土地活用ラボ for Biz

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コラム No.27-52

サプライチェーン

秋葉淳一のトークセッション 第2回 LOGISTEEDの「デジタルプラットフォーム」で次世代ロジスティクスへ株式会社フレームワークス 代表取締役社長 秋葉淳一 × 株式会社 日立物流 執行役専務 佐藤清輝

公開日:2020/08/31

物流の新領域「デジタルプラットフォーム」

秋葉:日立物流さんは、重点施策として、コア領域における「デジタルトランスフォーメーション×実業」の具現化、協創パートナーも含めたデジタライゼーションによる「物流現場力×プラットフォーム」の拡大ということを掲げていらっしゃいます。「デジタルプラットフォーム」について、どのようにお考えでしょうか。

佐藤:最先端のデジタルテクノロジーでEnd to Endの全てを繋げ、「ロジスティクス」が革新的・サスティナブルな新たな価値を創るのが、日立物流の次世代ロジスティクス「デジタルプラットフォーム」という構想です。ビッグデータを活用することで、安全・品質、生産性、SC(サプライチェーン)最適化、BCP対応、異常検知など、物流の新領域へずらしていきます。
「デジタルプラットフォーム」では、「IoT×DX(デジタルトランスフォーメーション)」、「5G×AI」、「ロボティクス」を柱にさまざまな取り組みがあります。例えば、IoT×DXでは、スマートウエアハウスにおけるシェアリング・従量課金、SCDOS(Supply Chain Design & Optimization Services)によるお客様のサプライチェーンの可視化、事故ゼロ社会の実現をめざす「SSCV(Smart & Safety Connected Vehicle)-Safety」、輸送業界全体の効率化をめざす「SSCV-Smart」、整備作業の効率化、コスト削減をめざす「SSCV-Vehicle」の3つのソリューションがあります。これらのソリューションで構成された輸送デジタルプラットフォームによってドライバー・輸送会社を守ります。

また、5G×AIでは、スマートウォッチを使った安全・安心な職場環境作り、ドローンやサーマルカメラ、顔認証技術を使った非接触型の運営管理、VR機器やホログラムを使ったバーチャルリアリティ教育を実施します。ロボティクスでは、機械設備と働く人の群管理をベースとしたバックキャストオペレーション、外との接点になるバースコントロール、そして安全安心の輸送デジタルプラットフォーム「SSCV」、これらの全てが繋がった世界を構築します。つまり、デジタルツインです。ロボティクスの分野は、近年、いろいろな物流設備やシステムが出てきましたが、どうしてもまだ確立できていないものがあります。一つが、ハード的に手つかずになっているピースピッキングロボットです。いわゆるパレット単位、バケット単位は何とかなるのですが、ピース単位の取り扱いはまだまだです。これは世界的な課題であり、永遠のテーマになるかもしれません。もう一つがフォークリフトです。
日立物流では、物流センターの中でどうしても手つかずであったピースのピッキングとフォークリフト、そのうちのフォークリフトの分野で世にない取り組みを行っていますのでご期待ください。なぜフォークリフトなのかというと、フォークリフトオペレーターのなり手がいないという背景と、フォークリフトは事故が起きてしまうと甚大な事故になってしまうということがあります。こういった領域をなるべく自動化することで、物流センターの統制管理の領域を広げていき、最終的には、ピースピッキング以外の自動化という極限まで持っていきたいと考えています。しかし、既存の場所にこの空間を作るには高いハードルがあります。オペレーションを止めながらやるわけにはいきませんから、引っ越し先が必要です。最新鋭の空間を作っておいて、そこに職場を移転させて、止めることなく動かさなければなりません。止めない物流で、移転先ははるかに進化した世界にする。そうすると元の場所が空く。これをまた別の目的で活用する。これは物流不動産の皆さんとの広い意味でのシェアリングです。システムを絡めた「自動化、省人化、省力化」×「サブスクリプション」×「シェアリング」の今までになかった一つの姿だと思います。

秋葉:あるタイミングにおいては、自動化率の高いところから低いところまで存在します。当然、自動化率の高いところに引っ越す人もいるし、もう少し低いところでもいい人たちもいるわけです。

佐藤:選択肢が広がりますよね。持っているものや生い立ち、入口は違うのだけど、ずっと進んでいくと、シェアリング、協創できることがあるのだと強く感じています。

秋葉:ピースピッキングの解決にはまだ時間がかかりそうだと思いますが、そうはいっても、半自動、省人化率をどれだけ上げていくかは一つのポイントです。

佐藤:人はゼロにはできないので、したがって、安全・安心な職場にしていかなければいけません。確実な個人認証・防犯・セキュリティを徹底し、変なことが起こらないようにしなければいけない。事故も起こさせてはいけない。人が適切に働いてくれないといけない。個人の能力差があまりないように、なるべく標準的な能力を出してほしい、熟練していってほしい。こうしたことを5Gの環境を作って通信会社さんと実証実験しています。設備だけでなく人も含めた統制管理をするためには、人の育成、教育が欠かせません。そこで、VR機器やホログラムを使ったバーチャルリアリティ教育によって、直感的・視覚的なマニュアル配信を行い、従業員に危険を体感してもらいます。人にDXの環境を認識してもらわなければいけないわけです。フォークリフトが来たら感知しないといけないし、さまざまな注意事項も感知しないといけないわけです。

秋葉:省人化、省力化した上で、人には、人でなければできない仕事をやってほしいですよね。

佐藤:そのとおりです。人でなければできないことこそが、人の価値が上がるところだと思います。もっと言うと、物流センターの中を少数精鋭化していきたいですね。日本全体の労働力を考えると、違う仕事にも進出してもらい、倉庫の中の人口を減らすことも必要だと思います。

秋葉:ロボットや人工知能を使ったら仕事がなくなるとよくいわれますが、新たな仕事が必ずまた出てきます。そうしたいろいろな仕事に就いてもらったらいいのです。

佐藤:もっとも複雑怪奇にできているロジスティクスのサプライチェーンの世界、現場で培った知見を生かして、さまざまなシステムに従事してもらってもいいですし、それこそいろいろな仕事ができます。DXを中心としている皆さんから見ると、その知見は貴重な財産だと思います。

物流はシェアリング、協創の時代へ

秋葉:先ほど新しいセンターというお話が出ましたが、日立物流さんがお持ちになっている構想を実現するためにはどのような建物がベストなのかは、また別の話です。そういったところも一緒に考えていかないといけません。そこについて具体的なお考えはありますか。

佐藤:床荷重が最低でも坪5トン必要だとか、ドローンを飛ばすなら天井高が最低8メートル必要だとか、言い出したらキリがありません。柱スパンは広いほうがいいですし、電源やWi-Fi環境なども必要となるでしょう。要は、安全・安心な職場環境です。人が気持ちよく働けるような環境で、満たされている職場であればそれでいいと思います。

秋葉:人間がハンディの端末を持って仕事をしているのとロボットを制御するための通信では、データ量がまったく違います。ロボットを制御しようと思うと相当な頻度でデータのやり取りを行う必要があるため、膨大な通信料が必要です。そういったことをお客様の負担で行うのではなく、電源の用意も含めて、センターで当たり前のようにやっていないといけないと思っています。どんな荷扱いにするかにもよりますが、それぞれの荷扱いに対して最先端の仕組みが整っているかたちでできればすごくいいですね。ただし、技術的にすべて先端を並べれば物流の現場としてベストだというものでもありません。佐藤専務がおっしゃるように、安全・安心など、どうしたら人が働きやすいかというところが重要なのだと思います。

佐藤:ロボティクス・群管理で、バックキャストオペレーションというものがあります。けっきょく、物流センターが何のためにあるかというと、ものをお届けするためにあるわけです。つまり、出荷の車のためです。ものを漏らさず積まなければいけませんし、待たせてもいけません。1ピース足りなくてもトラックは出て行けませんから。つまり、後工程を待たせないためのバックキャストのオペレーション環境には、ロボティクス・群管理、人を含めた統制管理が必要なのです。人はなるべく少ないほうがいいのだけど、ゼロにすることはできません。人をゼロにできないがゆえにさまざまな配慮が必要になります。人も機械設備と同じように、バックキャストのオペレーションの中でラインバランス、タクトを考えながら動く。そのような世界を作りきることが、無駄のないオペレーションだといえるのではないでしょうか。

秋葉:これはサプライチェーンマネジメントの最初に出てくる話ですね。遅い工程があったら、結局、全体もそのスピードにしかなりません。

佐藤:設備と人を作り込んでいくところで、先ほど言ったような器の問題が出てきます。ここで大きくパートーナーシップを作ることができると、今までなかったようなシェアリングの姿も作れていくと思います。バースコントロールもポイントです。これもまた大和ハウスグループの出資企業であるHacobuさんの得意分野ですね。今、ホワイト物流という言葉がありますが、止まらない物流、あるいは無駄のないサプライチェーンを作るためにも必要なものです。今も必要なのですが、さらに将来的に、例えば無人の車ができたとき、バースコントロールとバックキャストオペレーションは絶対に必要になります。当社は、無人の車が来る、入庫するという想定の中で、オペレーションのシステムをどう作るのかを考えています。

秋葉:シェアリングを進めていこうと思うと、やはり、ある程度の規模が必要になりますよね。移った後のセンターの活用もそうですし、規模が必要になることを考えると、大和ハウスグループも含めて一緒に組める会社がどれだけあるかが非常に重要だと思います。

佐藤:そうだと思います。大和ハウスさんはいわゆる物流不動産業でもありますが、物流センターを建築する会社でもあるので、そういう意味では一番リーダーシップが取りやすいのではないでしょうか。日立物流は3PLでは日本で一番大きいといわれていますが、実は、同業は全てコンペティターであるわけではありません。つまり、デリバリー会社は完全にわれわれのパートナーで、彼らの足のお手伝いなくして成り立ちません。ルート配送は自前でやっていますが、自分たちでやれているのは全体の中の1割強でしかなく、残りの9割近くは輸送会社さんに助けていただいています。競合ではなくパートナーであって、当社が作った仕組みの中でやっていただいているという世界なのです。ですから、どんどん協創していく、シェアリングしていくことが大事だと考えています。

秋葉:そういう意味で「デジタルプラットフォーム」なわけですね。

佐藤:当社は実業をやりながら、リアルな世界を持って、物流の新領域である「デジタルプラットフォーム」を目指しています。その下に実際のデータ基盤なるものがあり、その基盤づくりをしながらプラットフォームを作り込む作業をしていかなければなりません。今、そういった方面に投資しながら作り込んでいるところで、自ら実験台となって様々な実証実験を行っており、遅くとも来年度には完成します。

秋葉:5Gが普及してきたら、また違う世界観になるでしょうね。

  • ※「LOGISTEED」とは、LOGISTICS、Exceed、Proceed、Succeed、Speedを組み合わせた、株式会社日立物流のビジネスコンセプトです。
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土地活用ラボ for Biz アナリスト

秋葉 淳一(あきば じゅんいち)

株式会社フレームワークス代表取締役社長。1987年4月大手鉄鋼メーカー系のゼネコンに入社。制御用コンピュータ開発と生産管理システムの構築に携わる。
その後、多くの企業のサプライチェーンマネジメントシステム(SCM)の構築とそれに伴うビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)のコンサルティングに従事。
2005年8月株式会社フレームワークスに入社、SCM・ロジスティクスコンサルタントとしてロジスティクスの構築や改革、および倉庫管理システム(WMS)の導入をサポートしている。

単に言葉の定義ではない、企業に応じたオムニチャネルを実現するために奔走中。

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