土地活用ラボ for Biz

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コラム No.27-62

サプライチェーン

秋葉淳一のトークセッション 第3回 お客様の現場におけるDXを推進する株式会社フレームワークス 代表取締役社長 秋葉淳一 × 大和ハウス工業株式会社 取締役常務執行役員 建築事業本部長 浦川竜哉

公開日:2021/06/30

変革期をサポートする

秋葉:2020年10月に、千葉県印西市の千葉ニュータウンで、「(仮称)千葉ニュータウンデータセンターパークプロジェクト」が着工されました。データセンターの施設を建設するという発想は大和ハウス工業ならではですよね。

浦川:「(仮称)千葉ニュータウンデータセンターパークプロジェクト」は、データセンター開発を物流施設開発の次の柱にすべく、大和ハウス工業が手掛ける工業団地「D-Project Industry 千葉ニュータウン」内にデータセンターを最大15棟開発するという計画です。インターネット用のサーバーなどのIT機器に供給可能な最大電気容量600MWを誇るプロジェクトです。
実は、最初からデータセンターにしようと思っていたわけではありません。地区計画で物流ができない土地だったため、他の用途を考えざるを得ませんでした。印西市は地盤が堅固な「下総台地」に位置しているため、震災リスクの低い地盤であり、データセンターが候補に挙がったのです。ただ、電力が少し弱かったので、同団地内に最大1,000MWの電力供給が可能な超高圧変電所を東京電力パワーグリッドさんの誘致により開発し、最終的にエアトランクさんとご一緒することになりました。

秋葉:変革期というのはそういうものなのでしょうね。変革期だと思っているのはわれわれだけではありません。業界によってスピード感や感じ方の差はありますが、お客様も皆、同じように感じているようです。今までの延長線上ではないなかで、どうやってこれまでのパートナーと一緒にビジネスを継続していくかが、一つのポイントだと思います。企業からしてみれば、コロナ禍やDX(デジタルトランスフォーメーション)も含めて、今後のサプライチェーンがどうなっていくのか、大きな不安があります。そういったときにこのプロジェクトを打ち出せるのは、まさに大和ハウス工業の強みですよね。

浦川:「5G」の時代が到来するなか、われわれも物流DXに取り組んでいくわけですから、もともと、データ通信量が増加するのは当然のことでした。さらにそこに新型コロナウイルス感染症の感染拡大もあり、世界的にデータの通信量が増大し、データセンターへのニーズが一気に高まりました。
印西市の土地を入手してデータセンターの開発をスタートしたら、世の中の動きに沿う形で、非常にタイムリーに進みました。推し量ったわけではないのですが、運にも恵まれました。

秋葉:データセンターの事例もそうですが、他との差異化ということで言うと、今、大和ハウス工業は物流施設シェアにおいてナンバーワン※です。ナンバーワン同士、あるいはナンバーワンとオンリーワンがつながれば、たとえ他社がモデルを真似したとしても、1位と1位の組み合わせに追いつくのは容易ではありません。今まではどちらかというとモデルで差異化しようという動きをしていました。比喩的な言い方ですが、ナンバーワンとオンリーワンが組むことができれば、誰も追いつくことはできないのではないでしょうか。
※日本ロジフィールド総合研究所資料(2020年11月末までの竣工済み累計実績)より

浦川:そういう事例でいえば、今、JR貨物さんとプロジェクトを動かしています。「札幌貨物ターミナル駅」構内に「DPL札幌レールゲート」を着工しました。JR貨物さんは、現在の物流業界の大きな課題であるドライバー不足、環境への配慮、エネルギー問題などの解決のためにモーダルシフトを進めています。そうした社会的な課題に対しても大和ハウス工業としては支援していきたいと思っています。

秋葉:JR貨物さんは鉄道貨物で唯一の存在です。物流施設のナンバーワン企業と鉄道貨物のオンリーワン企業が一緒に取り組む。これはすばらしい取り組みだと思います。日本全国に物流施設を持っているという、ナンバーワンである大和ハウス工業の強みがここで活きてきます。また、建物を建てることができて、グループの中でリートも含めた出口戦略を用意することができるのも大きな強みの一つです。こうした総合的な取り組みが、大和ハウスグループの強みになるのでないでしょうか。

DXの推進も積極的に

秋葉:今のところ、私の個人的な活動に近い形ではあるのですが、経済産業省が主催しているワークショップや勉強会に出て、いろいろな企業とやり取りさせてもらっています。公表できないことも多いのですが、ニーズとしてどのようなものがあるかお話しすることができます。例えば、業種ごとにどのようなニーズがあるのか、あるいは、通販系を得意としている会社は今どのようなことを考えているのか。個社名を別にすればお話しできるところがありますから、そういった現在の状況やニーズをつかみながら、事業に活かしていきたいというのが、ワークショップに出ている目的の一つです。
もう一つは、国も、省人化や働き方改革に合わせて、ロボットや人工知能を推進していくための予算を一生懸命取ろうとしているし、使ってもらおうとしていることは事実です。国のそうした動きは、業界の中に一つの流れをつくるきっかけになります。それぞれのお客様のニーズだけではなく、国の動向を知ることも非常に重要だと思っています。

浦川:そうですね。日本のDX化が、海外諸国の進化度に比べると遅れていることに焦りを感じているのが実際のところだと思います。国もデジタル庁をつくって推進していこうとしていますので、秋葉さんがおっしゃるように国の動向とも合わせながら、われわれも積極的に投資していきたいと思っています。
また、大和ハウス工業では建設業のDX化、デジタルトランスコンストラクションというかたちで、デジタル化に取り組んでいます。どれくらいの効果が出るのかシナリオを描いていますが、われわれとしても、物流現場のDX提案については、相当な予算と準備が必要だと考えています。そういったことも事業本部制になったことによって、建築事業本部から、物流のお客様の現場に対するDX推進のために、どのようなことを考えてどのようにしたいのか、そのためにはいつまでに誰が何をどれくらいやらなければいけないのか、そのための費用はどれくらいかかるのかといったことについて、今後、指針として出していきたいと思っています。

秋葉:DXへの取り組み指針は各企業が待ち望んでいるものだと思います。また、食品に関するコールドチェーンのお話を含め、物流における総合的な提案が待たれています。指針の出し方も大事だと思うのです。世のトレンドをつくっていくような発信など、見せ方も含めて考えていきたいですね。

5G時代に、新たな取り組みを提案

秋葉:DX関連として、ほかにお考え中のサービスなどはありますか。

浦川:われわれの物流センターに入居していただいているお客様に、印西市の他に、関東から2カ所ほどデータ通信専用の回線をひいて、安く便利に使えるようなシステムをつくりたいですね。1カ所ではリスクがありますので、3カ所くらいと回線をつないで、巨大なデータ処理ができる物流センターを準備するなど、そのようなつなぎ方ができるといいと思っています。

秋葉:タイミング的にまさに5Gへの変革期でもありますし、本当の意味でのリアルタイムで、並列分散処理をフィジカルな世界でもやりましょう、というテーマにも取り組めたらいいですね。

浦川:現在提供しているDPLの物流センターでも、データセンターとして運用できるような下工事をしてあるところもありますので、いつでもデータセンターにすることができます。

秋葉:私は、DXというのは仕事の仕方を変えることだと思っています。物流の中だと、どうやってデジタル化して、それを回すかが今の焦点になっています。ロボットも良いものがたくさん出てきています。DPLの中で、ロボティクスやMOVO(Hacobuの物流DX支援サービス)が一体となったシェアリングサービスは今後も行っていきます。ロボットをシェアするとき、その資産を誰が抱えておくのかがポイントになります。私は、必ずしもグループの中で抱えておく必要はないと思っています。例えば、ある商社ではRaaS(Robot as a Service:ロボットをクラウド環境において使用する形態)を事業にしていて、ダイワロジテックも一緒に取り組んでいます。資産は商社に抱えてもらって、ダイワロジテックは本当の意味でのサービス提供だけを行います。お客様はボラティリティ(値動きの幅)が大きいからこそサービスを使いたいはずなので、「こんなふうに物量が上がってくるはずだから、いつまでにこのロボットを追加しましょう」というように、適切なロボットやふさわしい台数を提案します。そのようなことを仕組みとしてやりたいと思っています。

浦川:物流センターにおいてDXのサービスを適切に提供していくには、一社一社、個々のお客様に寄り添った分析とソリューションが必要です。最大公約数を入れればできるようなものではありません。特定のお客様に入り込んで、一緒になって徹底的に行っていかなければなりません。そのために使える予算や規模感、人的資源をどこまで許容できるのか。どのような成果を求めるのか。そういったところを共有しながら行っていかないと、すごく難しいと思います。最大公約数的な取り組みは誰しもが行っていくのでしょうけれども、大和ハウス工業は、個々にアレンジして、お客様の微に入り細に入り、かゆいところに手が届くようなDX化の提供を目指しています。それには手間暇かかるでしょうし、時間もかかりますが、そのためにダイワロジテックがあるとわれわれは思っています。この最大限の強みをぜひ使っていただいて、DX化による効果を実感できるところまでお客様とご一緒したいと思っています。

秋葉:ありがとうございます。私も常務のおっしゃるとおりだと思います。DXと言ったとき、自分たちで何かをしなければいけないということはわかっていても、どうしたらいいのかが非常に難しいのだと思います。いろいろなことを言う人たちがいますが、業界や個社に対して明確な答えがあるかというと、それもまた難しいでしょう。最大公約数というのは、私たちからするとプロダクトアウトの発想です。こういうものをつくっておけば、皆が良いと思ってくれるのではないか、ということですね。しかし、おそらくプロダクトアウトの発想では誰も使わないだろうと思うのです。お客様と一緒に、新たな仕組み、新たな仕事の仕方をいくつか作り込んでいく。そして、それに対して共感する人たちに一緒に使ってもらう。つまりプラットフォームに近いような形ですね。その繰り返しで、いくつかのカテゴライズされたプラットフォームができたら、最終的にまた連携していくことでよりブラッシュアップされていく。そのような動きなのではないかと思っています。そこで、デジタルの力やお客様から聞き出す力、引き出す力を発揮していきたいですね。

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土地活用ラボ for Biz アナリスト

秋葉 淳一(あきば じゅんいち)

株式会社フレームワークス代表取締役社長。1987年4月大手鉄鋼メーカー系のゼネコンに入社。制御用コンピュータ開発と生産管理システムの構築に携わる。
その後、多くの企業のサプライチェーンマネジメントシステム(SCM)の構築とそれに伴うビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)のコンサルティングに従事。
2005年8月株式会社フレームワークスに入社、SCM・ロジスティクスコンサルタントとしてロジスティクスの構築や改革、および倉庫管理システム(WMS)の導入をサポートしている。

単に言葉の定義ではない、企業に応じたオムニチャネルを実現するために奔走中。

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