えている経営者、あるいは後継者不在で事業の継続に悩んでおられる方、そういった方々に不動産を絡めた前向きな提案がしやすくなってきました。こうした時代の変化は、私自身の視点を変え行動を変えたのです。
I:具体的に関わられた事例はありますか?
高谷:昨年、ある関与先から受けた相談です。その方とは、確定申告のみの契約でしたが、日頃から何かしら顔を合わせ、相談や世間話をする間柄。夫に先立たれ独り暮らしを続けてこられましたが、ご自身の将来的な相続におけるお子さまの負担を心配され、あるとき「所有する自宅兼マンションを売却したい」という思いを聞くことができました。さらに「売却後も自宅に住み続けたい。実は、TVCMで知った他社で話を進めているが、価格に納得がいっていない」とのこと。私は、事務所の協定企業である大和ハウスさんで相見積りをとることをご提案しました。さらに安心いただくため、(仲介の)営業担当者にも同行。結果的に納得の価格で売却できました。
いままでなら、『建て替えましょう』とか『住みかえましょう』など、一見ポジティブに感じる提案しかできなかったかもしれません。こうした“終活”の一環としての不動産活用も今後は増えてくるのではないでしょうか。そういった意味でも、関与先のニーズに柔軟な答えを出してくれる大和ハウスさんは、心強いパートナーだと思います。
関与先の人生に寄り添うことでより良い提案が生まれる
I:今後、関与先さまへの提案において重要なことは何でしょうか?
高谷:不動産や資産を持っている方であれば、相手構わず提案すれは良いものではなく、あくまでタイミングが重要です。それには相手のまず”変化“に注目すること。私たち税理士が一人ひとりと”顔を合わせる“関係を長く続けるうちに、自ずとその変化は見えてくるものです。
私は開業23年目ですが、関与先も同様に年齢を重ねました。たとえば、次世代への事業承継が難しければ、その経営者個人のこれからのライフプランに思いを馳せ、終活の一環として資産の整理をお手伝いする、または不動産賃貸業への事業転換だって選択肢の一つになります。
実は、具体的に進めようと考えている案件が2件あります。1件は、開業前からお付き合いのある高齢の夫妻で、東京の下町の商店街の3~4階建てビル(自宅兼店舗)でご商売をされています。お子さまが家業を継がれないので、「不動産の売却」と大量の顧客データを価値ある資産に「事業の第三者譲渡(M&A)」の提案を検討中です。もう1件は、飲食店の後継者へのアプローチ。経営を安定させるため、賃貸住宅や貸店舗を購入して、不動産賃貸業を新たな収益の柱とする計画として提案したいと考えています。
「本業が大事」。誰もが言い、私もそうだと信じてきました。でもそれがすべてではなく、後継者問題などに課題を抱える方に対して、私たち税理士がサポートできることは何か。選択肢を狭めることが、かえってその未来の可能性を狭めることになってはいけないと思うのです。
I:関与先さまと長く寄り添うほどに見えてくるものがあると
高谷:だからこそ私たちは、関与先の将来を支えていく ために、もっと提案の幅を拡げなければなりません。そこで頼りになるのが協定企業。特に大和ハウスさんは、幅広い領域で事業を全国展開されていますから、さまざまなニーズとつながりやすいと思っています。なかでも、事務所に訪問してくださる営業推進担当者は、一つの事業領域にこだわることなく、オーダーメイドな対応が期待できると信じています。税理士であれば、一人の関与先に長く寄り添うことで、資産における何かしらの課題が見えてくるはず。それは不動産で解決できるのか否か、考えて答えが見つからなかったら、大和ハウスさんに相談してみることをお勧めします。
I:高谷会員の関与先さまへの思いが伝わってきます
高谷: 私には、「一人ひとりの関与先が好きで、幸せな人生を送ってほしい」という思いがあります。だからこそ、その方の事業だけでなく、その人生にまで寄り添いたいのです。
提案前には、事業全体から経営者の個人的な資産背景までよく注目することが大切。たとえ確定申告のみの方であっても、都合が合った際には近況を知るために立ち寄り世間話をします。すると、何かひらめくことがあるはずだと思うのです。もしかしたら、次世代とのつながりが生まれるかもしれません。特に地方ほど直接顔を合わせる手間を惜しんではいけませんよ。
そして後日でいいので、大和部会などで発信される物件情報などのインフォメーションと、どんな状況の方がフィットするかを考えてみる、そういった習慣をつけてみましょう。そのときは、相手の立場に立ち「このままだとどうなるか」と将来を想像することが大切です。
I:今後の展望をお聞かせください
高谷:私にも後継者はいません。古くからの関与先と同様、年齢的にもそろそろ次のステージを意識する時機となりました。これからは年々、新規客を大幅に増やすことや創業支援に注力することが難しくなり、提案する内容もライフプランの視点でとらえた事業承継や事業転換、資産整理などに関するものが増えるかもしれません。しかし、一番に望むのは関与先の幸せ。引き続き、何事にもポジティブに取り組んでいきます。
高谷 豊 (たかや ゆたか)
税理士・行政書士 2003年に茨城県つくば市にて高谷豊税理士事務所を開業。2018年に行政書士業務を開始。地域密着型の“寄り添うサポート”で、税務・会計・決算・申告に関する業務の他、創業・独立の支援、経営相談等の業務など、幅広く取り組まれています。
創業・経営革新アドバイザー。TKC関東信越会茨城支部所属。
2019~2025年、資産活用委員長。




