土地活用ラボ for Biz

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コラム No.27-38

サプライチェーン

秋葉淳一のトークセッション 第3回 プラットフォームによって社会の役に立つ株式会社フレームワークス 代表取締役社長 秋葉淳一 × 株式会社ローランド・ベルガー プリンシパル 小野塚 征志

公開日:2019/06/28

フレームワークスの秋葉淳一氏がホスト役となり、株式会社ローランド・ベルガー プリンシパル 小野塚征志氏をゲストにお迎えし、ロジスティクス業界にイノベーションを興すために必要なことは何かについて、語り合っていただきました。

ロボットに付加価値を持たせる

小野塚:物流に関していえば、例えば、伝票の統一のように、普通にやればいいことがまったく進んでいません。これは仕方がないことだと思います。電気のコンセントも世界中で共通化すればいいのにできないのは、すでにできあがってしまっているからです。ですから、今の伝票をそのまま使ってもAIやセンサーが読み込んでくれるような、やり方を変えることによって標準化する考え方を用いないと突破できません。これもまた良いタイミングだと思うのです。なぜなら技術が追いつきつつあるからです。

秋葉:私も伝票の話は典型的な一つの例として捉えています。伝票フォーマットを統一しようという方向にいっていますが、それがずっとできないのです。それぞれの会社で仕組み、システムがあり、いろいろな制約がある中でそれを変えることはものすごく難しいでしょう。しかし、デジタルデータであれば、フォーマットは違っていても書かれている情報は同じです。デジタルデータで印刷していれば、OCRで読み込むことはそれほど難しいことではありません。
それよりは運用の仕方です。その上に判子を押さない、手書きのメモをしないといったことのほうが重要です。属人に頼っているから、そういうことを平気でさせてしまっているのです。100%ではありませんが、今は伝票のほとんどが印刷ですから、印刷したものは全部読めるわけですが、ある会社の伝票を分析したところ、伝票の上に様々なことが手書きで書いてあり、OCRでは読めない比率が圧倒的多数でした。ある程度システム化できても、そこに余計なことをしてしまっているからできないので、ルール化をきちんとしなければなりません。

また、標準化に伴ってロボットを導入しようという話になったとき、私が考えていることがあります。
今、ロジスティクスの世界で使われているロボットは、基本的には産業用ロボットです。当然、お客様に新しい用途を提案するような大型の棚搬送のロボットを活用する場合は、産業用ロボットが必要ですが、パーソナルロボットを転用することです。
例えば、AMR(Autonomous Mobile Robot:自律移動ロボット)タイプを活用したい場合、他の用途で使われてきたもの、特にパーソナル用途でできあがったものを、いろいろな産業の中で応用していくチャンスがあるのではないか、わざわざ産業用のロボットとして開発されたものを使う必要性がない場合もあるのではないかと考えています。
何が違うかというと、産業用ロボットとパーソナルロボットでは価格の桁が違います。パーソナルロボットは個人が買える値段でしか設定されませんから。これからは、個人が買えるレベルのロボットをロジスティクスのどの業務プロセスで使えるのかといった議論もどんどん出てくると思います。それもこの1年くらいの時間軸でやってくるのではないでしょうか。

小野塚:ロボットに関して二つだけコメントを追加させていただきます。一つは、先ほど標準化しなければいけないといいましたが、ただ、ヨーロッパやアメリカをそっくり真似することはやめたほうがいいと思っています。なぜなら、真似をした瞬間に劣後するだけだからです。ですからAMRは大きなチャンスだと思っています。人間とロボットが協調する仕組みだからです。行き着く先は人間とロボットが相互に指示をし合うことです。ロボットが人間にあっちいけ、こっちいけという指示を出すと同時に、人間がロボットにあっちにいけ、こっちにいけという指示を出します。それによって相互に生産性が高まる状況をつくり上げることができるわけです。しかも柔軟に使えるので、日本にフィットするはずです。こういったロボットを日本でつくっている会社は残念ながら非常に限られています。協調し合えるロボットというものが、日本の競争力というものを考えると、むしろここを大きなターゲットにしていくことが一番大事だと思います。
もう一つは、人間の作業のコストの代替ということを考えると、ロボットは安くする以外にはありません。人件費時給1000円だとして、1人分の作業を代替できる場合、ランニングコストが1000円以下にならない限り誰もロボットを導入しないでしょう。ただし、それは運ぶという作業しか代替しなかった場合です。海外の例ですが、スターシップ・テクノロジーズという会社が、今、宅配ロボットをつくっています。ドミノピザと一緒に実験をしていて、すでに世界100都市でやっています。歩道を走ってピザを届けてくれるロボットです。日本ではZMPさんが六本木ヒルズで似たような実証実験をしています。このロボットも、ピザを運んでいるだけなら、ピザを配達する人の時給よりも安くならないと成立しません。しかし、このロボット上にセンサーが付いていて、情報を使って、街のセキュリティーに寄与できるとします。例えば犯罪者の情報を登録しておいて、何かあったらそのデータを使って見つけることができるなど、アドオンの価値ができるとしたらまったく違います。
ZARAが今店舗にロボットを入れて、スマート試着室というものをつくろうとしています。代わりに在庫の棚卸しをしてくれるので、店員さんの人件費の代替になったり、試着室なので、服を運ぶ店員さんの作業負担を軽減してくれるといわれています。ただ、それだけのためにやるのであれば、今は、そのコストは見合わないと思います。でも、このロボットが入ることで、ロボットが巡回する度にお客様の動きが全部わかります。スマート試着室では、タグが付いているのでどの服を着ていたかも全部わかります。そうすると、今まで知り得なかった、売れなかった商品の情報がわかるようになります。試着したけど売れなかった服は、おそらく着心地が悪かったか、着た後のスタイルが悪かったものです。手に取ったけど戻された商品は、置いてあるときは良い感じだったのに広げたら気に入らなかった。あるいは、その人は赤い服を着ていた、カップルできた、子ども連れだったということもわかります。そうすると、こういう商品はこういう服装の人に買われるのだということ、カップルはこういうものが好きなのだということもわかります。そうなれば、このロボットは、店員のコストより高くてもつくる価値があります。そういう作業の代替だけではない、人間と一緒に協調し合える世界を、日本ではぜひつくったほうがいいと思います。
また、物流のロボットが物流以外の価値を発揮できる、そんなロボットを考えられるのは、それこそ大和ハウス工業さんや、もしかしたら物流を専門としないメーカー、ベンチャーではないでしょうか。

出資によって育成する

秋葉:私は、コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)がひとつのポイントだと思っています。事業部門が直接投資をすると、今までとおりの考え方なので、それに対しての効果が出ているか出ていないかに常に追われます。投資でも当然それは見なければなりませんが、時間軸が少し違うと思います。CVCを起こすのは、事業部門の責任ではなく、目利きによって新しいことに対して投資をして、育てようとする。そこがセパレートされている、そこがポイントだと思っています。

小野塚:日本では、大和ハウスグループに入っていらっしゃるベンチャーも、そうではないベンチャーもそうですが、そういう会社がまさに大手の企業やファンドからの出資を得ながらビジネスを行っています。面白いと思うのは、そういうところに出資をしている会社は、この領域にチャレンジしたいと思っているエレクトロニクスメーカーやエスアイヤーです。そういった会社がVCをつくり、出資をどんどん始めています。

秋葉:なぜCVCというかたちを取るかというと、CVCが動かせるファンドとしての額を決められるからです。投資対象のビジネスをどうやって運用するかという視点で考えることができるのは、大きなポイントです。
大和ハウスグループにとっても同様なことがあります。グループ全体としても、食品やアパレルに関する物流業務をやっていたわけではありません。そこに対して、やっていなかったからこそ見えていること、やれることがあって、それをどうするか。現在の状況を何とかするために自分たちが持っている力をどうやって生かせるか、という話になってきているのだと思います。

世の中に貢献するために

小野塚:秋葉さんはそこでシェアリングという新しいビジネスモデルをやろうとされていますが、これはまさに大きなポイントであり、大きなチャンスだと思います。けっきょく、標準化、省人化が進むということは、装置産業化するということです。装置産業化するといったとき、もちろん自分で投資ができればいいのですが、できる人はごく一部です。投資できる人がきちんとプラットフォームをつくってそこにいろいろな人が入れるようになれば、投資をした人にとっても良い話ですし、使う人にとってもありがたい話です。
物流に関していうと、もともとは倉庫業の方が自分で倉庫を建てて自分で運営していましたが、そこにデベロッパーが現れ、倉庫を建てて、みんなで使ってくださいとなりました。それがさらに進んで証券化し、それによって投資もしやすくなり、使いやすくなりました。
それを建物以外、ロボットやトラック、機械や装置だけではなく、ビジネスモデルそのものをオープンプラットフォームとして、投資の土台としてつくって提供されているわけです。これは極めて大きなことです。大和ハウスグループさんのビジネスチャンスであると同時に、社会にとってもすごく価値があることです。

秋葉:私もまさにそう思います。大和ハウスグループだからできることがあるというのが大きなテーマです。「儲かるからではなく、世の中の役に立つからやる」という、創業者が語った言葉がありますが、まず健康に暮らし、安らかに眠る場所がほしいという社会のニーズに対して住宅を提供しました。さらに、働く場所においても、環境の良い場所で仕事をしたいというニーズに対して建物を建てる、あるいは土地を活用することによって、土地オーナー様も、それを利用する人にとっても豊かな暮らしができ、狭い日本の国土を有効に活用できるように、これまで様々なサービスやソリューションを提供してきました。
今、ものが届かないということが起こればそもそも生活が不便になり、社会が回らなくなるわけですから、物流、ロジスティクスという分野に対して大和ハウスグループがどのように貢献できるか、建物と建物の間に血液を流していくということがグループ全体としての役目だと考えると、次に何ができるかという発想なのです。

サプライチェーン・マネジメントの話題が出ると、部分最適ではなく全体最適だというところから必ず話が始まります。しかし、その全体最適について、本当に理解できている人はまだまだ少数です。本質的な全体最適を今こそ問うべきではないかと思います。
これからは、大和ハウスグループの一翼としてサプライチェーンの領域にいかに入っていくのかという話だと思っています。直接オペレートするという話ではないのですが、プラットフォームをつくり得る企業なのだとは思います。それが大和ハウスグループのお客様、そして社会に対しての貢献にもなるのだと思っています。

小野塚:秋葉さんがチャレンジされている、物流におけるプラットフォームづくりへのチャレンジは、日本屈指というよりも、唯一といえるものではないかと思います。アッカ・インターナショナルの加藤社長に初めてお会いしたときに、良い会社だと思ったのですが、その1ヶ月後くらいにはもう大和ハウスグループの一員でした。失礼ないい方をさせていただくと、目の付け所が素晴らしく、かつ手が早い(笑)。日本の大手で、ここまで機動的に出資ができて、なおかつ事業体として取りまとめられている会社はほとんどないと思います。このプラットフォームが、もちろん大和ハウス工業さんのビジネスになることに加え、社会にとっても役に立つオープンなプラットフォームとして成り立ち、参加される皆さんがきちんと利益を生み出せるようなインフラになっていくことが大事だと思います。

秋葉:そうなるためには、やはり「世の中の役に立つ」ことだと思います。そこに立ち戻らないといけません。このタイミングを生かさないと、業界の人たちの事業構造、下働き事業構造を変えられないと思っています。

小野塚:インフラの整備の仕方には、2種類あると思っています。物流というものを面で捉えたとき、トラックのマッチングもそうだと思いますが、特定のプロセスを切り取って、みんなに提供できるプラットフォームをつくることは一つの考え方です。例えば、倉庫の稼働の状況は、不動産仲介業者にお願いするか、自分で調べるほかありません。これをみんながリアルタイムでわかるようになったらすごく便利になります。トラックも同じです。トラックの空き稼働、どこを走っているかが全部わかって、みんなが共用できるようになれば、今、トラックの積載率は40%しかないのですから、トラックの必要台数は半分になります。船や鉄道や飛行機もそうです。
もう一つ、点と点をつなぐとき、上流から下流までつなぎます。ユニクロさんは自分でそれをやっているわけですが、逆にいうと食品業界ではほとんどできていません。上流から下流までつなげられるようになれば、あるいは、自分はつながっていないけれど誰かが情報を共有してくれる仕組みができたら、無駄にものをつくらないで済みます。これが食品であれば、今社会的な問題になっている食品廃棄ロスといった問題への社会貢献にもつながります。
点と点のつなぎ方にもいろいろあります。これはクロスしています。上から下に垂直につなぐもの、水平でつなぐものがクロスしたとき、それをどうやってオープンな仕組みにしていくのかということだと思います。

秋葉:現在は、プロセスをどうするかという、縦の課題のほうが多いかもしれません。あるプロセスのところをどうするか、それに対してプラットフォームで解決できないかという課題です。それらをつなぎ合わせることが、大和ハウスグループとしてできることではないかと思っています。これだけいろいろな事業をやっていますから、これをグループ全体でどうやって次に生かすか、データ化、デジタル化された情報をどう生かすか、やはりそこがポイントだと思います。

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土地活用ラボ for Biz アナリスト

秋葉 淳一(あきば じゅんいち)

株式会社フレームワークス代表取締役社長。1987年4月大手鉄鋼メーカー系のゼネコンに入社。制御用コンピュータ開発と生産管理システムの構築に携わる。
その後、多くの企業のサプライチェーンマネジメントシステム(SCM)の構築とそれに伴うビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)のコンサルティングに従事。
2005年8月株式会社フレームワークスに入社、SCM・ロジスティクスコンサルタントとしてロジスティクスの構築や改革、および倉庫管理システム(WMS)の導入をサポートしている。

単に言葉の定義ではない、企業に応じたオムニチャネルを実現するために奔走中。

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