土地活用ラボ for Biz

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コラム No.27-53

サプライチェーン

秋葉淳一のトークセッション 第3回 LOGISTEEDのSSCV技術が物流の世界を拡げていく株式会社フレームワークス 代表取締役社長 秋葉淳一 × 株式会社 日立物流 執行役専務 佐藤清輝

公開日:2020/09/30

SSCVが安全・安心を構築し、ドライバーを守る

秋葉:これまで、センター内のお話が中心でしたが、ドライバーの問題を含め、センターの外におけるデジタル化にも注力されています。

佐藤:センターの外においても、「SSCV(Smart & Safety Connected Vehicle)」と呼んでいる、さまざまなソリューションがあります。SSCVとは、SSCV三兄弟と言っているのですが、「SSCV-Safety」「SSCV-Smart」「SSCV-Vehicle」という3つのソリューションで構成された輸送デジタルプラットフォームです。三兄弟の1番目はSSCV-Safety、安全です。今までの安全管理ではなかったことなのですが、運行中のドライバーのバイタルデータをリアルタイムで拾い上げます。出発前点呼でのドライバーの生体測定による体調の可視化、数値化を行うことで、体調不良による事故を未然に防止します。これによりドライバーは体調を自覚し、管理者は出発前指導および乗車可否の判断をすることができます。点呼時のみならず、運行中のバイタルデータをリアルタイムで拾い上げて、体調の変化の危険予兆を得たところでアラートを鳴らすという仕掛けです。点呼時、出発時、帰着時を含め、自律神経、血糖値をはじめさまざまなデータを継続して取っているので、健康診断を毎日やっているのと同じです。個人ごとに取っているので、例えば血糖値が急に下がれば、これは危ないとわかりますよね。この運行中のバイタルデータの取得と危険予知の仕掛けは世界初で、世界中どこを探してもありません。
SSCV-Safetyは、事故を未然に防止するだけでなくドライバーのレベルも上げていきます。教育プログラムでもあるわけです。SSCV-Safetyの車両には、IoTドラレコ、モービルアイ、IoTボタンといった機器を搭載しています。IoTドラレコは常時録画で、インシデント発生時はAIが動画を切り出します。これによって帰着後に運行管理者とドライバーは振り返りを毎日行います。IoTボタンは、ドライバーが危険だと思った時点で自ら押すことで、その情報を職場の皆で共有することができます。こういった仕掛けによって、ドライバーの運転技能が向上し、癖を直していきます。つまり、SSCV-Safety一番の肝は教育と人財育成なのです。事故の未然防止、ドライバーの体調管理、画像による情報共有、帰着時の振り返り、教育など、こういったことを日々積み重ねていくことでドライバーの能力が向上し、事故を減らしていきます。単に機器を入れただけでは事故はなくなっていかないと思います。
2番目はSSCV-Smartで、輸送全体の効率化を目指します。配車管理、運行管理、動態管理、事務管理で、いわゆる貨物の求荷・求車ともつながります。まずは長距離の往路・復路を可視化し、社内で発生するスポット手配の車を減らしています。ここでまたHacobuさんとカートリッジ的につながってくるわけですね。Hacobuさんのマッチングを共有することができますし、Hacobuさんのパートナー車両が日立物流サイドのデジタルトランスフォーメーションされた環境の車ともつながることができるわけです。

秋葉:これは漫然運転の話にもつながりますね。漫然運転というのは、居眠りしているわけでもなく、脇見をしているわけでもなく、ちゃんと前を見ていて、眠そうに瞬きをしているわけでもないのだけど、気持ちがどこかにいってしまっている状態です。これが大きな事故の原因の3割くらいになっています。これまでの技術では、脇見や眠そうな表情は画像である程度わかるのですが、漫然はわかりません。そのデータを取るためにも、この仕組みは非常に重要です。

佐藤:漫然運転の状態に陥る瞬間の背景には、疲労の蓄積があります。これについて、日立物流では、関西福祉科学大学や、理化学研究所、日本疲労学会と共に産官学連携の取り組みを行っています。PhaseI(2018年度)の段階では、乗車前と帰着後の点呼時のバイタルデータとその日の運行の車の挙動やインシデントの相関関係、因果関係について研究を行いました。交感神経・副交感神経のデータと車の挙動やインシデントの画像データを紐付けすることで、運行前後の体調測定(疲労)とヒヤリ・ハット事象との相関性があることが確認され、2019年5月、第15回日本疲労学会総会・学術集会で発表されました。PhaseII(2019年度)では、運行中のバイタルデータとヒヤリ・ハット事象との相関性を研究しました。今年も発表する予定だったのですが、新型コロナウイルス感染症の影響によりまだできていません。運行中のバイタルデータをずっと蓄積してきて、いよいよこれが研究の最終発表になります。こうした研究を踏まえて、医学的な裏付けを得るために、実証実験を行ってきました。当社では国内グループの全車両につけて、自らPoC(Proof of Concept:概念実証、試作開発の前段階における検証やデモンストレーション)してきたのです。このように自ら実証し学識者のお墨付きも得て、きっちりと説明できる状態にして、外販したいと考えています。

秋葉:多くの会社さんに採用していただきたいですね、ドライバー自体を守ることにもつながるのですから。

ドライバー不足という課題の解決に向けて

秋葉:先ほど、日立物流さん自らPoCをされてきたというお話がありました。それができ上がって使う状態からスタートできることは、非常に大きいと思います。最初の頃はドライバーも嫌がったとお聞きしました。

佐藤:事故というものはなぜか連続する傾向があります。その度に集まって、最初は、市販のデバイスを買ってくるところから始まりました。付けたドライバーから「うるさくて運転できない」「外させてくれ」と言われながら、何とか1カ月くらいやってもらいました。何かわかるのではないかと思ったのです。ところが、ドラレコと画像とデバイスを、素人ながら、苦労しながら分析を繰り返したにもかかわらず、さっぱりわからず、因果関係は何も見えませんでした。これには困りましたね。そのとき、最初に導入したデバイスで、自律神経を計測する機器を作っている会社の社長さんに相談したところ、社長さんの弟がたまたま「日本疲労学会」の先生だったのです。社長さんがその話をしてくださり、先生がすぐに大阪から飛んできてくれました。最初は、「君たちはなんということをやっているんだ。運送会社がこんなことを研究してどうするんだ」と驚かれました。「人間のバイタルデータと車の挙動にどのような因果関係があるのか知りたいだなんて、そんなことをやろうとしている人は世界中探しても誰もいません。それを取ろうとしても無理」だと。そもそも、タクシー運転手やバス運転手も含め、慢性疲労職種といわれているドライバーの運行中のバイタルデータを取るということは、世界中で前例がなかったのです。ところが、面白いからと一緒にやろうということになり、その後、理化学研究所にも入ってもらうようになりました。

秋葉:この研究はドライバーですが、ドライバーだけでなくいろいろなところで使えますよね。

佐藤:そうです。例えば、エレベーターの保守メンテナンスの方など、工事の場面でのバイタルデータはあるのですが、車での移動中はありません。そもそも点呼の制度がないですよね。この仕掛けとつなげることによって、保守メンテナンスの作業者の方々の事故を減らしていくことができます。移動で車を運転しますし、そういったところに着眼してやっているところもあります。

秋葉:ドライバーとして認識されていない人も、仕事で毎日たくさん運転するわけですよね。

佐藤:もう一つ、白ナンバーのトラック、自家用車両の問題があります。先日、経済同友会でも白ナンバー車の有償運送許可について提言されていました。今まで自家用車だった車両がお客様の荷物を預かるわけですから、安全・安心をはじめどこまでできるかが問題です。だからこそSSCVのような仕組みが必要です。ドライバーが不足しているのですから、そうしないと対応できません。こういった大きな仕掛けで世の中のために役立つのであれば、大和ハウスグループさんのような大きな企業のグループのところと組んでどんどん一緒にやっていきたいですね。

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土地活用ラボ for Biz アナリスト

秋葉 淳一(あきば じゅんいち)

株式会社フレームワークス代表取締役社長。1987年4月大手鉄鋼メーカー系のゼネコンに入社。制御用コンピュータ開発と生産管理システムの構築に携わる。
その後、多くの企業のサプライチェーンマネジメントシステム(SCM)の構築とそれに伴うビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)のコンサルティングに従事。
2005年8月株式会社フレームワークスに入社、SCM・ロジスティクスコンサルタントとしてロジスティクスの構築や改革、および倉庫管理システム(WMS)の導入をサポートしている。

単に言葉の定義ではない、企業に応じたオムニチャネルを実現するために奔走中。

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