TKCコラム

空き家を活用するには
空き家の発生原因の半分以上が相続ともいわれています。少子高齢化が進み、相続すべき土地や建物があっても、そこに住んだり管理したりする人がいない状況が生まれているようです。どのような対策が考えられるのでしょうか。
活用方法を検討するための準備
居住できる建物があるにもかかわらず、住むことができない場合、何もしなければ空き家となってしまいますので、空き家のままにしないためには、何らかの対策が必要となります。
具体的には、「売る(そのまま売る、解体して売るなど)」「貸す(そのまま貸す、リフォームや建て替えをして貸すなど)」「自分で活用する(別荘にする、無料で提供するなど)」といった方法が考えられます。
立地条件によって限定される部分はありますが、実際にはさまざまな方法が存在しますので、具体的な手法・方法については、専門家に相談することをお勧めします。
専門家とは、法律や税金の専門家である弁護士や税理士、司法書士、行政書士などが該当します。これらの専門家からは、手続きや税金などについてのアドバイスを得ることができます。
また、不動産や建築施設に関する専門家として、不動産鑑定士、土地家屋調査士、建築士等、そして、不動産業者、建築・リフォーム業者など、不動産に関する事業者も相談相手として有効です。その空き家がどのような市場価値があり、どのような活用方法があるかなどのアドバイスを得ることができるでしょう。
専門家の例 | 弁護士、税理士、会計士、司法書士、行政書士、宅地建物取引士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、建築士等 |
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事業者の例 | 不動産業者、建築・リフォーム業者、解体業者、リサイクル業者、金融機関等 |
政府広報オンライン(年々増え続ける空き家!空き家にしないためのポイントは?)より作成
このような相談先がない、どこに相談すればいいのか分からないときには、自治体に相談をするのもひとつの方法です。自治体の中には、空き家の相談窓口を設け、所有者のニーズにあった専門家や事業者等の紹介などを行っているところもあります。
資産運用として活用する
お持ちの不動産が、自分では住むことはできないけれども、使用ニーズはありそうだと判断できれば、資産運用のひとつとして活用することができます。継続的な収益にもつながりますし、大切な不動産を手放すこともありません。建物を建築しなくても駐車場として活用することもできますので、立地条件に合った適切な方法を選択することができれば、有効な資産運用の手だてとなるでしょう。
ただし、資産運用を行うということは、不動産経営を行うということです。経営者としてさまざまなことに対応をしなければならなくなりますので、将来を考慮した準備と計画が必要となります。
空き家バンクに登録する
今すぐに活用することはないが、将来的には「売却したい、賃貸したい」と考えている場合は、国土交通省が支援する「空き家・空き地バンク」に登録するのもひとつの方法です。
国土交通省では、自治体が把握・提供している空き家等の情報について、自治体を横断して簡単に検索できるよう「全国版空き家・空き地バンク」を構築しました。公募により選定した2事業者(株式会社LIFULL・アットホーム株式会社)が平成29年(2017年)10月より試行運用を開始。準備が整った自治体から順次掲載を進め、システムの改善等を行った上で、平成30年(2018年)4月より本格運用を開始しました。
全国版空き家・空き地バンクは、令和5年(2023年)2月末時点で949自治体が参加、11,528件の物件が登録されています。順次、物件情報の掲載等を推進中(現在、603自治体が掲載中)です。(参考:国土交通省「空き家・空き地バンク総合情報ページ」)
空き家の管理代行サービスを利用する
空き家のまま何も行わないのであれば、最低限の管理が必要となります。通風、通水、清掃、郵便物の管理などを含め、災害時の対応も行う必要があります。
遠方にあったり、行く機会が少ないという人は、有料の空き家の管理代行サービスを利用するのもひとつの方法です。
大和ハウスグループの大和ライフネクストは、ホームセキュリティや防犯の総合対策サービスを提供する警備会社と業務提携を行い、全国にて機械警備による24時間監視や、有人巡回によるサービスを通して、お客さまの代わりに空き家の点検や管理作業を行っています。
空き家対策に関する税制特例
国は、空き家問題の早期解決に向け、税制に関してもさまざまな特例措置を用意しています。
主な特例措置として、「空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)」「居住用財産の譲渡に関する特例措置」があります。
また、譲渡価格が500万円以下の低額の低未利用地等(土地とその上物)を譲渡した場合、譲渡所得から100万円を控除するという「低未利用地の適切な利用・管理を促進するための特例措置」は、令和4年(2022年)12月31日までの譲渡が対象でしたが、令和5年度の税制改正により、現行の措置を令和7年(2025年)12月31日まで3年間延長となりました。
詳しくは国税庁や国土交通省の情報をご参照ください。
土地や建物は本当に大切な資産です。空き家になりそうだと感じたら、早めに準備することが何よりも大切です。また、この資産をどのようにしていきたいのかという思いが具体的な方法につながりますので、専門家に相談しながら、検討を進めましょう。