土地活用ラボ for Biz

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コラム No.27-27

サプライチェーン

秋葉淳一のスペシャルトーク 第2回 まずは見ていただいて、シェアリングの世界を感じていただきたいフレームワークス 代表取締役社長 秋葉淳一 × 株式会社エアークローゼット代表取締役社長兼CEO 天沼 聰

公開日:2018/07/31

プロセスを細分化し、シェアできる部分を提案していく

秋葉:私たちはシェアリングという言葉を頻繁に使っていますが、実際には我々も含めて、まだまだ定義しきれていない部分があります。具体的には、所有するのかシェアリングするのか、つまり、シェアリングするのはゼロか100%なのか、といった捉え方しかできていないようです。
たとえばロジスティクスの観点で見た場合、入居いただいたお客様が、物流センターにある設備からプロセスすべてをシェアしたいといっても、現実的には不可能です。すべてのお客様にシェアしていただける部分もあれば、数社の方々だけにシェアしていただける部分もあります。また、プロセスによっては、個別の会社ごとにカスタマイズしなければいけないこともあります。これは当然のことであり、これでいいと思っています。
そこで私たちが目指すのは、個別の会社ごとにカスタマイズされたプロセスをどれだけ減らせるかということになります。
自分たちの特徴は何なのかを考えることを含めて、もう一度プロセスを見直し、シェアリングできることはないか、効率化できるプロセスはないかを考えることが、ロジスティクスを行ううえで目標にすべきことだと思います。

これまで物流を人海戦術のみでやってきた会社は、プロセスの切り方がかなり雑になっています。たとえば、本来はこまかいプロセスに切り分けられるにもかかわらず、「入荷」の一言で終わってしまったりします。しかし、「入荷」のプロセスをもう少し細かく切って洗い出したとき、自分たちが個別にやってほしいことはその中の一つだけで、入荷のほかの業務プロセスはシェアしてもいいのではないかということがわかってきます。そうすると、無駄なリソースを使わずに済むようになります。
私たちも、最初からすべてをシェアするということではなく、どこまでできるかを追及する必要があります。今回、DPL市川ではすでにエアークローゼットさん、wajaさん、トーキョー・オタク・モードさん、さらに引き続き4社くらい決まってきています。当然、最初は違うところがたくさんあると思いますが、私たち側からも、「こういうところが共通項にできませんか」「シェアしませんか」という提案をしていきます。私たちからシェアすることの価値を出すことを考え、追求していかなければなりません。

天沼:我々は今、現場の機能の中でも、クリーニングの洗いの部分など、メンテナンスの品質性に非常に力を入れています。メンテナンスのパートナーであるクリーニング事業者と一緒に、洗い方や溶剤を含めて研究を重ねています。倉庫の一角でそんなディスカッションをしながら、最終的には倉庫で簡易的なメンテナンスを取れるような仕組みを考えています。
先日も、現場で機械や状況を確認しながらディスカッションをしていたのですが、そこで偶然秋葉さんとお会いしました。そのとき、私は染み抜きなどのメンテナンスの機械を触って、チェックをしていたのですが、それを見ていた秋葉さんもディスカッションに参加し、「この機能は他の会社でもプロセスのひとつの機能として必要になるだろうか」という話になりました。こういった話はこれからどんどん生まれていくと思います。機能をどれだけ細分していくのか。秋葉さんがおっしゃるとおり、細分化した機能をどこまでカスタマイズして、どこまでカスタマイズしないのかを決めていくところは、やはり現場での動きです。
細分化が「できる、できない」というのは、機械も人も含めて判断されていくのだろうとは思いますが、今お話を伺っていて、この話を思い出しました。それは私にとっても新発見でした。

秋葉:シェアの話とは少しずれますけど、最初にエアークローゼットさんに入ってもらいましたので、当然ですが、ハンガー比率が非常に高かったのです。
当初市川のセンターを設計するとき、まず棚搬送のバトラーを入れましょうというところからスタートしたこともあって、ハンガー比率が高かったときにどうするかの問題に関しては、少し後ろ向きになっていました。ですから、現時点ではその部分に関して自動化の機器が入っていません。しかし、冷静に考えると、今後倉庫内の作業負荷を減らすためにも、ハンガー比率を増やしていく方向になるはずです。今後ハンガー比率が増えていくことを考えると、速やかにハンガーの自動化の設備を入れる必要があります。私たちは、大手の紳士服販売会社の物流センターでの、約10年の実績がありますから、そこのノウハウは持っています。次のセンターでは早々にそれをやるよう指示しています。
ここで誤解してほしくないのは、ハンガーに掛かっている1品1品がエアークローゼットさんのものでなければならないということではないということです。どの会社でもその自動化の仕組みを活用していただけます。しかも、ハンガーに掛けたら、RFIDを使ってすべて自動で管理しますから、その中身にはまったく人が関わることはありません。まったく人が関わらないということはそこでミスが起こることはありません。そうなると、上がってきたものの検品が不要になります。いわゆる商品の品質としての検品(ほつれがないかといった意味での検品)は必要かもしれませんが、物流品質のための検品はする必要がなくなるのです。

天沼:シェアリングが実現できるかできないかは、どこまで機能を細分化できるのか、どこまでカスタマイズする部分としない部分を分けられるのかということに加えて、自動化や人工知能を使ってこれまでできなかった効率化が図れるのか、というところが勝負なんだと思います。率直な感想として、これまでその考えが生まれていたにもかかわらず実現できなかったのは、そういう技術的な進化がまだ十分ではなかったのでしょう。

本質的に考えれば、物流センター内のことは意識する必要はない

天沼:秋葉さんとお話ししていて、私がいつもそうだなと思うことがあります。物流を依頼する側の事業者目線で見たときに、たとえばEC事業者がお客様から注文が入って、この在庫をお客様のご自宅に届けてほしいという依頼があるとします。その依頼に対して、本来これまでは倉庫現場も見て、「どの場所でどういうことをして、どこでどういう機械を使って」というところまで、事業者は入り込んで一緒につくってきたと思います。しかし本質的に考えたら、事業者に必要なことは、「在庫をお客様のご自宅に正確に届ける」というお願いしたことがされていれば、物流センター内のことは特に意識する必要はないはずです。
シェアリング物流の考え方では、保管場所や、それこそハンガーでかけられているのか、かけられていないのかといったことは、事業者側は認識する必要がありません。届いたときの状態に関しては、事業者側もサービスレベルとして真摯に考えなければなりませんが、シェアリング物流の観点でいえば、高いサービスレベルをお約束できさえすればいいという概念であり、すごく本質的なものです。
ただし、話としては簡単にいえますが、それを個々にどう対応していくのか、どこまでをカスタマイズしどこまでを完全に汎用的にするのかというところが、これからのチャレンジだと思っています。

秋葉:荷主側からしてみれば、作ったものを送るということは、普通は資産ありきで考えます。「物流倉庫を作って、人を採用して、設備を作って」と考えるところだと思います。機能を買うという発想になるのはなかなか難しいことです。そういう方々には、ぜひ、市川のセンターを、実際に見ていただきたいと思います。
物流に関して誤解を恐れずにいえば、何十年間もずっとやり方を変えていないままに行われている会社が大半です。店舗に配送していたものが、Eコマースの出現で小分けされた、といった変化はありましたが、大きな意味でのやり方は何も変わらずに何十年間経過しました。インターネットもなく、電話で情報をやりとりするのが精いっぱいだった時代のやり方から、ほとんど変わっていません。
ですから、企業を跨いで情報がリアルタイムに正確に流れたり、どこにいてもその情報が見られるような仕組みではない頃の仕事のやり方が今でも続いているわけです。効率的なロジスティクスの体制ができていないことがだめなわけではなく、ずっとそのやり方で一生懸命頑張ってきて、確立してきたわけですから、ある日突然、「そんなことをしなくてもいいですよ」とは、なかなかならないものです。
さらに、コストもぎりぎりまで抑え、情報をアナログで流すことや人間が見て判断することを前提に、いろいろなプロセスが組まれているわけです。今までのやり方から離れることができない人たちは、シェアリングのロジスティクスをやりましょうと言われてもすごく怖いはずです。
そうした人たちの前提は、大きく荷主側と物流会社側に分かれています。どこまで荷主さん側がやってくれますか、どこから物流会社がやってくれますかという大きな線があります。なおかつ物理的に離れていると見えないので、荷主が自ら物理的な物流センターを決め、借りる坪数を決め、そこに什器やマテハン機器も自分たちの費用で入れて、オペレーションだけを物流会社に委託するというやり方を採用していたわけです。でも、シェアリングであれば、そんなことをする必要は全然ありません。

天沼:使ってもらってはじめて変わってくると思います。我々も、日本で初めて普段着のレンタル事業をやるということで、各ブランド様にお話ししに行ったとき、同じ状態でした。これまで売ることを目的にやってきているし、どこの誰ともわからないような人間である私が、レンタルをするので洋服の提供をしてほしいという話をしても、そもそも概念が違うと捉えられました。でも、お話しをさせていただいて、主目的は「ファッションとのワクワクする新しい出会い」をお届けすることなので、洋服を本当に気に入ってもらって、そのブランドのファンになっていただいてどんどんファンを増やしていくことは、ブランドにとっても良いことだし、お客様にとっても良いことである。そう考えれば、私たちのファッションレンタルという仕組みを通して売る手段にもなれば、レンタルで体験していただいて、ファンになる入口をつくる手段にもなる。本来、ブランド様が本当の目的にしているところはどこなのかというお話をさせていただいたら、理解してくださるブランド様もどんどん出てきました。
それで実際にやってみて、ブランド様から「レンタルを介してたしかにファンが増えてきました」とか、「着てもらって、はじめて来店してもらって、ファンになってもらえました」というお話もあります。あとは、これまでとは全然属性が違うお客様が訪れるようになったので、もっと取り組みを大きくしたり、一緒にキャンペーンをやったり、お話として新しいブランド様からお問い合わせがあったりというように広がっていきました。

秋葉:今でも笑い話になっていますが、未だに「市川で何坪空いてませんか?」と言われるわけです。「申し訳ないですが、ここはシェアリングでサービスを行っています」と。ある程度は難しいと想像していましたが、やっぱりそうなんです。
ですから、私たちが自ら示しているわけです。私たちがやりたいのはサービスのプロバイダーです。オペレーションをしていることが目的ではありません。出来上がったシェアリングのモデルをサービスとして提供する、あるいは、ロボットを使う仕組みも含めてサービスとして提供することをやりたいわけです。私たちの会社が自らオペレーションしていることが、メインの事業ではありません。出来上がったものを使ってもらいたいんです。そうなれば、荷主も物流企業も、いろんな会社が、それがシェアリングなのかとわかっていただけるはずです。参加いただくのは、どのような業態、業種でもかまいません。まずは見ていただくことで、その違いを認識いただきたいと思っています。

天沼:今回のシェアリング物流においても、私たちが行ってきたレンタル事業と同じことがいえるのではないでしょうか。実際に見に行った人が良いと思って、使ってみる。使って見た結果、これまでと実際のところは変わらないという認識をその場でされると思うんです。たとえば、レンタカーでも同じです。車は買うものだという概念から、一回レンタカーを利用すれば、たしかに車を運転して体験するという行為自体は変わらないと実感すると思います。頭で考えて難しさを感じるより、実体験してもらうことで本質を理解することがすごく大きいと思っています。
ただ、実体験してもらうということは、その機能をお約束しなければなりません。もちろんこれまでの物流も近い概念ですが、場所も決められていて、ある一定の制限があって、言い方は悪いかもしれませんが、いくつかの言い訳の理由もあると思うんです。荷主さんと一緒につくったものには既存の物流の概念があると思うのですが、今後のシェアリングの概念は機能をお約束するので、そこに相応の覚悟がないと、機能をお約束するということはいえません。そこに私は強く共感しました。我々にもできることがあれば、進化させていくという部分は一緒にやりたいとお話しさせていただいたのは、そこの気概がすごいと思ったからです。

まず動く。変わる前提で先に行動する。

秋葉:私たちは、まず行動することが何よりも大切だと思っています。
「こうしたい」という思いが先にあって、そこに向かって進めば、いろいろな問題も出るのはわかっているけど、それが解決できたらその先に行けるのですから、それは本当に大きなことです。行動もせずに、「ここに行くにはこんな問題がある」ということを一生懸命資料に書くだけで一歩も進んでいない人には、誰も協力しないと思います。実際に行動して、本当にぶち当たっているから、変えてくれということを力強くいえるのだと思います。

天沼:秋葉さんのすごいところは、誰もやっていなければ、エビデンスもないところで実際にやるということですね。

秋葉:私は変わる前提で、先に行動しますから、変わった後に「こういうビジネスモデルだった」と気づくことになります。
それが天沼さんたちのようなスタートアップやベンチャーの人たちと、そうじゃない既存の事業者の大きな違いだと思っています。
少し見えた後で一緒に参加してくる人たちと見える前に参加してくれた人たちには、大きな差があります。今回ご参加いただいた、「最初の3社は特別」だと私は思っています。
私たちも常に新しいことをやっていかなければいけないですし、常に成長を求められている企業グループなので、そこは違和感ありません。それが上手くマッチしたのかなと思います。
やって、本当にぶち当たっているから、変えてくれということを力強く言えるのだと思います。

天沼:おっしゃるとおりで、それを大和ハウスグループさんでされるということがすごく重要です。我々スタートアップとしても、取り組みにご一緒させていただく際に、全量移転するので、そもそもそのまま動かなくなる可能性も当然あります。先ほどの話ではありませんが、エビデンスを見せてくださいといって、できると知って移転するわけではなく、やるんだといって移転するので、やはりそれ相応に怖いですよね。大和ハウスさんがそれだけの本気度で取り組んでいくということを聴いたから、少しは緩和されたところもありました。

第3回に続く

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土地活用ラボ for Biz アナリスト

秋葉 淳一(あきば じゅんいち)

株式会社フレームワークス代表取締役社長。1987年4月大手鉄鋼メーカー系のゼネコンに入社。制御用コンピュータ開発と生産管理システムの構築に携わる。
その後、多くの企業のサプライチェーンマネジメントシステム(SCM)の構築とそれに伴うビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)のコンサルティングに従事。
2005年8月株式会社フレームワークスに入社、SCM・ロジスティクスコンサルタントとしてロジスティクスの構築や改革、および倉庫管理システム(WMS)の導入をサポートしている。

単に言葉の定義ではない、企業に応じたオムニチャネルを実現するために奔走中。

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