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TKCコラム

PREの活用が地方再生の決め手

現在、多くの地方自治体は、人口減少による経済の減退、自治体の予算削減の問題を抱えているなか、新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって、さらに厳しい状況となっています。 そこで国は、内閣府地方創生推進事務局からの「まち・ひと・しごと創生基本方針2020」が閣議決定し、「雇用の維持と事業の継続、経済活動の回復を図るとともに、感染症克服と経済活性化の両立の視点を取り入れ、デジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進しつつ、東京圏への一極集中、人口減少・少子高齢化という大きな課題に対し、取組を強化する」とし、特に、「感染症の克服と危機に強い地域経済の構築(地方創生臨時交付金)」「地方への移住・定着の推進」を実施していくとしています。

新たな時代のまちづくりを行ううえで、地方活性化の鍵を握ると考えられているのがPRE(Public Real Estate:公的不動産)戦略です。

実際のPRE戦略実施状況

では、実際のPRE戦略実施状況はどのようになっているのでしょうか。
国土交通省による「公的不動産の合理的な所有・利用に関するアンケート調査(2008年)」によると、地方公共団体における公的不動産のマネジメントの状況に関して、98.2%とほぼすべての地方公共団体が「不動産の合理的な所有・利用の必要性を感じている」と答えています。しかし、その8割以上が「必要性を感じているものの実施していない」と答えているのが実情です。
さらに、保有するPREに対し、活用方針などを定めたガイドラインを策定しているかとの質問に、ガイドラインを「策定している」と回答した地方公共団体は、全体の6.2%とごく少数で、一方、「策定しておらず、今後も特に予定していない」と答えた地方公共団体は、実に全体の50%を占めています。
この調査結果からは、適切なPREマネジメントの必要性を感じながらも、具体的な方向性や手段を持つまでには至らないという、自治体の実態が浮かび上がっているといえそうです。

PREの利用・活用手法の多様化

不動産の活用が問われるなか、高度成長期に建設された施設の多くが老朽化し、その修繕やメンテナンスにもコストがかかっています。むしろ、多くの自治体において、PREが価値を生み出すどころか、負の遺産と化しているケースも少なくありません。
この状況を踏まえ、不動産を所有することから利用することへ、移行を促すためのさまざまなスキームや方法が生まれ、制度化されてきました。
新たなニーズに合ったまちづくりを行ううえでは、PREの適切な管理とともに、民間の力をうまく活用することが、コスト削減やリスク回避につながるものと考えられています。
民間の力や財力を活用する方法はPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ:公民連携)と呼ばれます。たとえばインフラ事業などで、従来地方自治体が公営で行ってきた事業に、民間事業者が事業の計画段階から参加して、設備は官が保有したまま、設備投資や運営を民間事業者が行うなどの方法があります。
また、PFI(プライベイート・ファイナンス・イニシアティブ)と呼ばれる民間の資金を活用する方法も、不動産の証券化などの手法を通じ、民間活力や民間資金の導入、利活用手法の多様化といった観点から制度化され、大きな進展を見せています。

現在、施策の大きな課題となろうとしているのが、「東京企業による地方でも新しい働き方」の推進でしょう。「まち・ひと・しごと創生基本方針2020」のなかでも、①地方、②東京に立地する企業、③働き手、にとってメリットのあるリモートワークやサテライトオフィスの在り方を検討するとともに、政府関係機関におけるリモートワークの方向性についての調査検討を進め、しごとの地方移転と社員等の地方移住を推進するとしており、PREを活用した、新たな「働く場」の提供は、地方自治体にとってひとつのソリューションとなりそうです。