土地活用ラボ for Biz

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コラム No.27-60

サプライチェーン

秋葉淳一のトークセッション 第1回 グループ全体で総力を挙げた取り組みを株式会社フレームワークス 代表取締役社長 秋葉淳一 × 大和ハウス工業株式会社 取締役常務執行役員 建築事業本部長 浦川竜哉

公開日:2021/04/28

全国を網羅する拠点網こそが大和ハウス工業の強み

秋葉:フレームワークスが大和ハウスグループにジョインさせていただいたのが2012年12月。丸8年が経ちました。また、2017年にダイワロジテックの設立をお手伝いさせていただきました。この4、5年は、物流業界で先端を走るいくつかのベンチャー企業に出資をしたり、アッカ・インターナショナルにはグループに入ってもらったりしながら、市場に向けたアピールの仕方も含めて、いろいろなことをやってきました。
今回、大和ハウスグループの業務執行体制が事業本部制になって、ダイワロジテックが建築事業本部のラインに入ります。
この対談では、自分たちのミッションを改めて確認し、フレームワークスのメンバー、ダイワロジテックのメンバーにも、大和ハウスグループとして実現したいことを伝えたいと思っています。今後の戦略としては、検討すべきことが多くあると思いますが、ディスカッションをすること自体が重要だと思っています。
先日、浦川常務は、物流を中心にして他の事業施設もやっていくとお話しされていました。まずは、常務がお考えになっているイメージについてお話ししていただけますか。

浦川:われわれが物流を語るとき、最初に、大和ハウス工業は建設会社であり物流デベロッパーであることをお伝えしなければならないでしょう。今では唯一ではなくなってきましたが、建設と開発を両方できるのは、大きな強みのひとつです。
また、現在大和ハウス工業の建築事業本部の一員として、物流を開発する人間、建築の請負をする人間、そして物流以外をやる人間、合計で約600名います。大和ハウス工業には、北海道から九州まで75支店があり、そのうち35支店に建築の営業所があります。この全国に広がる営業所のネットワークこそが大和ハウス工業の強みであり、他のデベロッパーにはない特色です。
例えば、岩手県の北上には3 棟のマルチテナント型の物流センターがあり、北上だけでなく花巻でも行っています。このように、大和ハウス工業は都市圏以外の地方でも幅広く展開しています。岩手県だけではなく、富山県、香川県でも展開していますし、北海道には札幌に北海道最大、沖縄県には沖縄県最大の物流施設をそれぞれを予定しています。当然、三大都市圏にも力を入れていますが、北海道から九州までまんべんなく地方の開発にも強いことが、われわれ大和ハウス工業の強みの源泉だと思っています。それに加えて、海外5カ国、今後6カ国目となるシンガポールが始まると、国内の35支店と合わせて合計41営業所となります。
国内のあるお客様には、北海道から沖縄までご利用いただいていますし、マレーシア、シンガポール、ベトナムでもご一緒しています。逆に、最初に海外でご一緒して、第2号、第3号として国内で活用いただくといった相乗効果も出てきています。

この春、事業本部制がスタート

浦川:そのような中、2021年4月1日から事業本部制がいよいよスタートしました。これにより、チャンスに素早い対応ができるだけでなく、ウィークポイント、ピンチにもより早く手が打てるようになると思っています。外部の第三者など、いろいろな方から、総売上高が約4兆3800億円(2020年3月期)の大和ハウスグループでは、全ての権限がトップに集中するかたちでは限界があるとご指摘をいただき、各事業本部が責任を持つかたちでスタートします。さまざまな仕事、開発を進めるうえでは、チャンスだけではなくリスクもありますから、この体制となることで、早く正確に手を打つことができるでしょう。また、グループの中にダイワロジテック、大和ハウスプロパティマネジメントが入り、今まで以上に密接に、いろいろなトライアルが直接できるようになります。そういった利点がこの4月からより一層濃く出てきて、チャンスとピンチの双方で各社との連携がさらに強まると思います。私自身も非常に期待しているところです。

秋葉:物流不動産デベロッパーとしての顔とゼネコンとしての顔、それぞれの業界と比較して考えたとき、われわれがダイワロジテックをつくったように、他の物流不動産デベロッパーも同じようにシステム系の会社をつくっています。
物流におけるデジタル化、いわゆる物流DXについては、後ほどお話させていただくとして、各社が物流のサービスを高度化、付加価値をつけていくことに関して、ますます競争が激しくなっていきます。
大和ハウス工業の建築事業本部の特徴として、グループの中に、オペレーションをする会社やプロパティマネジメントをする会社があるということが、他社との明らかな違いだと思います。常務が先ほど言われたように、物流開発と建築では、唯一の会社ではなくなってきましたが、他社が真似しづらい領域で明確に差異化をするのは、必要なことだと思います。
建物を建てる、リーシングをする、システムをつくるということだけではなく、入居されたお客様に対して継続的なサービスを提供していく「プロパティマネジメント」の機能は、お客様にとっても必要なことです。グループの中にオペレーションをする会社があるということは、そういったものを実際に体験、体現したうえで、それをまたフィードバックしてお客様に提供するというサイクルをつくることができます。これは他社にはなかなか真似できません。ここで改めて明確な差異化ができるようなスピード感、基盤づくりをしていきたいと思っています。
そういう意味においても、プロパティマネジメントに対してどのような投資、サービスをするかが一つのキーになります。2021年度もたくさんの物流施設に着工しますし、竣工もしていきます。それに伴って大和ハウスプロパティマネジメントが見る施設も増えていきます。それを人海戦術でやるのではなく、デジタルの力を使いながら、新たな営業の情報、世の中のニーズを取り込みながら、大和ハウスプロパティマネジメントとしてサービスを提供していくことは、一つの戦略としてありだと思うのですが、常務はどうお考えでしょうか。

浦川:今、大和ハウスプロパティマネジメントで管理している棟数は180棟近くになってきています。去年はDPLシリーズだけで32棟、今年も約30棟ずつ着工していきますので、これから180、210、240棟と増えていくわけです。ですので、プロパティマネジメントはまさしくDX化していかなくてはいけない大事なところです。急な管理棟数の拡大にまだ追いつけていませんから、質・量共にその辺を整備していくことが課題となっています。
また、管理させていただくことで毎日お客様との接点がありますので、お客様の生の声、情報はとても大事です。そこをうまく吸い上げて、十分に活かさなければなりません。特に今はお客様からの管理の要望やクレームに対応するのが精いっぱいで、後手に回ってしまっています。ここで、お客様との接点、得たデータをどのように活用していくかが、これからの重要な課題です。ダイワロジテックと大和ハウスプロパティマネジメント、大和ハウス工業、そして実際のお客様が一緒になって取り組まなければなりません。お客様の顧客満足度であったり、実際の物流の効率化であったり、そういったものを実際の実験、ラボラトリーとしてやっていくことができたらすごく面白いですよね。
ただし、こうしたグループ全部を絡めたような提案を今はまだしきれていません。建築事業本部を中心としたグループ全体で、総力を挙げたお客様との取り組みをぜひやっていきたいと思っています。

秋葉:これは大和ハウスグループの強みでもありますが、北海道から沖縄まで物件があり、そこにお客様に入っていただいて棟数がどんどん増えていったとき、大和ハウスプロパティマネジメントの人的なサービスだけではなく、デジタルの力をうまく使いながら、その結果として、大和ハウスプロパティマネジメントの社内だけではなく、グループの他の人間にも情報が行き渡るようなかたちをつくっていきたいと思っています。
大和ハウスプロパティマネジメントとも、どのような仕組みを入れるのか、それがお客様にとってどのようなメリットを出すことができるのか、少しずつ打ち合わせをしています。
また、われわれフレームワークスにおいても、大和ハウス工業との人的な交流を図っていきたいと思っています。鮮度の高い情報やお客様のニーズを的確に把握できるように、早い段階から相談させていただき、「こういう話が出ていますが、それに対してどうしましょうか」「こういう機能を提案してはいかがですか」といったやり取りが頻繁にできるようにしたいと思います。こうしたやり取りやフィードバックが、他の事業本部やエリアに対しても広がっていけたらいいなと思います。

浦川:情報がより川上でとれるようになりますね。鮮度の良い情報が早い段階でキャッチできると、当然、動きも変わってきます。そこはわれわれも非常に期待しているところです。今はハード面と立地だけで探客、もしくはリーシングしているケースも多く、ハード、立地以外のところの、お客様に対する機能性の追求を訴求するような素早い提案を、これからは増やしていきたいとわれわれも思っています。

本当の「総合的」な提案をしていく

浦川:大和ハウス工業が志す「人・街・暮らしの価値共創グループ」は言葉としてはありきたりかもしれませんが、大和ハウス工業の事業をうまく言い当てていると思います。大和ハウス工業はゼネコンであり、物流デベロッパーでもあると同時に、いろいろな関連グループ会社を持ち、豊かな生活のためのホテル、ホームセンター、スポーツクラブなど、そして物流のDX化といったお客様の事業における業務改革など、ありとあらゆるところに参画させていただいています。なおかつ、今では連単倍率が2倍を超えて、大和ハウス工業本体よりもグループ会社の総合力のほうが大きくなっています。この傾向はさらに高まっていくでしょう。関連グループ会社にどれだけ成長していただけるかが、各事業本部のキーポイントになってくると思っています。
建築事業本部に属する関連会社は、ダイワロジテックと大和ハウスプロパティマネジメントしかありません。両社ともグループに入ってまだ10年足らずなので致し方ないのですが、グループ関連会社の売上が少ないのが現状です。将来的には、グループ会社を含めたさまざまな会社と連携を強め、組織をどうつくっていくかといった議論が出てくるかと思いますが、今のところはダイワロジテックと大和ハウスプロパティマネジメントに頑張ってもらうしかないわけです。

秋葉:チャンスをいただけていることがありがたいですし、われわれの存在価値をどう示すかというところが、他社との差異化も含めてやれることだと思っています。転換期なので、大和ハウス工業の営業の方々の強みを活かしながら、大和ハウスグループが建てた建物のシェアをどうやって増やしていくか、このタイミングで真剣に考えなければいけないと思っています。

浦川:全くその通りだと思います。特に建築事業本部として考えているのは、グループ会社には結果として受注売上利益を伸ばしてほしいのですが、私は、それが先にくるものでなくてもいいと考えています。ダイワロジテックグループのフレームワークス、アッカ・インターナショナル、モノプラス、出資先のハコブ、グラウンド、あるいはフレームワークス配下の南国ソフトがシェアを上げていく、お客様の役に立つ。その結果、「大和ハウスでまた建てよう」というお客様の声につながるような、グループ内での効果のシェアリングをしていけばいいわけです。各社が背伸びをして利益を伸ばすよりも、さまざまなトライアンドエラーを積み重ねて、お客様に「大和ハウスグループに頼んで良かったな、ダイワロジテックに頼んで良かった、大和ハウスプロパティマネジメントに頼んで良かった」と思っていただけるような、そういった相乗効果が出てくることが大切なことです。
石橋信夫オーナーが言った、「儲かるからではなく、何が世間のお客様のお役に立てるのかを追究していけば、おのずと後から利益はついてくる」という言葉の通りです。だからこそ、グループ間でしっかりと効果をシェアリングしてくことで、大和ハウス工業建築事業本部のシェアや業績が上がっているのは、グループ会社のアシストがあるからだということを、きちんと説明責任を果たしていくのが事業本部長としての私の役割だと思っています。ダイワロジテックグループも大和ハウスプロパティマネジメントも規模感はまだまだですが、業績は悪くありません。そういった意味で楽しみな会社だと思っていますので、まずは業界でのシェアを上げながら、お客様へ関与度を高めていき、結果として建築事業本部のシェアが上がって、グループ間でお互いが効果をシェアリングできていく。自然とそうなっていくような建築事業本部を目指していきたいと思います。

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土地活用ラボ for Biz アナリスト

秋葉 淳一(あきば じゅんいち)

株式会社フレームワークス代表取締役社長。1987年4月大手鉄鋼メーカー系のゼネコンに入社。制御用コンピュータ開発と生産管理システムの構築に携わる。
その後、多くの企業のサプライチェーンマネジメントシステム(SCM)の構築とそれに伴うビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)のコンサルティングに従事。
2005年8月株式会社フレームワークスに入社、SCM・ロジスティクスコンサルタントとしてロジスティクスの構築や改革、および倉庫管理システム(WMS)の導入をサポートしている。

単に言葉の定義ではない、企業に応じたオムニチャネルを実現するために奔走中。

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