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コラム No.27-34

サプライチェーン

秋葉淳一のトークセッション 第2回 自動化、デジタル化の本質株式会社フレームワークス 代表取締役社長 秋葉淳一 × 株式会社アッカ・インターナショナル代表取締役社長 加藤大和

公開日:2019/02/28

株式会社アッカ・インターナショナルが大和ハウスグループの傘下となって約1年。大きな変革が起きている物流業界の中で、今何が起きていて、何が必要なのか。これからの物流の在り方を語っていただきました。

ロジスティクスの自動化はどこまで進んだか

秋葉:アッカ・インターナショナルでは、オペレーションの立場で大規模なロボットの導入を進められ、大きな成果を生み出しました。これまでにない様々な新たな課題や解決しなければならないことがわかった1年だと思います。

加藤:1年前にロボットを入れて、テストをして、ある程度いけるという感覚を得て、それが今は300台規模になりました。ところが、300台を動かすのと30台を動かすのでは、全然違うハードルがありました。業務のオペレーションの中でもそうですし、規模の経済も加速し、収支にも顕著に現れ始めています。大規模になればなるほど効果が出てくることもわかりました。最初はやっぱりバタバタしました。いろいろとわからない部分もあったり、間違えて使ってしまったり、そういうことも含めて、悪い面と良い面を両方経験できました。

秋葉:自動化にはいくつかのポイントがありますが、今年1年で見ると、棚搬送でもそうですし、MR型、AGVでもそうですが、一通りのものが出そろってきて、価格の話になってきています。まったく新しい技術が出てこない限り、各社のロボットの性能が大きく違うかというと、それほど違いはないと思いますから、あとは価格勝負になってきました。ということは、来年から再来年、おそらく3PLの企業をはじめ、様々な企業が自動化への取り組みも始めるのではないでしょうか。

加藤:私たちが自動化の取り組みを行ったのは、ピッキング、入荷、棚入れのところです。あとは、RFIDを使った入荷も今スタートしています。今までは人の手でひとつずつやって、1時間あたり150~200くらいしか処理できなかったものが、今では、1時間当たり3000くらい処理ができるようになりました。ただ、そこの部分だけ最適化しても全体としてはあまり意味がありませんので、そこから他のパートと連携していく手法やシステムを創り上げていかなければなりませんでした。クライアントと一緒にやったり社内でテストしたりして、それがどんどん自分たちのノウハウになってきました。今では、新しいセンターを作るとなると、最初から、どういうかたちでどの程度やっていけばいいかということが設計段階でわかります。ですから、ロボティクスにしても自動化にしても、うまく使えるようになってきましたね。

秋葉:自動化といっても、すべて自動化する必要はありませんし、またできません。たとえば、物流のフェーズでいうと、返品されてきたものを再販可能にする、お直しするなど、そこだけは当面人間がやるしかないのではないでしょうか。また、箱詰めにおいても、ぴったり綺麗に箱に入れるような、学生服が典型的なのですが、箱の中に綺麗に入れることをロボットでやっていたら、さすがに生産性が合わないでしょう。できるものとできないものがあるという分け方をきちんとしたうえで、できるものはロボットで全部やってしまえばいいと思います。
ただし、真贋チェックはロボットではどうしようもないという話がある一方で、返品で来たものをすべて人間が処理しなければいけないのか、ということにも取り組む必要があります。そうしたことを含めて、数字を見てセンター長が判断するポイントをきちんと整理する、エリアマネージャーは何を見て判断すればいいのかなど、自動化を進めていくには、いろいろなことがあると思います。

加藤:ロボットといっても万能ではなく、使い方を間違えると諸刃になります。例えば、充填率というロボットの棚の中にどれくらい入っているかを示す指数があります。適正な充填率が70%だったとすると、70%を超えた瞬間に、ロボットによる生産性は人が手でやるよりも悪くなっていくのです。これはわかりやすい例ですが、そういったルールがたくさんあります。運用に合わせてルールを作って、現場がそれにちゃんと従えるようにやっていかないと、逆にロボットが足かせになっていきます。間違った使い方をすると、とんでもない悪の鉄の塊になってしまいます。

秋葉:そこがやっぱりロボットですよね。指示されたことしかしない、決まったことしかしないのがロボットなので、それをどう使うかは人間が考えないといけません。

自ら結果を出しているから、お客様に自信を持って提供することができる

秋葉:人間がする最大のことは、ロボットをいかに使いこなすかということ、それと、ロボットにさせることは何かをきちんと決めることです。

加藤:きちんと使いこなすには、失敗することも大事です。失敗しないとわからないですから。

秋葉:その試行錯誤を私たちがこのタイミングで行っているのが強みだと思っています。自動化をいち早く導入された荷主さんには、ノウハウが貯まっています。ただ、それを導入できている荷主さんは、それなりの規模の荷主さんしかいません。
荷主ではなく、アッカ・インターナショナルがロボットを300台導入し、これだけの結果を出してきた。そこがポイントです。自らやって事業化できているから、全体としてのサービスが提供できるわけです。私たちはロボットメーカーではないので、ロボットを使えますというだけではだめで、実際に使って効果を出すというところまでいかなくてはなりません。

加藤:最初は苦労がありましたが、今では経済的にも明らかに結果を出しています。

秋葉:確かに、最初はバタバタしたことも多くありました。初めて起こる課題がたくさんありましたから。しかし、落ち着き始めてからの効果の出方のスピードがまったく違います。人間のオペレーションだと、何人かのレベルが上がらないといけないので、生産性はゆっくりしか上がりません。ロボットだと使い方が綺麗になった瞬間に一気に上がります。すごい角度です。それからは周りが見る目が全然違いました。

加藤:痛い目に遭いながら理解しました。これで大丈夫か?というところから、様々な課題を改善した瞬間にロボットによる生産性が上がり、一気に黒字になりました。先ほど申し上げた充填率に関しては、荷主様の入荷量が非常に大きなキーになっており、この調整が安定稼働に必要だと痛感しました。自分たちで試行錯誤して編み出した技もあります。この1年でかなりパワーアップしたといえるのではないでしょうか。

秋葉:ロボットを導入するにあたって、入荷量を適切にコントロールすること、つまり計画精度は本当に大切です。実はみんなわかっているんです。押し入れにどんどん布団を押し込めたら布団を出すときに大変だと、実はみんな経験しているはずなのに、まだ入るだろうとか、送られてくるのだから仕方がないといいながら、押し入れの中にモノを入れ続け、パンパンになってしまっています。

加藤:また、自動化によって生産性を上げるには、ロボットを8割以上使った現場にしないと、びっくりするような生産性は出ません。つまり、本当のコアバリューを見失うくらい、ロボットというのは恐ろしい武器なわけです。ロボットをうまく動かすには、もう一度全体を見つめ直して、整理し直して、広げるなら広げる、狭めるなら狭める、そしてきちんと稼働させることです。それをした結果一気に伸びました。

デジタルはコピーできる

秋葉: Hacobu社主催のシンポジウム「MOVOFORESIGHT2018」でお話ししたことですが、なぜロボットにしたほうがいいか、なぜデジタル化したほうがいいか、いろいろな提案はあるのですが、もっとも大きなポイントはコピーできることなんです。その成功した経験をいきなりコピーできることです。アッカ・インターナショナルが、これまでは苦労したかもしれませんが、作り上げてきたノウハウ、できあがったオペレーションシステムは、次のところに持っていってもそれができるということです。それがすごく大きいポイントです。

加藤:人はコピーできませんし、無理です。また、そのコピーしたレベルは後退しないですからね。一度作ったところまでは、次にも必ずそこからスタートになりますから、そこ以下になることはありません。

秋葉:属人ではありませんから、人が変わっても問題ありません。そこも見据えて、成長したいのであれば、そこにある程度のお金を使うのは当然だと思います。 これもずっと提案し続けていますが、私たちはサービスプロバイダーなので、私たちだけが直接作業する部分があると、必ずここがボトルネックになります。そうではなくて、私たちが経験したこと、サービスを使ってもらいたいのです。 そもそもサービスプロバイダーという言葉自体は、システム業界の中で使われてきました。ソリューションプロバイダーといわれていたものが、クラウド環境等が出てきてサービスという表現になり、それをプロバイドするというかたちになってきています。それを物流業界の中で同じような構造で適用すると、建物、ロボット、マテハン、それらを制御するシステム、アッカ・インターナショナルでいえば「アリス」(在庫データ連携システム)のように売上に貢献するような仕組みも含めて準備して、それを提供していくということなのだと思います。

すべての方に使っていただき、一緒にロジスティクスのバリューを上げていきたい

秋葉:サービスプロバイダーを標榜しながら、なぜ私たち自らオペレーションをしているのかというと、ロジスティクスでは、ロボットも使う、マテハンも使う、人も使う。あるいは、どれだけ効率的に、負荷なく人に仕事をしてもらうかということを含めて考えていかなければならないからです。 お客様にとって最大化できるセンターとはどうあるべきかを含めて、全体として提供する。つまり、建物のプロバイダー、マテハンのプロバーダーということではなく、ロジスティクスの仕組み全体をサービスと捉えて提供するということなのです。お客様に提供するものが大きくなればなるほど、お客様が決断するハードルも非常に高くなります。しかし、そこまでやらないと効果がありません。ですから、自らがそこを示すことが大事です。アッカ・インターナショナルもダイワロジテックもフレームワークスも、それを実行しています。ですから、こういう仕組みは、荷主だけではなく、3PLの会社にも使ってほしいのです。私たちが結果を出した仕組みを共有させてほしいと思っています。 荷主の方や3PLの方が、このマテハン機器を使いたい、このロボットを使うにはどうすればいいか、ということでもまったく構いません。どこをどう活用していただいてもいいわけです。 3PLの企業が見ている将来と私たちが目指しているところはほとんど同じだと思います。その目指すべきところに一緒に向かうのは当然のことですし、スピード感は多少違ったとしても、一緒にレベルを上げていきたいと思っています。

それは、物流センターの価値という観点からも同様です。様々なプレイヤーに活用いただくことで、建物も含めて、こうあったほうがいいということがフィードバックされます。そうすると、フィードバックされた結果として荷主に最適な建物や立地の提案ができるようになりますし、建物とロジスティクス戦略の組み合わせが最適化すれば、建物(センター)の価値を上げることになります。

多くの物流の現場では、まだまだ人海戦術です。では、もう人海戦術ではやりきれなくなってきたとき、どんなやり方があるでしょうか。ロジスティクスの全体の仕組みを変革していくしかありません。まだ、未開拓な分野であり、どれだけの投資まで大丈夫なのかという正解は誰もわかりません。ですから、私たちが先行し、研究開発を続けているのです。 業界全体の役に立つように研究開発をしていきたいと思っています。一緒にロジスティクスのバリューを上げていくということです。 その結果、お客様にとって、あるセンターに荷物を預けると間違いなく荷物が届く、それも効率化された価格できちんと届くという基本を適切に提供することができるわけです。

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土地活用ラボ for Biz アナリスト

秋葉 淳一(あきば じゅんいち)

株式会社フレームワークス代表取締役社長。1987年4月大手鉄鋼メーカー系のゼネコンに入社。制御用コンピュータ開発と生産管理システムの構築に携わる。
その後、多くの企業のサプライチェーンマネジメントシステム(SCM)の構築とそれに伴うビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)のコンサルティングに従事。
2005年8月株式会社フレームワークスに入社、SCM・ロジスティクスコンサルタントとしてロジスティクスの構築や改革、および倉庫管理システム(WMS)の導入をサポートしている。

単に言葉の定義ではない、企業に応じたオムニチャネルを実現するために奔走中。

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