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コラム No.27-51

サプライチェーン

秋葉淳一のトークセッション 第1回 LOGISTEEDで物流の新領域へ株式会社フレームワークス 代表取締役社長 秋葉淳一 × 株式会社 日立物流 執行役専務 佐藤清輝

公開日:2020/07/30

物流領域をずらし、新領域をひらく

秋葉:1950年の創業後、3PL(サードパーティロジスティクス:物流業務を包括的に受託運営)という新たな分野を開拓され、国内3PL事業のリーディングカンパニーとして、まさに物流業界をけん引されている日立物流さんですが、ビジネスコンセプトである、「LOGISTEED」についてお話しいただけますか。

佐藤:LOGISTEEDとは、LOGISTICSと、Exceed、Proceed、Succeed、そしてSpeedを融合した言葉で、ロジスティクスを超えてビジネスを新しい領域に導いていくという意思を表しているコンセプトです。日立物流グループでは、2011年から「スマートロジスティクス」として物流の近代化、とくに物流センターの中の近代化を意識して注力してきましたが、今、IoT、AIの時代に入り、物流がより広範囲になってきています。当社グループは物流事業者なので、現場を持ちつつ、DX(デジタルトランスフォーメーション)というところに大いに注力していかなければいけません。
そこで物流領域を超えていくため、LOGISTEEDで「4流(金流・商流・情流・物流)を束ねる」ことに取り組んでいます。 もともとは物流と、情流によってビジネスを拡大してきました。1985年の通信自由化により、HB-TRINET(トライネット)という情報・保管・輸配送の物流トータルサービスが始まり、今はそこに金流や商流を含めて「4流を束ねていく」という取り組みをしつつ、新しい価値を創り出すことを目指しています。その価値を創っていくうえで必要になるのが、DXなのです。それもただのデジタルではなく、実業を行いながら、「現場力」×「見える化」というかたちで進めています。

秋葉:その結果、ビジネスの領域も広がり、新しい事業も次々に生まれています。

佐藤:LOGISTEEDでは、物流領域を超えていくためにさまざまな取り組みを行っています。「超える」というと語弊があるのですが、要するに、物流領域を「ずらしていく」ということです。この「ずらす」という中で、4流を束ねる行為が行われています。物流領域を大きく飛び越していこうとすると失敗するので、あくまでも物流領域に片足を置きながらずれていくことで、結果的には領域が「広がる」ことになります。ずれていったとき、そこに「協創」パートナーがいたり、あるいは従来のビジネス領域の中でお客様と一緒に作ったものが、たまたまずれた結果になるものもあります。例えば、日立物流グループのソリューションビジネスは今では売上100億円規模になっていますが、ずれた結果の代物です。約二十年前に始めて、結果的にはそれなりの事業になってきました。
この事業がさらにSSCV(「Smart & Safety Connected Vehicle」の略であり、事故ゼロ社会の実現をめざす「SSCV-Safety」、輸送業界全体の効率化をめざす「SSCV-Smart」、整備作業の効率化、コスト削減をめざす「SSCV-Vehicle」の3つのソリューションで構成された輸送デジタルプラットフォーム)へとつながっています。SSCVの機器のインストールやセッティングは自分たちで内製化しているのです。

秋葉:「ずらしていく」という中で考えると、お客様や取引先との関係のあり方が昔とは大きく変わっていますね。

佐藤:いわゆるモノを運ぶ物流会社ということではなく、ビジネスパートナーとして一緒に仕事をする場面が増えました。日立グループとのビジネスでは後者のほうが多いですね。従来通り大切なお客様ではあるけれども、一緒にビジネスを作っているという場面が非常に増えています。秋葉さんともぜひそのような関係でやらせていただければと思っています。

秋葉:ありがとうございます。大和ハウスグループとしても、日立物流さんは大事なお客様です。建築領域での関係もありますが、物流でも新たに何かご一緒にできたらと思っています。

佐藤:秋葉さんは「自動化、省力化」×「シェアリング」ということをずっとおっしゃってきました。私も賛成です。大和ハウスさんは物流不動産など大規模にやられていて、物流領域強化のためにM&Aを行われてきました。一方、日立物流グループは物流事業者としてさまざまな領域にずれながら取り組んでいます。新しいバリューを作るためにはそれをせざるを得ない、そうでないとお客様が納得してくださらない、という世界です。ですから、入口は違うのですが、行き先は同じ方向に向いていると思います。

アフターコロナにおける物流のあり方とは

秋葉:このコロナ禍において、物流センターの中での働き方も相当変わってくると思います。どうお考えですか。

佐藤:非接触ということがよく言われますが、自動化が進むということは非接触の領域が増えることになりますので、自然とそうなっていくでしょう。ただし、厳密にサプライチェーンの非接触がどこまでできているかというと、全然できていないのが現状です。今回の新型コロナウイルス感染症によって、私は冷蔵庫に入れるドリンク系は全部拭いて入れるようになりました。家に通販で届いた箱であればメーカーからきて開けていないから安心ですが、店頭に陳列してあるドリンクに対しては不安なので拭くようになりました。今後、サプライチェーン上において、非接触というテーマにフォーカスせざるを得ないと思います。これまでBCPと言えば、地震などの自然災害への対策のことでしたが、ウイルス対策もBCPのひとつになります。

秋葉:新型コロナウイルスという一つのウイルスだけでなく、感染症に対する意識が、今回のことでガラッと変わってしまったのだと思います。現実に起きたときにこんなことになるのだ、ということがわかったわけです。それに対して、きちんと管理されているかどうかが、消費者のニーズとして出てくるでしょう。レイアウトについてもそうです。日立物流さんが今描かれている絵では、センター内で密になっている場所はありません。しかし、現実のセンターは密になっているところがものすごく多いです。なおかつ、作業プロセスを跨いで人が交流、接触することになるので、感染者が何人か出てしまうとセンター全体を止めなければなりません。そうなると消毒が終わるまで何もできません。そもそも消毒液を撒かれたら荷物はどうなるのでしょうか。そういったことを考えると、レイアウトのあり方を含め、ある業務プロセスが固まっているのは仕方ないにしても、その人たちが他の業務プロセスの人たちと混じらないためにはどうするのかなど、いろいろなことを考えていかないといけません。紙によるセンター内の運用を減らすことだけでもだいぶ違うでしょう。

佐藤:省エネ、CO2削減ということを考えると、重力を上手に使うことが大事です。しかし、徹底的に重力を使うことを考えてレイアウトを作っているかというと、まだまだです。重力にはコストはかからないのですから、上手に使うべきです。何でも駆動コンベアで回さない、ということです。ある程度の重量のものであれば、傾斜で自然と落ちていきます。水車の原理も同じです。

秋葉:それでまた電力を生み出すことができますよね。そういった話とデジタルが組み合わさると、大きな効果が生まれそうです。

佐藤:そうなのです。そこが、次にわれわれが目指すところなのではないかと思っています。

秋葉:新型コロナウイルス感染症によって、今回これほど大きな影響がありました。今までも地震などの災害が起こると、残念ながら、瞬間的に必ず物流が脚光を浴びて、喉元過ぎるとまた忘れられてきました。これほど全体に影響が起こったことをどう捉えるかということもありますが、日本全体でものが届かない、買えるところにものがないということが起こったとき、そもそも産業以前に生活が脅かされるということを、今回改めてみんなが気づいたのではないかと思うのです。しかし、そういうことが起こったときにどうしたらいいかはまだ考えられていないですし、想定もまだできていないような気がします。そのときにデータがデジタル化されていれば、シミュレーション等ができるわけです。ところが現実が把握できていないので、シミュレーションどころではないというのが今の現実なのだと思います。

佐藤:あとは、他社さんの倉庫に何があるかがわからない、というところですね。今のレベルだと1拠点内のフロアごとのロケーション管理は当然やりますが、要するに、日本列島を意識したロケーション管理をしているのかということです。1拠点、アットヒアであって、自社内でさえまだできていません。それがいかに重要なのか、今回のことでよくわかりました。
そこでまたシェアリングということになります。そういう意味でのシェアリングはきちんとやっておくべきではないでしょうか。これは物流業だけではできないことで、中間流通業さんにも入ってもらわないとできません。

秋葉:今までのBCPの概念では「箇所」でしたし、基本的には「自分たちで」という話でした。自治体でも「自分のところ」という話になりがちです。

佐藤:そこをやっていくために誰が音頭を取るかですね。効率追求だけではなく、BCPのデータ共有は絶対に必要なことです。

秋葉:例えば、災害が起こったときに支援に行くNPOの方々がいます。災害支援物資をいろいろな会社が用意してくれて、それぞれのNPOが保管します。しかし、災害時は普通の商品管理とは異なるのです。ラップのメーカーがどこなのかは実はどうでもいいことで、サイズがどれくらいかが問題なのです。紙皿も大きさであって、どこのメーカーなのかはどうでもいい。その管理をどうするのか。自分のところでその管理ができているかということもあるし、災害場所に行って、他のNPOに自分のところにない物資を「ありますか」と聞かれてもわからないということが起こっています。さらに大きな問題が今回はっきりしたのだと思っています。今までは、局所的に起こった災害でも、「何が足りないのか?どうするのか?」ということが起こっていました。それがもっと広い範囲で起きていると思うので、皆さんが明確に気づいているうちに何か手を打ちたいですね。

佐藤:中間流通業さんの存在が再認識されたのではないでしょうか。過去の物流業の会社間は、決して強い協力関係があったわけではありませんでした。自分たちが食べるので精いっぱいなのです。なぜかというと、安いからです。他に回している余裕などないわけです、日本の稼働積載率は40%ですから。そもそも物流にたくさん払いたい荷主さんもいません。

秋葉:いつまで経ってもコストと言われますからね。

佐藤:そういう状況だったからこそ、付加価値を付ける努力をして、物流を一つのきちんとした産業に育て上げながら、次世代のロジスティクスを目指していかないといけません。そうでないと、BCP対策にも取り組むこともできません。

秋葉:それが最初におっしゃっていた「ずらす」ということなのですね。先ほどシェアリングの話もしていただきました。シェアリングという言葉を使うのか、協働という言葉を使うのかということはありますが、経済産業省も含めてそこの話が出ています。国の予算が欲しいということではないのですが、ここまでくると、業界を跨いでいろいろな方々がやらないとできないことがたくさんあります。そういう意味では、民間側から官の人たちを巻き込んで、協力してもらえることは協力してもらう。そういうことをやろうと思っています。そのためには、官に言われたからするのではなく、われわれサイドから巻き込むためには、日立物流さんや大和ハウスグループが一緒になっていろいろなことをしていきたいと思います。

佐藤:そうしていかないといけないでしょうね。やっとロジスティクスが注目を集め出して、今では注目どころではなく、なくてはならない産業という認識をされていると思います。違うステージに行くのは今なのだという気がします。

秋葉:だからこそ、そこで働く人たちの給料、地位をどうやって上げるかということ、そこで働いてくれる人たちをどうやって集めるかということが非常に重要です。そういう意味で、日立物流さんは先頭を走っておられます。

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土地活用ラボ for Biz アナリスト

秋葉 淳一(あきば じゅんいち)

株式会社フレームワークス代表取締役社長。1987年4月大手鉄鋼メーカー系のゼネコンに入社。制御用コンピュータ開発と生産管理システムの構築に携わる。
その後、多くの企業のサプライチェーンマネジメントシステム(SCM)の構築とそれに伴うビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)のコンサルティングに従事。
2005年8月株式会社フレームワークスに入社、SCM・ロジスティクスコンサルタントとしてロジスティクスの構築や改革、および倉庫管理システム(WMS)の導入をサポートしている。

単に言葉の定義ではない、企業に応じたオムニチャネルを実現するために奔走中。

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