バックオフィスのデジタル化
データ活用の目的はビジネス貢献です。ビジネスへの貢献を最大化するためには、事業活動の最前線である現場においてどれだけデータ活用が浸透しているかがポイントとなります。重要なのは、高度なデータ分析スキルやIT専門要員しか扱えないデータ基盤をつくることではなく、現場を中心に幅広くデータリテラシーが習得され、最前線でデータを武器として戦える装備を整えることです。データを必要とする人が、必要なデータを必要な時に、安全に利用できる環境を実現することこそ、データ活用によるビジネス貢献につながると考えています。
ビジネスの当事者が自律的に「目的を達成するためにデータをどのように活用するかを発想し、自ら実践していく」状態を『データ活用の民主化』と定義します。それを実現するため、人・仕組み・データそのものを包括的に取り込んだ施策を展開していきます。
図1:「データ活用力」の定義
日常的に現場でデータが活用される状態は、現場のデータ活用力を向上させる施策だけでは実現できません。必要な時に必要なデータが利用できる、安心安全に利用できるという前提が必要であり、そもそも、データが利用可能なデータ資産として集積され、整理されていなければなりません。
正しいデータを集めるところから、ビジネス成果につながるデータ活用が当たり前になる状況を生み出すまで、何層もの施策を積み重ねることによって徐々に理想の状態に近づけていくことができます。
図2:取り組みの全体像
ここ数年、段階的に構築してきたデータ基盤は当初の目的をある程度は満たせるところまで進化してきました。一方でベースラインアーキテクチャは2020~2021年に描いたものであり、その間に起こったデータ活用環境の変化や生成AIの台頭にこれからも対応していくには厳しい状況にありました。今後もビジネスの成長に寄与し続けるデータ基盤であるために全面的にアーキテクチャを刷新し、技術スタックもスクラッチ開発中心からSnowflakeを中核とした構成に切り替えました。これにより、今後より加速していくであろうテクノロジーの進化に対応していく土台を築きました。
図3:データ基盤 アーキテクチャ要件
ポータルからの情報発信、教育コンテンツの展開、体験会など実際に触れる場の提供などさまざまな「知る機会」を提供してきましたが、足元では対面で実際に手と頭を働かせるオンサイトイベントに注力しています。東阪両本社以外の地方拠点でも現地イベントを開催し、体験会もスキルレベル別、活用テーマ別といった形でより参加者の関心に近づける工夫を凝らしています。現場同士での横の連携を促進するコミュニティ形成にも重点的に取り組んでいます。
図4:「知る機会」を提供するための全体像
ここ数年の取り組みによってデータ蓄積から活用までを支える仕組みの骨格部分は整いました。
2025年度後半にデータ基盤全体のアーキテクチャを刷新したことにより、今後想定されるデータニーズの増大や多様化に対応できる準備も進めています。一方でデータそのもののサイロ化は解消できておらず、依然として「そこにあるデータ」を「使えるデータ」にするための作業量の問題は残っています。今後は当社グループ事業の中核情報である「人」と「建物」を軸にグループ全体で活用できるユニークな情報モデルとして、データ基盤から安心・便利に提供できる環境を構築するとともに、人だけでなくAIにとっても使いやすいAI-Readyなデータ基盤としても進化させていく計画です。
図5:データを「集める」基盤から「使われる」基盤へ