大和ハウス工業株式会社

DaiwaHouse

DXアニュアルレポート2026

DX推進を支える組織体制

大和ライフネクスト

目的、ビジョン

建物管理業は労働集約型産業であり、これまで多くの業務を人の手で行ってきました。
近年、人手不足がますます深刻なものとなり、将来の顧客サービス提供力の維持が困難になってきています。労働力が十分に確保できていた頃は、「各業務」を担当する人材を「建物ごと」に配置し機能していました。
しかしながらこれからは「人でなければ対応できない必要最小限の作業」を残しつつ、可能な限りデジタル化を進め、品質を維持したまま管理業務の「遠隔化・省力化」を実現する新しい建物管理が必要な時代になります。
当社グループは「遠隔化・省力化」からさらに一歩進んで、各種IoT機器から得られるデータを集積・分析し、管理業務の数値化・見える化を図ることで、お客さまにも透明性と付加価値の高い管理業務を提供していきます。
時代の潮流に合わせた高品質な建物管理サービスを提供し続けることで、お客さまに必要とされる企業であり続けます。

取り組みの全体像

建物管理の基本構成要素である「受付」、「巡回」、「点検」、「清掃」、「警備」といった業務を「人でなければできない作業や対応」と「機械やITに置き換えられる作業」に分解します。
前者は「アナログ手法の強化・特化」、後者は「デジタル手法への転換・DX化」を行い、それぞれの持つ能力・機能を最大・最適化し、管理業務全体の品質向上と効率化を図ります。
また、その過程で得られる「受付対応記録」、「防犯カメラ映像解析」、「点検結果・モニタリングデータ」、「清掃記録」、「警備報告」を分析・活用することによって、管理上の課題や設備異常、不具合箇所等の抽出を行い、改善提案や修繕提案につなげます。
「人」と「IT」が融合したハイブリッドDX管理を構築し、居住者・建物利用者の皆さまに快適な住環境、安全・安心を提供するとともに資産価値の向上も同時に実現します。(図1)

図1:人×デジタル=新しい管理業 集積データの二次活用

昨今の主な取り組み

(1)淀屋橋ゲートタワーの取り組み

当社が管理を担う「淀屋橋ゲートタワー」において、デジタル技術を現場の運用に組み込んだビルマネジメントモデルを構築しました。
オフィスと商業施設が共存する大規模ビルにおいて「安定した管理品質の提供」と「効率的な運営体制の確立」を目的とし、「清掃ロボットの高度な施設連携」と「建物内を網羅する3Dマップ」を導入しました。
単なるツールの導入に留まらず、人とデジタル技術が連携して建物管理を行う新たな運営モデルを提供しています。

【建物設備と連携した自律型清掃ロボット】

清掃ロボットの導入にあたり、効率的な運用の障壁となっていた「縦:フロア間の移動」と「横:扉の通過」の2点を、施設設備とシステム連携することにより解消しました。

図2:タイマー設定&自律制御によるオートスタート

■エレベーター連携

ロボットがクラウド通信でエレベーターを呼び出し、自動で乗り込み、目的のフロアへの移動を指示します。人の手を介することなく、複数階にわたる清掃をシームレスに遂行します。

■常閉防火扉との連動

セキュリティ要件や防火要件により常時閉鎖が必要な「開き戸」と通信連携を実現しました。清掃ロボットが接近すると、クラウド通信を介して扉が自動で開閉する仕組みを構築しています。これにより、ロボット単独で清掃可能なエリアを大幅に拡大しました。

図3:ロボットと開き戸の連携

図4:ロボットとエレベーターの連携

【3Dマップによる建物情報の可視化】

高精度スキャンカメラにより建物内部を精緻にデジタル化し、場所や時間を問わず建物情報にアクセスできる環境を構築しました。

■共用部データの活用

エントランスや廊下などの共用部を3Dデータ化することで、現地へ赴くことなく空間のレイアウトや動線を立体的に把握できます。遠隔地から現地の雰囲気を確認できるため、施設紹介や空間提案の効率化・高度化を可能にします。

図5:3Dマップ共用部データ

図6:3Dマップ共用部データ

■設備室データの活用

修繕や点検を行う際、事前に3Dマップ上で配管の経路や機器配置を確認することで、現地調査の回数削減や作業計画のスムーズな立案が可能になります。さらに、修繕履歴をマップ上の各設備に紐づけて保存することで建物に関するデータを蓄積し、長期的な資産価値の維持・向上に役立てることができます。

図7:3Dマップ設備室データ

図8:3Dマップ設備室データ

(2)物流施設におけるスマートセンサーの活用

物流施設内の共用部にスマートセンサーを設置し、利用状況データの収集・分析に取り組んでいます。
休憩室・喫煙室にはクラウドカメラを設置し、それらの映像をローカル環境およびクラウド環境で解析しています。トイレ個室・シャワー室の扉には開閉センサーを設置し、それぞれの利用データを取得しています。
これらの機器により取得したデータをもとに、清掃・点検の頻度やスケジュールを効率化・最適化する「データ活用型建物管理」を運用しています。さらに、共用部の利用状況をリアルタイムで建物利用者へ公開することで、混雑緩和と利用者満足度の向上を図っています。

図9:データ集計イメージ(一部映像に加工を施しています)

図10:共用部利用状況の確認画面

(3)物流施設における入退館・鍵貸し出しの効率化

物流施設の防災センター・受付に設置している遠隔受付システム「Logi-Info」と、無人での貸出に対応したクラウド型鍵管理サービスの連携を実現しました。
これにより、管理員が常駐していない施設や受付が無人となる時間帯においても、安全かつ円滑な鍵の受け渡しが可能となります。
鍵の取り出しや返却の履歴はクラウド上に自動で記録されるため、手書き帳簿による管理の手間や記入漏れのリスクを低減できます。これにより、従来よりも安全性と効率性に優れた鍵管理を実現しています。
本システムは物流施設に限らず、当社が管理する他の建物への順次導入を予定しており、「効率化」と「建物管理品質の向上」を両立した建物管理を推進していきます。

図11:遠隔受付システム「Logi-Info」

図12:クラウド型鍵管理サービスと遠隔受付システム「Logi-Info」

(4)電子掲示板サービス

従来の掲示板に代わり、遠隔から即座に情報を更新・発信できる電子掲示板サービスを開発しました。これにより、管理員・防災センター要員不在時や勤務時間外であっても、居住者さま・利用者さまへ最新の情報を提供することが可能となり、台風や地震などの災害発生時にも迅速な情報発信・伝達を実現します。

図13:電子掲示板

直感的に操作できるタッチパネルを採用しており、掲示物の拡大表示にも対応しています。建物の美観を保ちながら、居住者さま・利用者さまの利便性向上と円滑な情報共有に貢献します。
今後は新築分譲マンションへの導入をはじめ、既存分譲マンション・賃貸マンションなどへ展開していく予定です。

図14:電子掲示板

(5)AI活用による業務効率化の取り組み

当社では、業務効率化とサービス品質向上の取り組みとして、AIを活用した独自の業務支援サービス「AllSet-M」を開発しました。
PDF形式の書類の記載項目を、AI-OCRおよびAIの判定によりエクセル様式へ瞬時に変換します。
従来、項目の転記や入力に多くの時間を要していた手作業による工程をわずか数秒で完了できるため、資料作成の大幅なスピードアップと誤字・脱字や転記漏れの軽減による品質向上を実現します。

図15:AI転記サービス「AllSet-M」

複雑な部品が含まれる見積り品番や、複数枚にわたり多数の項目が記載された書類であっても、おおむね10秒程度で変換が完了します。

図16:AI転記サービス「AllSet-M」(一部に加工を施しています)

効果、今後の展開

迫りくる人口の減少・労働者の減少をにらみ、デジタル技術を活用した「建物管理手法の革新」に取り組みます。
人による気づきは大切にしつつも、映像や数値などのデジタルデータを分析することにより、安定的な設備稼働や清掃品質の向上など、管理品質の向上を目指します。
建物から集まるデータだけではなく、気象データをはじめとした外部データと組み合わせて、起こりうる設備トラブルを早期に検知するなど、居住者・建物利用者の皆さまに安全・安心・快適を提供します。
また、当社社員の業務支援を目的に開発を行う「AIエージェント」により、知識の平準化、高品質化を実現。居住者・建物利用者の皆さまのお困りごとをスピーディーに支援・解決することで、より良い住環境を提供していきます。
収集したデータは、当社の管理実務の効率化・最適化のためだけではなく、関係の皆さまと共に活用し、新たな価値を生み出すよう取り組みます。

「人」と「IT」、「アナログ」と「デジタル」の両面から得られるデータを用い、「学習・比較・予測・実行」のプロセスを経て、「ハイブリッドDU(Data Utilization)管理システム」の構築を目指します。

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