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コラム No.27-13

サプライチェーン

秋葉淳一の「CREはサプライチェーンだ!」 Vol.6「ロボット」が資産価値を上げる「人工知能」が資産価値を上げる

公開日:2017/05/31

ロボットとは

ロボットとマテハン機器との違いを考えてみる。
まずはマテハン機器について。日本マテリアル・ハンドリング協会によれば、「MHとはMaterialHandling(マテリアルハンドリング)の略称で、その意味はあらゆる"目的"、"時"、"場所"とで、何らかの物を何らかの方法で取り上げたり、移動したり、置いたりすることによって、経済性や生産性及び品質を向上させる手法です。例えば各種施設や職場内でのフォークリフト、無人搬送車、運搬車両、自動倉庫、ピッキングマシーン、コンベヤ、パレタイザー、ロボット、エレベータなど、産業の様々な分野および日常生活でMHのシステムや機器が活躍しています」とある。
経済性や生産性及び品質を向上させる手法という意味では、ロボットとの違いはない。では何が違うのか。 簡単に言えば、人工知能という脳を持っているのがロボットであり、そうでなければ、それはマテハンである。ここでいう人工知能とは、機械学習やディープラーニングのレベルの物である。(詳しくは前回のコラムを参照ください)
入力と出力を関係づける方法がデータをもとに学習されているものであり、いくつかのサンプルが与えられて、ルールを学んだら次からは自分で判別出来ることが最低限で、さらにディープラーニングを取り入れてデータの特徴自体を自ら学習し、特徴を自分で発見してルールをも自分で作れる。時間が経つほど、経験を積むほど一番効率的なものを学んでいく人工知能という脳をもっているのがロボットである。囲碁の「Master」の頭脳がまさにこれで、後に紹介する可動棚搬送ロボットなどもこれにあたる。
東京大学大学院の松尾豊先生の著書「人工知能は人間を超えるか」に記載されている内容が分かり易いので、興味の有る方は一読されてはどうだろう。
ちなみに、マテハンは人間が厳格なルールを定めその通りに動く制御プログラムを搭載したものだ。自ら考えることはしない。

人工知能ってなに?

(図—1)2035年に向けたロボット産業の将来市場予測(各分野別)

出典:NEDO2035年に向けたロボット産業の将来市場予測(2010年4月23日)

AmazonのKIVAシステムの国内導入拠点が昨年末に公開されて話題になった。米国からは約4年遅れての導入である。日本の物流業界は人間が仕事をする前提で進化してきたが故に、ここで4年のタイムラグが発生したと私は理解している。それでも国内で導入が始まった。このKIVAシステムと同様な可動棚搬送ロボットは、他にも日立製作所の「Racrew」やGROUND社が販売をしているインドGreyOrange社の「Butler」が国内での導入を発表している。
これらは可動式の棚を搬送するロボットだが、優れているのはアルゴリズムで、ここで差別化されている。入ってくるオーダーを常に見ており、ある商品が売れてくると認識すれば自動で手前に棚を搬送し、出荷時間を最短化する保管棚の再配置を行うことでスループットを向上させる。また、ピッキング後は可動式棚を元の場所に戻すのではなく、商品の回転率を見て保管場所を決定する。もちろん、最適なピッキングステーションへの割付けや充電も自動制御するし、衝突防止など安全面の機能も兼ね備えている。

(図-2)Butler(提供:GROUND)

AmazonのKIVAシステムよりも早く昨年の2月から稼働しているロボットもある。岡村製作所が販売・導入しているノルウェーJakob Hatteland Computer社のロボットストレージシステム「Auto Store(オートストア)」である。
「AutoStore」は、既に全世界の様々な業種・業態において100カ所以上で採用されている。コンテナを隙間なく積み上げて収納できるため、一般的なスタッカークレーン式自動倉庫の約2倍、平置き棚の約3倍の収納力があり、出庫は、グリッド上のロボットが縦横無尽に走行し、目的のコンテナを吊り上げ、ポート(ピッキングステーション)へ自動搬送する。ピッキングが定位置で行える点は可動棚式ロボットと同様である。また、出荷頻度の高い商品、低い商品の棚の入換え(ロケーション移動)を別プロセスで実施する必要がないこと、ロボットやグリッドを追加するだけで拡張、能力アップに対応できることも従来型自動倉庫との差別化ポイントになっている。

(図3)AutoStore(提供:岡村製作所)

ニトリホールディングスの物流子会社ホームロジスティクスが、「Butler」も「AutoStore」も導入しており、ロボット化がロジスティクスの領域でも進み始める大きなきっかけになったと言える。

搬送と保管の次はピッキング、アームロボットである。ピッキングロボットは世界的に見てもまだまだ開発途上の段階である。それでも、昨年6月にアスクルはMUJINが開発する人工知能でコントロールするピッキング・アームロボットを2台導入した様子を公開した。このロボットは、ティーチレスなロボットで自動ピッキング作業を行う物である。
アームの動きは既存の技術でも十分可能であるが、前回のコラムでも記述したように、掴み方を瞬時に判断し実行することは非常に困難である。それでも、データを蓄積することに大きな価値がある。コンピュータが認識可能なデータを蓄積することで、人工知能が進化し、その困難を克服出来るからである。
ご存知のように、ネット通販による販売数が拡大している。多品種少量で、かつスピードもロジスティクス分野に求められることが明確なのである。一方で倉庫内オペレーションにおける人手不足も現実である。このような状況においては、どのようにロボットや人工知能を活用するかがこれからのロジスティクスにおいて肝になる。

「ロボット」の活用に向けた課題

ロボットの価値を左右する大きな要素は、ロボットの脳である人工知能だ。人工知能は万能ではないが、そもそも人間の業務をロボットや人工知能に置き換えて活用する際に必要なことがある。
単にロボットを購入したからと言って、ある日を境に人間の業務がロボットに置き換わらない。人間が業務を行なっているがために、業務整理(業務標準化)や業務のデータ化(コンピュータが認識可能なデータ化)がされていないことが多々ある。これを実施した後にデータが蓄積されることで人工知能が「経験」を積むことができ、ロボットが自分の判断で動き出すのである。業務のデータ化は今すぐにでも始めなければいけない。
物流不動産の価値を決める条件、「人が集まるか」の解決策の一つとしてロボットの活用もポイントになることは間違いがない。

次回のコラムでは、人財が人工知能やロボットを活かすことについて紹介する。

トークセッション ゲスト:株式会社ABEJA 代表取締役社長CEO 岡田陽介

トークセッション ゲスト:株式会社ローランド・ベルガー プリンシパル 小野塚 征志

トークセッション ゲスト:株式会社アッカ・インターナショナル代表取締役社長 加藤 大和

スペシャルトーク ゲスト:株式会社ママスクエア代表取締役 藤代 聡

スペシャルトーク ゲスト:株式会社エアークローゼット代表取締役社長兼CEO 天沼 聰

秋葉淳一のロジスティックコラム

トークセッション:「お客様のビジネスを成功させるロジスティクスプラットフォーム」
ゲスト:株式会社アッカ・インターナショナル代表取締役社長 加藤 大和

トークセッション:「物流イノベーション、今がそのとき」
ゲスト:株式会社Hacobu 代表取締役 佐々木 太郎氏

「CREはサプライチェーンだ!」シリーズ

「物流は経営だ」シリーズ

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土地活用ラボ for Biz アナリスト

秋葉 淳一(あきば じゅんいち)

株式会社フレームワークス代表取締役社長。1987年4月大手鉄鋼メーカー系のゼネコンに入社。制御用コンピュータ開発と生産管理システムの構築に携わる。
その後、多くの企業のサプライチェーンマネジメントシステム(SCM)の構築とそれに伴うビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)のコンサルティングに従事。
2005年8月株式会社フレームワークスに入社、SCM・ロジスティクスコンサルタントとしてロジスティクスの構築や改革、および倉庫管理システム(WMS)の導入をサポートしている。

単に言葉の定義ではない、企業に応じたオムニチャネルを実現するために奔走中。

コラム一覧はこちら
http://www.daiwa-logitech.com/column/index.html

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