大和ハウス工業株式会社

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土地活用ラボ for Biz

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コラム No.27-68

サプライチェーン

秋葉淳一のトークセッション 第3回 オープンマインドが柔軟な物流をつくり出す株式会社フレームワークス 代表取締役社長 秋葉淳一 × セイノーホールディングス株式会社 執行役員 河合秀治

公開日:2022/01/21

対話を重ね、ひとつずつ課題を解決していく

秋葉:今回の小菅村での取り組みを始めた頃に、エアロネクストさんと河合さんと私で話をしました。そのとき、災害時、トラックヘッドからドローンを飛ばして、災害状況を撮影するという話がありましたよね。あれはどうなりましたか。

河合:今でも検討しています。これまでで学んだのは、今日も機体を二つ見ていただきましたが、ドローンの機体の機能はさまざまだということです。われわれが開発しているような、ものを運ぶための物流専用機は、重心をいかに真ん中にして効率よく飛べるかを考えています。一方、災害対応のドローンは、汎用機のドローンで十分です。飛び立つところだけ準備できていれば、普通に活用できてしまいます。ただ、トラックのウイングが開いて、物流専用機が一気に飛んでいったらかっこいいですよね。先々できるようになると思いますが、それには、50機、100機を同時にオペレーションできる状態に持っていく必要があります。

秋葉:そうなると、またいろいろな法規制の問題がありそうです。

河合:現状の法律では難しいことがたくさんあります。しかし、現状の法規制に対してできないことばかりを言うのではなく、規制をつくっている方たちと一緒に対話をすることが大切です。実は、内閣府や国土交通省、経済産業省の方々にも小菅村に来ていただきました。こういうときに何を直せばいいのか、どのような改善策がふさわしいのか、自由にディスカッションできるようになってきていると感じていますし、今までとは全然違う考え方になってきていると思います。ただ、発展している国であるだけに、一定のルールは必要です。それを守りたい人も守らせたい人もいるので、ディスラプト(これまでのルールを一変させるような動き、再編)の仕方をうまく考えなければなりません。諸外国のように何でもかんでも壊せばいいかというと、日本的には違うような気がします。

秋葉:そもそも、規制は何かを邪魔するためにあるわけではありません。例えば、安全、品質といったものを担保するためにつくられたルールなわけです。そうはいっても、一方で技術が進化し、人々の生活の仕方も変わってきた中で、前に決めたルールがそのままでいいのかという議論は必要です。

河合:物流も倉庫もそうですが、もともと決めたルールが古いのです。現代に合っていないことを分かっていながらもそのまま踏襲してしまっているので、少しずつ変えていくべきなのでしょうね。

秋葉:大和ハウス工業の建築事業本部の中に、物流DX推進室という組織を2021年7月1日付でつくったのですが、今日はそのメンバーも連れてきました。その中に女性が2人いるのですが、2人とも自ら手を挙げてくれました。

河合:いいですね。ダイバーシティとはいっても、今まで物流は圧倒的に男社会でした。セイノーHDでも、ドライバーは95%が男性です。そうなると、やはり今の世の中に合わない発想や考え方になってしまうことがあります。実は、先ほど、うちのスタッフとも話していたんです。「あのチームって2人も女性がいるの?」と。女性が2人いることですごく柔軟に物事を考えることができますよね。
私のラストワンマイルのチームも、今、20人中2人が女性です。ところが、荷物を受け取るほうは当然ながら半分以上が女性です。そう考えると、半分くらい女性のいるチームにするのが自然です。本人たちが受け取り者なので、やはりラストワンマイルに対する考え方も全然違うわけです。 これは女性に限った話ではなく、年齢やライフスタイルによっても異なります。ものを届けることだけを考えれば、「効率的に送り込んで配達を終わらせればいい」という考えになるのですが、別の立場に立てば、また違う意見がたくさんあるのではないかと思います。2時間の配送枠の時間設定も、ある視点から見れば、長すぎるでしょうし、届ける側からすると、24時間のうちの2時間で届けるのは、相当時間に縛られて大変だという感覚になるのだと思います。
ある若手のビジネスパーソンの方は、土日は不在届が入っていた宅配便を受け取る日で、ずっと待っていなければならないから大変だと言っていました。
また、宅配ボックスの数が足りないと怒られることもあります。1人が取り出さずに3つも4つもためてしまい、いつまでたっても出さないと、数が足りなくなってしまうのです。それで今、スマートロックの会社とその辺りの対策を考えたりしています。
ラストワンマイルには、働き手と不在という二つの課題がありますが、そういった課題が徐々に浸透し、世の中全体の動きとして改善していくといいですね。オートロックも、運送業者が「ひらけごま」で開けることができれば、玄関前まで行って置くことができます。いつ行っても「ひらけごま」で開いてしまったら非常に危険ですが、ワンタイムのみのカギがあればいいですよね。セイノーの河合が来たら5分だけカギが開くということができれれば、全く問題ないでしょう。

秋葉:共用部分は防犯カメラを設置して、セキュリティ対策をしていますしね。

河合:消防法の解釈について、今までは廊下にものを置けないと考えられていたものが、宅配便の一時置きは法的問題とならないと見解が述べられたのも大きいですね。そうなると、人がやらなくてもAGV(無人配送車)でやったらいいのではないかなど、一気に改善策が進展していきます。そういったことを積み上げていくしかありません。私たちはよく「いろいろなことをやっているね」と言われるのですが、それは褒め言葉だと思っています。おかげさまで、物流で何か問題があると、いろいろな方から連絡をいただけるようにもなってきました。この課題を1個1個潰していくと、ビジネスのネタになるケースもあります。今までは諦めるか他社にいくかでした。とはいえ、全部が全部当社ではなくて、同業他社さんを紹介することもあります。自分たちだけでできることは限られていますから。

秋葉:それも含めて、新しい市場を創ることも私たちの活動です。

河合:新たに何かをやるのではなく、単純に今まであったものを組み合わせるだけです。シームレスに情報をつなげて、普通に荷物を届けられるようにするだけ。プレーヤーがそれぞれ、長距離と中距離とラストワンマイルで違うだけで、ただ荷物のやり取りをきちんとできるようにすればいいのです。それだけで変わります。

物流の幅を広げ、サプライチェーンを効率化する

秋葉:私たちから見れば物流領域の作業でも、物流に関わらない人たちが、作業の一つとして物流業務を行っているケースもあります。そこにも非効率なことがあって、物流の作業はまとめて行ったほうが効率的です。物流領域だと思われていないことも、私たちが知らしめていく、知ってもらう努力をしなければならないと思っています。

河合:大和ハウスグループもそうだと思いますが、メーカーさんがもともとやっている組み立て、清掃、チェックといった作業を物流でも請け負うようになってきました。かつて、「物流の会社にそんなことをやらせたら、文句は言うし、まともにやるかわからない」と言われたこともありましたが、今は任せたほうが効率的だという声も聞きます。2019年にレタス工場をつくった頃から、ビジネスに対する考え方が変わってきました。たまたまレタスは上流工程のつくるところからいきやすかったこともあり、私はよく製造物流だと言ってきました。全部製造する必要はないと思いますが、ビジネス領域の境目を今までより幅広にずらす、多少無理してでもずらしていくと、誰かの効率化につながるはずで、サプライチェーン全体としても間違いなく効率化されます。私たちの話の仕方、実事例が足りないのだと思いますが、そんなことを言ってもできないのではないかとか、断られるのではないかとか、べらぼうに高い値段を言われるのではないかとか、そういった勘違いもあります。物流業界側のマインドとして、そこまでオープンに受け取れる人が少ないということもあります。ですから、業界内をもっとオープンマインドにさせなければいけないし、荷主さん側ももっと幅広く、いろいろな要望を言ってくれると、意外と実現できることがあると思います。

秋葉:小菅村のバスとトラックの話がそうだったように、違う業界の方に話をしてみたら解決することもたくさんあるかもしれませんね。

河合:物流は、今まで受け身が癖になってしまっているところがありました。要件定義をして、それに合わせた物流設計をおいくらで提案します、というのもいいのですが、もう少しアレンジして提案できるようになると柔軟な物流が出てくる気がします。

秋葉:これからが非常に楽しみです。

河合:どんどんチャレンジしていきます。コロナ禍前は、業界の仲間を居酒屋に呼んで、こういう話をよくしていました。私はキーマンと情報共有をするのが重要だと思っています。ああでもない、こうでもないと皆にプロセスを話しながら、自分のところのソリューションで乗れる人は乗ってくれればいい、という場づくりをやってきました。でも、今はそれがやりづらくなっていて、オンラインでやるしかないのですが、こういうことをオープンに話せる場をつくれたらいいですよね。それは秋葉さんのお仕事だと、私は思っています。私たちの年代からすると、秋葉さんは少しお兄さんで、若手が皆ついていっています。集めて野に放つような、鵜匠が鵜を離して、良い鮎を持って帰ってくるかどうか見てもらう役目をしてほしいですね(笑)。
そういう方があまりいないのです。トラックはトラックで強い方がいて、倉庫は倉庫、システム関連など、それぞれの専門家はいるのですが、全体を仲良くさせるような方がいません。秋葉さんが「考えるぞ」と言えば皆が集まってきます。業界のバージョンアップのためにはそういったことをやらなければいけないと思いますし、物流に興味を持つ若い子たちを増やしていくためにも情報発信をしなければなりません。先ほど見ていただいたドローンのフライトも、高校生くらいの人たちも見ていました。そういうことでもフックしている可能性があります。40~50人見ていたうちの1人でもドローンに興味を持って、その方向に進んできてくれたら嬉しいですよね。

秋葉:優秀な若い人は本当にたくさんいますし、水たまりをつくっている人もたくさんいます。私もそうした水たまりを大事にしながら、少しずつでも、影響を与えられる範囲を広げていけたらいいですね。
河合さんには、これからのイノベーションにつながる水たまり100個を一つずつ見せていただきたいところですが、大きくなる水たまりもあれば、乾いてしまう水たまりもあると思います。水たまりを残しておく判断基準は河合さんの中にありますか。

河合:やはり、まずは一人の要望に応えられているか、喜んでもらっているかが重要です。株式会社でやっている以上、当然、利益が出る出ないの話はあるのですが、たった一人であっても、「これがないと私たちは生活ができない」と言われれば、無理をしてでも残さなければならないと思います。

秋葉:どうすればその事業自体をやれるかですね。

河合:そこでは、私たちが必ずしもプレーヤーである必要はないと思います。先々、都会から連れてきた人を同じ給料で働かせようとしても、合わない可能性があります。すべてを自分たちがプレーヤーとしてやるのではなく、ノウハウをためて、きちんと残していけるようなものになっていけばいいような気がします。それが利益につながれば最高ですけどね。

秋葉:結局そこが大事ですよね。新しいことをやったとき、すべてがマネタイズできるとは限りません。

河合:どこまでマネタイズできるかは重要なことではあります。次の再投資のためでもあり、継続性の担保という面もあります。

秋葉:マネタイズできないという結論が出たとしても、そこまでの過程で経験したこと、そこで広がった仲間の輪は消えません。それは会社としてもそうですし、若い人たち個人もそうです。続けることによってたくさんの輪が出来上がること自体が、すごく価値のあることです。

河合:確かにそうです。秋葉さんには業界のお兄さん、棟梁として、いろいろな技術者を引っ張って、談義させて、考えるように諭す役割を担っていただきたいですね。そういう方はいるようでいないので、ぜひお願いします。

秋葉:河合さんとはお互いに、お願いして学校で話をしてもらったりしています。少しずつ皆に河合さんの新たな取り組みを知ってもらいたいですね。河合さんのラストワンマイルチームと物流DX推進室とで何かできたら面白いと思います。組織をつくった意味を考えていかなければなりません。

河合:象徴的なものにうまく使っていただけるとありがたいです。私は仲間集めだと思っています。スタンドをつくって、ドローンを飛ばして、荷物を運ぶということは、1社ではなかなかできません。餅は餅屋です。皆で力を合わせてやることが重要なのだと思います。

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土地活用ラボ for Biz アナリスト

秋葉 淳一(あきば じゅんいち)

株式会社フレームワークス代表取締役社長。1987年4月大手鉄鋼メーカー系のゼネコンに入社。制御用コンピュータ開発と生産管理システムの構築に携わる。
その後、多くの企業のサプライチェーンマネジメントシステム(SCM)の構築とそれに伴うビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)のコンサルティングに従事。
2005年8月株式会社フレームワークスに入社、SCM・ロジスティクスコンサルタントとしてロジスティクスの構築や改革、および倉庫管理システム(WMS)の導入をサポートしている。

単に言葉の定義ではない、企業に応じたオムニチャネルを実現するために奔走中。

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