特集
大阪・関西万博1851年ロンドンにて初めて万国博覧会が開催され、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)が開催されることとなりました。「いのち輝く未来社会のデザイン」をコンセプトに自身が最大限の力を発揮できる持続可能な社会を創ることを目的としています。
本プロジェクトはタマゴ状の類を見ない形状の建設に挑戦しました。今後技術の基盤となるBIM、DX技術を駆使することにより難解な建設を可能とし、安全で生産性を高めることにより昨今の人手不足解消の一翼を担う未来のモデル現場を目指すと同時に、将来まで人の心に残る建物を目指しました。
本建物はタマゴ状の形態からうまれる曲面状の構造物を地中に埋め込んだ形状となっています。外殻主架構が全て15度傾いている点が特徴的であり、多角形に直線部材を配置した美しく、難解なアーチ状の躯体構築に取り組みました。
2次元図面での施工計画は非常に困難なため、DXを用いた計画および施工が必須となりました。特にタマゴ状の外殻構造体にかかわる足場計画、鉄骨建て方、躯体計測の立案計画を重点項目としました。BIM、3D座標計測を用い精度の高い計画が安全、品質確保、労務削減を実現可能としました。外部はボロノイ状膜であり、稜線を綺麗にみせるためには正確な下地鉄骨設置が必須となったため意匠の面においても強いこだわりを持ちました。
図1:完成写真
図2:完成写真 夜間
図3:外観図
図4:鉄骨建て方状況
前述の通り本建物は2次元での理解は非常に難解なため、3次元表現を利用し、関係者の理解を深めることに注力しました。BIMの活用によって、構造体同士の干渉、仮設材との干渉不具合が発生しないよう、3Dモデルにて計画、チェックすることが容易となりました。関係者が同一モデルを共有することにより業務を円滑かつ軽減を可能としました。
設計、施工、工場製作を全て自社にて実施することにより精度の高いモデルとなりました。
図5:BIMモデル
難解な形状を理解するため、3Dプリンターを用い模型を作成、構造の構成が理解できるよう、脱着できるよう配慮しました。
図6:3Dプリンター作成 模型
精度の高いモデルを使用する事により緻密な足場計画を可能としました。足場と躯体干渉のチェックを容易とし、安全かつ労務削減を可能としました。
図7:内部足場計画
図8:内部足場計画 実施状況
BIMモデルより約820か所の座標を計算、現場にてモデル位置にターゲットを配置トータルステーションにて鉄骨建て方、建て入れ計測を行いました。
ワンオペレーションでの作業、全て安全な床面での計測を可能としました。
図9:測量 イメージ図
図10:測量計測位置検証
本プロジェクトにおいてDX、BIMは革新的な技術として、効率化を図る必須の手法だと実感しました。BIMを使用することにより、精度の高い図面・施工図作成が可能となり生産性向上に成功しました。
内部足場検証は安全環境構築が容易となり、作業従事者の視覚に訴える資料作成を3Dモデルを使用して理解を得たことにより円滑な作業、作業ロスが減少する事象が作業所全体のモチベーションアップへとつながりました。資材においても現場加工、調整等が格段に減少したと思われ、ロス材低減効果による環境負荷低減効果も非常に有効だと思われます。
万博という特別なイベントだから実現できる建設物であり、多くのチャレンジ、DXの技術を用い完工できました。
今後も多種多様な建設に携わりDXを通じ人材育成を行い常に全員のスキルアップを図ることが技術者の責務であると確信しています。
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2025大阪・関西万博パビリオン「電力館 可能性のタマゴたち」