大和ハウス工業株式会社

DaiwaHouse

DXアニュアルレポート2025

DX推進を支える組織体制

スポーツクラブNAS

目的、ビジョン

スポーツクラブNASでは、デジタル化で「業務の省力・省人化」、DXで「マーケティング改革」を推進します。
当社ではお客様との各種手続きや情報管理の多くを書面で行っています。サービスが多様化するなか、それら手続きの種類と量は年々増加傾向にあり、個人情報など重要な情報が記載された書面の管理にも多くの時間を要し、従業員の業務を圧迫しています。また、社内の各種申請も書面での記入・捺印が多く従業員の負担となっていました。
デジタル化の目的は、それら定型業務の省力・省人化を図り、そこから生まれる時間や余力をお客様へのサービスにさらに充当し、顧客満足度を高めることにあります。

次にDXについて。会員制スポーツクラブである当社のビジネスモデルは、新規会員の獲得と利用継続が収益の根幹を成しています。しかし近年、専門特化型ジムの増加など市場の競争環境は激化し、顧客のニーズも多様化しています。
月会費を収益の柱とする当社にとって、毎月の入会・退会動向を迅速に把握し、その都度行われる販促施策や定着施策の有効性をタイムリーに分析することは、事業運営の生命線です。しかし、これらの分析と改善のサイクルを手作業で行っていては、変化の速い市場に対応が追いつかず、機会損失が慢性的に発生し、効率よく会員の増加が図れない状況を生み出します。

こうした状況下で持続的な成長を遂げるため、当社はDXを事業成長の新たな原動力と位置づけ、データドリブンな事業運営への変革を加速します。具体的には、顧客情報やマーケティングデータなど、社内外に散在する情報を一元化し、その分析を自動化する基盤を構築します。
これにより、新規入会者獲得に向けたマーケティング施策の最適化,新規入会者の初期定着を阻害する要因の特定と対策,各種施策の効果検証の迅速化などを実現し、勘や経験ではなく、データに基づいた合理的な意思決定を可能にします。この取り組みを通じて、顧客一人ひとりにとって価値あるサービスを提供し、事業基盤の強化を図ってまいります。

取り組みの全体像

デジタル化とDX、それぞれ手法は異なりますが、目指すゴールは同じです。
デジタル化は「省力・省人化により従業員の余力を高め、お客さまの満足度アップに注力できる環境をつくる」。DXは「マーケティングの自動化・効率化で一人でも多くの方に入会していただき、データや実績に基づく接客サービスで1日でも長く利用してもらう」。
すべては「お客さまのため」であり、市場の変化で揺らいでいる「スポーツクラブ事業の根幹を再整備」するためのものです。
そのゴールへの指針を全従業員で共有し、さまざまな施策や取り組みを包括的に進めていきます。

図1:デジタル化およびDXによる事業根幹の再整備

図2:顧客体験と業務効率を向上させるDX戦略

昨今の主な取り組み

お客様の利便性の向上、従業員のバックヤード業務の効率化、紙・プラスチック使用量の削減、データの一元管理と即時分析等を図るべく、さまざまな取り組みを進めています。

業務管理タブレット

以前は「忘れ物管理台帳」「返金管理台帳」など、紙ファイルの台帳を使って様々な管理を手書きで行っていました(お客様にも手書きでの記入をお願いしていました)。この作業をタブレットで行えるようにしたのが業務管理タブレットです。
会員管理システムとの連携により必要な情報をタブレットへ自動反映するほか、情報入力の多くを選択式にするなど、お客様と従業員双方の負担を軽減し、効率化を図っています。
2024年度は既にタブレットで運用している9台帳に加え、新たな9台帳を開発いたしました。2025年度には26台帳のうち18台帳が「業務管理タブレット」で運用される環境となります。

会員マイページ

以前は、会員様が各種サービスや休会のお手続きをする際は、フロントへお越しいただき所定の用紙に記入いただいていました。
2024年度より「会員マイページ」を店舗ごとに順次アップデートし「諸届機能」を導入しています。こちらの機能を利用すれば、お客様のスマートフォンから手続きの多くを行うことが可能になります。お客様のみならず従業員の負担も軽減され、業務の効率化につながっています。さらにスタジオレッスンやパーソナルトレーニング、テニスコートレンタルなどの予約・決済機能の開発に着手しており、2025年度内に追加リリースを予定しています。

会員管理タブレット

以前は、見学や入会に関わるすべての手続きを紙の書類に手書きで記入していました。
「会員管理タブレット」では、見学・体験から入会いただく際の一連の手続きをタブレット上で行います。入会時には見学・体験時に頂戴したお客様の情報が自動連携され、お客様と従業員ともに同じ情報を二度入力する手間が解消されました。また、これまで全て紙でお渡ししていた会員規約や手続き書類の控え、施設利用の手引きなどを電子化し、登録メールアドレスに送信されるようになりました。2024年度内に対象となる全店舗にて運用を開始しています。

AIの運用

2025年度より、従業員がAIを使用できる環境を整備しました。
現在はポスターや文章の作成といった基本的な業務でAI活用を進めており、今後はさらに、事業データ、勤務シフト、消耗品発注履歴、水道光熱費の使用量、販促や会員サービスの実績といった各種データを一元化し、戦略の立案に活用してまいります。

効果、今後の展開

サスティナブルな環境構築を目標とし、当社のデジタル化およびDXでは「お客様の利便性・CSの向上による会員数の増加」「従業員の業務効率化」「ペーパレス化」「会員証やプラファイルなどのプラスチック利用量の削減」等の効果を見込んでいます。その結果として収益改善を図り、「会員や地域の皆さまにさまざまな形で還元を行う」ことを視野に入れています。
今後の展開としては、開発したシステムは全て、2025年度から順次、対象店舗へのリリースを完了する予定です。お客様は自身のIDとパスワードを使用し様々なサービスや手続きをいただけるようにしてまいります。
お客様の利便性・CSを高めていく一方で、従業員の会員管理・台帳管理に関わる業務量を60%以上削減。さらに年間約110,000部使用している帳票類や年間約3,000,000部使用しているコピー用紙、年間約100,000枚製作している会員証(プラスチック製)などの使用量も計画的に削減していきます。

お客様、そして社員と共に創る、DXの未来

当社ではこれまで、予約システムやアンケートシステムなど、様々な月額制アプリケーションを導入し、業務効率化とサービスの向上に努めてまいりました。これらのツールは確かに多くの利便性をもたらしてくれましたが、運用を続ける中で、いくつかの本質的な課題が明らかになりました。
例えば、従業員は複数のシステムに同じ情報を手入力せねばならず、お客様にはサービスごとに異なる操作をお願いする必要がありました。また、本部ではシステム間のデータを連携させるための追加作業やコストが発生し、お客様の全体像を捉えた迅速な分析が困難な状況でした。
これらの経験を通じて、私たちは一つの結論に至りました。それは「部分最適の積み重ねだけでは、全体としての一貫した顧客体験は実現できない」ということです。
この学びを基に、私たちは基幹システムを起点としたシステムの自社開発へと大きく舵を切りました。自社開発は、外部サービスに比べて初期投資はかかりますが、長期的にはそれを上回るメリットをもたらします。自社の業務やお客様のニーズに合わせて迅速・柔軟に機能を改善できること、そして何より、社内の情報が一元化されることで、保守・分析の効率が飛躍的に高まることが、今回の開発プロジェクトで実証されました。
これからは、この新しい自社システム環境を土台として、従業員にとってはより創造的な業務に集中できる環境を、そしてお客様にとっては、どのサービスも簡単・シームレスにご利用いただける体験を提供することに挑んでまいります。
真のDXとは、技術を導入することではなく、技術を使ってお客様や従業員との関係をより良いものにしていくプロセスであると信じています。皆様の声に耳を傾けながら、一歩一歩、着実に歩みを進めてまいる所存です。今後とも、温かいご支援を賜りますようお願申し上げます。

執行役員 総務本部長 齊藤 豊

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