DX推進を支える組織体制
デジタル戦略部では、IT投資の最適化を目指し、ITコストの可視化に取り組んでいます。これまでは利用部門にとって、「負担しているITコストが適正かどうかわからない」「IT投資を積極的に進めてよいのか判断できない」といった課題がありました。そこで、利用部門に対してデータに基づいた説明を行うために、ITコスト全体の可視化とITコスト構造の可視化を進めています。また、データ分析を活用してITコストの合理化・最適化を図り、運用費の継続的な削減と新規開発投資の最適化を実現します。
ITコストの可視化を実施するにあたり、ITファイナンス高度化の方法論であるTBM(*1)のフレームワーク(図1)を適用し、ITコストをコストプール、ITタワー、アプリケーション、利用部門の4層で分類します。これにより、財務、IT、ビジネスの3つの視点(図2)で可視化され、単なる費用の分類ではなく、ビジネス価値やIT運用の効率性を考慮した詳細なコスト分析が可能となります。
分析したデータをもとに「ITコスト最適化」「利用部門との関係性改善」「IT予算と統制」を実施します。ITコスト最適化では、無駄なコストを削減し、効率的なIT投資を行うための具体的な改善策を施します。利用部門との関係性改善では、データに基づいた説明を行い、部門間での理解と協力を促進します。IT予算と統制では、予算管理を強化し、最適なIT投資を目指します。
これらの取り組みにより、保守・運用費の継続的な削減と新規開発投資の最適化を実現し、企業全体のITコストが改善され、効率的な運用と戦略的なIT投資が可能となります。
(*1)TBM:Technology Business Managementの略称。ITファイナンスプロセスの高度化を実現し、テクノロジー投資によるビジネス価値の最大化を支援するIT部門経営高度化のための方法論。
図1:TBMフレームワーク
図2:ATUMによる4層でのITコスト可視化
デジタル戦略部では、TBMの代表的ツールであるApptio(*2)を導入し、2025年3月にはデジタル戦略部におけるITコストをコストプール(図3)、タワー、アプリケーションの3つの分類で可視化できるようになりました。
その後、部員が自身の担当アプリケーションにかかるコストをグラフや一覧で確認できる「アプリケーション支出確認レポート」(図4)を作成し、部内に公開しました。これにより、担当者一人ひとりがアプリケーションのTCO(*3)を把握しやすくなり、コスト意識の向上につながっています。
さらに、ITコストの可視化対象をデジタル戦略部以外のデジタル関連部門へ拡大し、全社的な視点でITコストを把握できる環境整備を進めるとともに、可視化したデータの有効活用に取り組んでいます。
また、可視化したデータの分析を通じて、IT資産やサービスの利用状況を確認し、利用実態に応じて契約の見直しや解約など、コスト削減に取り組んでいます。
(*2)Apptio:ITファイナンスの高度化を実現するSaaSソリューション
(*3)TCO:Total Cost of Ownership。導入から運用、廃棄に至るまでの総保有コスト
図3:コストプール別実績前年比較とコストプール比率
図4:アプリケーション支出確認レポート
ITコストを可視化したことで、これまで把握が難しかったコスト構造や投資状況を継続的に把握できるようになりました。また、コストの実態をデータに基づいて確認することで、IT資産や契約の見直しなど、コスト最適化に向けた取り組みを進めています。
今後は、可視化したデータの分析・活用をさらに進め、「IT投資の最適化」「利用部門との連携強化」「IT予算の適切な管理・統制」を推進し、データに基づくIT投資管理の高度化に取り組んでいきます。