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コラム No.27-3

サプライチェーン

秋葉淳一の「物流は経営だ」 Vol.3 オムニチャネルの世界

公開日:2016/07/28

物流を通じてオンデマンドでニーズに応えるオムニチャネル

これからのビジネスがオムニチャネルという形をとるのは、ロジティクスの発想からすれば、しごく当然の流れと言える。
ロジティクスとは元々が軍事用語であり、戦争に勝つために最前線の部隊をどう動かすかということを考えるのであれば、「ここからしかモノを届けません」とか「ここに連絡がこなかったらモノを送れません」という発想自体が誤りである。
最終的な意思決定や判断といったものは別にして、「今、ここを勝たせるためにどうするか」を優先する局面は必ずあるはずだ。補給基地自体は他の戦場にもあるかもしれないが、とりあえず、今ここを何とかしなければならないとしたら、ここにあるものを動かすしかない。ここで勝たなければ意味がないのであれば、あらゆる方法を考え、また実行するだろう。それが戦争というものである。
そうやってロジスティクスということで考えていけば、オムニチャネルになっていかざるを得ない。顧客が求めていることに対して、企業が最善を尽くす。そのソリューションとしてオムニチャネルがある。
さらにいえば、現代の顧客のニーズというのは、従来のようにモノ、つまり商品そのものだけではなくなってきている。情報や時間といったものまでも含んだニーズに応えていくには、やはりオムニチャネルということにならざるを得ないのではないだろうか。
戦場で兵士が負傷したら即座に救護班を送り込むように、最前戦にいる者、つまり消費者が望んでいるもの、考えていることに対して、企業がオンデマンドでどれだけ動けるかということがポイントになる。
そういう意味で、オムニチャネル化への流れというのは、長きにわたるビジネスの歴史の中で、物流を通じて顧客の利便性を図ることができる初めての試みといえるかもしれない。顧客のニーズに極めて素直に沿ったシステムの実現が今、そこまで見えてきている。

顧客の潜在的ニーズを把握してからの勝負

大和ハウス工業グループの大和リビングでは「HeartOne mall(ハートワンモール)」という顧客向けの通販チャネルを持っており、それ以外にも電子図書が毎日30分以内だったら読み放題や、日経BP社のセミナー動画、Web英会話など、顧客志向のユニークなサービスを提供している。
なぜ、そういったサービスを提供しているかといえば、大和ハウス工業の住宅に住む人たちにとっての利便性や快適性を突き詰めたからだ。その結果、そういう形になっていったと考えるべきだろう。
これを見て思うのは、IOTやオムニチャネルと呼ばれる時代には、やはりモノだけではなく、快適な状態そのものを顧客それぞれに届けていくという発想が不可欠であり、また、それが可能になるということである。
大和リビングの方とお話をすると、次から次へと新しい発想、やりたいことが出てきて驚かされる。おそらく、大和リビングでは常日頃から「お客様に対して何を提供したらいいのだろう」ということをずっと考えているのであろう。この姿勢こそロジスティクスである。

戦場にいれば、最前線に向かってどうしたらいいのかを絶え間なく考える必要がある。正しい選択、判断を行うには最新の新鮮なデータが必要であり、さらにその精度や深度も要求される。
たとえば、私という人間の情報についていえば、一般的なプロフィールだけでは足りなくて、私の行動パターンや、今何を思考しているのかといったところまで、どんどん突き詰めていくことで、私のニーズに沿ったより適切なサービスの提供が可能になる。
これからは、企業側が各顧客に対して、そういうところまで把握しなければ勝てない時代になっていくものと思われる。

自らを物流会社と呼び出したAmazon

ロジスティクスの領域をどう定義するかということについては難しい部分もあり、ある種、アンタッチャブルとされてきたところもあったが、今や顧客満足とロジスティクスは切り離せないものになりつつある。その重要性に多くの人が気づき、どのように取り入れていくかという段階に入っている。
Amazonを例に挙げれば、ネット通販の会社として小売業を意識したビジネスを展開してきたはずが、最近では「Amazonは物流会社だ」と自ら言い切っている。これは非常に怖い話になってきた、というのが私の実感だ。
小売業であれば商売の入り口がネットということになり、競合各社はAmazonへの対抗手段として、商品展開をはじめ、さまざまな方法を考えることもできた。しかし、これだけの物流網を構築してきた巨大企業に「うちは物流会社だ」と言われてしまったら、他企業はもう勝ちようがなくなってしまう。
特にアメリカ国内では、ドローンやウーバーを使って運ぶというようなことも実現させかねず、競合各社は戦々兢々となっているのではないだろうか。

ニーズの満たし方が変わりつつある

先日、ミーティングの帰りのこと、駅まで歩くのが億劫だったので、タクシー呼んでもらった。すると、私の携帯番号からGPSで場所を割り出して、かなり不便な場所であるにもかかわらず、わずか3分後にはタクシーが来ていた。
これも、ある意味、ロジスティクスである。「車をどこに運ぶか」というニーズに応えている。モノではないかもしれないが、見方を変えれば「車とドライバーを届けている」ことになるからだ。
これを可能にしているのがGPSという最先端のテクノロジーであり、こうしたものをきちんと活用できる企業は、新しいニーズを開拓し、それを満たしていくことができる。
また、前回にも述べたように、商物分離への流れは必然であり、これに対応できるスキルや物理的ベースがあって初めて、オムニチャネルの時代に参入できるということになる。
ITもしくはICTを使いこなせない企業や個人が、オムニチャネルの時代を生き抜いていくことは非常に困難なことである。

トークセッション ゲスト:株式会社ABEJA 代表取締役社長CEO 岡田陽介

トークセッション ゲスト:株式会社ローランド・ベルガー プリンシパル 小野塚 征志

トークセッション ゲスト:株式会社アッカ・インターナショナル代表取締役社長 加藤 大和

スペシャルトーク ゲスト:株式会社ママスクエア代表取締役 藤代 聡

スペシャルトーク ゲスト:株式会社エアークローゼット代表取締役社長兼CEO 天沼 聰

秋葉淳一のロジスティックコラム

トークセッション:「お客様のビジネスを成功させるロジスティクスプラットフォーム」
ゲスト:株式会社アッカ・インターナショナル代表取締役社長 加藤 大和

トークセッション:「物流イノベーション、今がそのとき」
ゲスト:株式会社Hacobu 代表取締役 佐々木 太郎氏

「CREはサプライチェーンだ!」シリーズ

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土地活用ラボ for Biz アナリスト

秋葉 淳一(あきば じゅんいち)

株式会社フレームワークス代表取締役社長。1987年4月大手鉄鋼メーカー系のゼネコンに入社。制御用コンピュータ開発と生産管理システムの構築に携わる。
その後、多くの企業のサプライチェーンマネジメントシステム(SCM)の構築とそれに伴うビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)のコンサルティングに従事。
2005年8月株式会社フレームワークスに入社、SCM・ロジスティクスコンサルタントとしてロジスティクスの構築や改革、および倉庫管理システム(WMS)の導入をサポートしている。

単に言葉の定義ではない、企業に応じたオムニチャネルを実現するために奔走中。

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http://www.daiwa-logitech.com/column/index.html

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