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コラム No.27-74

サプライチェーン

秋葉淳一のトークセッション 第3回 SDGsの時代、システムを提供する立場として情報を見せ、消費者を巻き込む株式会社フレームワークス 代表取締役社長 秋葉淳一 × 日本電気株式会社 ランスポート・サービスソリューション事業部門 スマートILM統括部 ロジスティクス事業企画グループ ディレクター 武藤裕美様

公開日:2022/06/22

文理に関係なく、キャリアは自らつかみにいく

秋葉:今年の「ロジスティクスソリューションフェア2022」は、変革を求められているなかでのイベントでした。コロナ禍での実施ということで、私も公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会(以下JILS)も反省する点はいくつもありますが、新しい形が少し見えたような気がします。

武藤:デジタルとオンサイトのハイブリッド型は、JILSとして今回が初めてでした。メンバーもあの手この手で一生懸命考えてやっていたので、そこは今までと違うと思います。これまで決まりごとや慣習などで変えられなかったところを、「ちょっと考えます」と持ち帰っていただき、新しいアイデアを出していただくことが増えました。

秋葉:私らがパネルディスカッションをしたとき、実は、会場にはほとんど人がいなかったのですが、ネット上で聞いた人たちもいて、会場にいなかったのに、「秋葉さん、聞いたよ」と言う人たちがけっこういました。サプライチェーンでもデジタル化が進んでいますが、同時に、JILSとしての見せ方も変わっていくということですね。

武藤:昭和の時代からずっと変わらなかったことがようやく変わると思いました。逆に、昭和が新しく感じる時代だという気もします。

秋葉:一回振り切って、その中で、昭和の良かったものだけをもう1回抽出し直すようなことが起きるでしょうね。

武藤:少し前はGAFAが素晴らしいというような雰囲気でしたが、やっぱり私は、GAFAの人たちが研究しつくしたJIT(ジャスト・イン・タイム)の仕組みは素晴らしいと思っています。それをつくった日本だからこそ成長できる、変化できる、起爆剤さえあればやっていけるという可能性を強く感じています。日本流の進化というところにチャレンジしていきたいです。

秋葉:真似をして追いかけるのではなくて、日本が日本として考えたものが生きてくる。だからこそ優秀な人であれば、それがエンジニアというくくりなのか、どういう言い方なのかわからないですけど、志を持った人だったら、エンジニアでも、文系でも、理系でもいいのではないかと私は思っています。

武藤:本当にそう思います。文理両方が必要な時代になっているので、文系の基礎を勉強しました、理系の基礎を勉強しました、だけでいいと思います。あとは、世の中を良くするために、それをうまく活用しながらどうしていくのかを考えるうえでは一緒です。

秋葉:ハードウェアやOS、セキュリティのところを作るような話ではない限り、文理はもう関係ありません。

武藤:そこはNECに専門の方がいるので、任せていただいて。本当にスペシャルな人たちはいるので、その人たちに任せて、使うところに近い部分は文理をあまり意識せずに、自分に限界値を作らずに、業界関係なく一緒にやればいいと思うのです。

秋葉:だからこそキャリアは与えられるものではなく、自らつかみにいくものです。チャレンジしたらいいのです。もしかしたら「違っていた」となるかもしれないけど、やってみないとわからないことはものすごくたくさんあります。

武藤:私は、「やりたいと思っていたらやれる」というのは、何歳でも変わらないと思っています。10代、20代、60代、70代でも、もっと言えば80代、90代でも変わらない。自分が何をやりたいかを見つけて、それをちゃんとやってみる。それができれば、けっきょくは自分が幸せになれるのではないでしょうか。

SDGsを考えて買う時代

武藤:私は、送料無料という広告やアピールをやめてほしいと本当に思います。「送料無料だし!」というコマーシャルがありますが、送料は無料ではないのです。「表現を変えましょうよ」と言いたいです。例えば、「送料はかかっているけど、トータルで値引きしてお返ししますよ」と言うのであればいいですが、当たり前に送料無料という言葉を使われてしまうのは、やめてほしいです。
SDGsの時代に、業界として泣いている人たちがいるのはあり得ないと思います。働き方改革、労働者不足と言っているのに、送料無料という表現はどうなのでしょうか。

秋葉:送料が無料なわけがないですからね。しかし、実は送料が無料ではないことをわかっていても、そういう表現があると誰もが送料無料を選びます。そうすると、無料だと言われているような業界に就職したいとは思わないですよ。

武藤:それでまた人が集まらなくなります。

秋葉:インターネットで物を売り始めた頃は、「店舗がなくて倉庫から直接出せるので、だから商品が安くできる」といった売り方をしていたところがありました。でも本当は違います。当時も、店舗とは違い、物流センターで、個別発送用に別の仕組みをつくり、一個一個をそれぞれのケースに入れるという面倒な作業を現場で対応していたのが実態です。

武藤:結局は誰かがやるところを倉庫側に持ってきて、しかも金額は一緒ですから、大変なことになっていましたよね。

秋葉:事実を伝えないままに、そうしたことが行われているということです。

武藤:1個必要だったら1個、3個だったら3個持ってくれば無駄がないというのは、エンドユーザーからするとそうなのですが、実は、10個入り、100個入りになっているものを全部解体して、この人は7個だから7個と、今でもやっているわけです。2ヵ月後にもう1回7個買うのであれば、10個で届いてもいいような気がしますが、それがそうではない。また、コロナ禍でトイレットペーパー等、ペーパー類が足りなくなったのに、それでも銘柄指定で仕分けています。物流現場の方からしたら、たまらないと思いますし、結果的に届くのも遅れるわけです。何でもいいから買うとなっていても、受発注はどこのメーカーのどのブランドがいくつと全部数えます。仕組み上そうしかできないということもありますが、世の中のオペレーションがそうなっているということですよね。
これを変えるためには、「プラットフォームは複数でも、緩くできるような世の中の仕組みにするためにはどうしたらいいか」が大事だと思います。ガチガチにして、これに合わせなさいでは無理なのです。条件を緩くできる仕組み、これまた深遠なるテーマですが。

秋葉:システムと物流は業界横軸です。縦割り業界の人たちは、業界ごとの立ち位置を目指します。当たり前ですが、メーカーは自分たちの会社で作ったものを買ってほしいし、小売業は自分の店で扱っているものを買ってほしいわけです。ですから、それぞれがそれぞれで競争するのは当たり前のことです。一方で、物流目線で見たとき、わざわざ形を変えたりすることが競争でしょうか。おそらくそれは違うでしょう。買ってほしいからという話と、そのエリアで消費される量とがまったく乖離しているのだとしたら、それは業界で話してほしいですね。100個しか買う人がいないのに、300個そのエリアに送ってどうするのかを話してほしい。売れないことがわかっているのだから、その200個を廃棄するか、横持ち(工場、倉庫、店舗、物流センター等、社内で行う拠点間輸送)で引き戻さなければいけないと、皆わかっているわけですから。

武藤:需要予測とよく言いますが、今やっているのは、ほとんどが売りたい人予測です。本来は、売りたい分と需要のギャップがあるのであれば、そこを縮める力を働かせる仕組みも必要だと思います。

秋葉:すごく重要ですね。フィジカルインターネットの概念ができあがったとしても、そこに無駄なものを流していたら意味がありません。効率は良くなっているけど無駄なものが流れている、ということでしかありません。

武藤:インターネットは、コンシューマーが使い過ぎてしまうと、ストッパーというか、アッパーがあって通信速度が遅くなります。そんなふうに緩くかかるような、そういうことができるといいと思います。

秋葉:ここでもまた、売る側、作る側の理屈だけではなく、買う側も巻き込んでいく必要があります。企業に対してだけSDGsを求めるのではなく、消費者自身も参加していくことができたらいいですよね。

武藤:SDGsに配慮したメーカーのものを買うと、確かに3円高いかもしれないけど、SDGs貢献だと思って選んで買う。そういうことが当たり前になってくるといいですね。

情報を見せなければ行動も変わらない

秋葉:小売業、卸、メーカーは、消費者がそう思っているだろうという前提でやっていることがたくさんあります。今、ロボットを使いやすくするために、ケース、荷姿の標準化をしているのですが、例えば、段ボール一つとっても意識が違います。段ボールまでが商品というメーカーもありますが、消費者は必ずしもそうではありません。消費者は、エコ、SDGs、持続可能といった言葉に敏感になっています。私たちはSDGsに対応することがプラスアルファだと思っていますが、敏感な消費者にとっては、対応していない時点でマイナスです。それが消費者の感覚になってきているのに、売る側と合っていません。だからこそ消費者まで巻き込んで、消費者が要らない、無駄というものを反映させていかないと難しいと思います。

武藤:段ボールが汚れていたらダメだという話はよく聞きます。以前、伝票を新しくしようとしていたとき、伝票の汚れ具合を見て、「このインクと紙ではダメだ。伝票が届いたときに汚れていたら、お客様に対して……」という話がありました。でも、着いた瞬間に剥がす人も多いですし、消費者はあまり気にしていないですよね。今はコロナ禍で置き配が当たり前になっていますが、当時は、真心とともにお届けするので、伝票も綺麗でなければいけませんでした。

秋葉:値札もそうで、同じ商品でも、百貨店ごとに違う値札を付けていました。そういったことがたくさんあります。

武藤:そういったところから変えていく必要がありますね。

秋葉:どこのメーカー、どこのブランドと、こだわって商品を買うケースも確かにあります。しかし、私たちが災害に遭って避難所にいるのだとしたら、ブランドやメーカーにこだわるでしょうか。機能を満たすものが手元に届いたら、それだけですごくありがたいですよね。災害という状況の中だからそうだ、という捉え方もできるかもしれません。ただ、そこからのことはすべてプラスアルファだとすると、どこまで我慢するかという話をしてもいいと思っています。
たとえば、災害時に被災地に届けるものは、いろいろな人が寄付して、保管されたりしていて、普通の商品管理とは異なります。普通の商品管理ではメーカーやブランドでコードを振っているのですが、災害の救援物資の場合、例えばラップであればどのメーカーのものでもいいわけです。40センチ幅のラップを何メーター、紙皿の直径何センチなどが必要な情報で、それ以外の情報は、本来は、需要を予測とブレさせる要因をどんどん作っているわけです。この辺りをどうやってコントロールしていくかです。「余分に送り込もうとしていますよ」とか、「けっこう余分に作っていますよ」とか、あるいは消費者の人たちにも、「今欲しいと思っているものはないけれども、類似品はありますよ」と言ってもいいのではないでしょうか。類似品の話でいくと、薬でジェネリックを選択する人たちが大勢います。確かに安いからかもしれませんが、効果が、機能が同じだったら、けっきょくそれでいいということですよね。

武藤:どこまで追い詰められたらそこに行き着くのでしょうか。コロナ禍でトイレットペーパーが店頭から消えたのは、記憶に新しいですよね。私も買えなくてすごく困ったのですが、毎日朝早くから並んで買っている人もいました。絶対にそんなに使わないと思うのですが、心配だから、不安だから、とりあえず買っておく。あるいは、息子や娘や孫に送ってあげる。そうすると、東京が消費地ではなくなっているのに、東京で買う。地方にも送られているのに、物流を使ってさらに地方に送るという、とんでもないことが発生しているなと思いました。ドラッグストアで「マスクはありません」と張り紙をしても、マスクはないのかと毎日聞かれるので、だんだん辛くなって、精神的に追い込まれてしまうという話も聞きました。

秋葉:これも、状況が見えたら行動が変わるかもしれません。けっきょく、あのようなことが起こったとき、自分の目の前で起こっていることしかわからないのです。例えば、サプライチェーン上の状況で、「ここのエリアのこの地点にこれだけの数が保管されている。それをデリバリーするところを今整備していて、2週間で整備できる」ことがわかれば、「2週間分プラスαで、3週間分あればいい」という行動になったかもしれません。

武藤:さらに、「それが困っている人たちを助けることになるのですよ」「募金と同じですよ」と言ったら、もしかしたら違う結果になったかもしれないですね。

秋葉:情報を見せるのがシステム屋の重要な仕事だと思います。

武藤:最終の消費者の方にも届くようにするためには、報道やメディア、今だとデジタルのサイトなど、皆さんが見ているところでどのようにプロモーションしていくかが大事だと思いました。

消費者とサプライヤー、両者の目線が必要

秋葉:お客さんに提案していること自体の価値を、日本は認めてもらいづらい国ですよね。提案するアイデア自体が本当は価値なのですが、そこにお金を払っていただくことは稀です。

武藤:本当にそう思います。「提案はただだから」と言う会社にたくさん提案したとして、確かに100あるうち良いアイデアは1しかないかもしれませんが、その1もただで聞いて、他の会社で転用されたりするわけです。そういうことが当たり前にありますから。そうすると「この会社は10年後にあるかな」と本当に思いますね。

秋葉:それは、自分がそこに転職しても、自分の価値を見てくれないと言われているのと同じです。また、自らがアイデアを出せないから「提案しろ」と言っているわけですから、そのような会社に高度物流人材が入ることはないでしょう。

武藤:「お客様のためを思っているなら、提案するでしょ」と言う会社もあります。世の中はこっちとこっちだけで決まっているわけではなくて、回り回っているので、逆のパターンもあるし、様々なパターンがあります。多角的に見て、パートナリングという考え方でやっていくべきです。けれども、どうしても「今は発注者側だから」となってしまうので、そこのマインドも変えたいですね。
あるときはお客様だけど、あるときは逆の受託する側ということもある。全員が消費者であり、サプライする側であるという両面があります。「ただで持ってきてよ」と言っているけど、作る側になった瞬間に、「ただで出せるわけがありません」と言ったりするわけです。ですから、皆が両方の目線で見られるようになったほうがいいと思います。

秋葉:すべての人が、ビジネスにおいては提供側であり、生活では消費者であるわけですから、武藤さんのおっしゃる「パートナリング」の考え方は、持っておくべき価値観ですね。

*所属部署名など、対談時点(2022年3月)のものです。

過去のトークセッション

土地活用ラボ for Biz アナリスト

秋葉 淳一(あきば じゅんいち)

株式会社フレームワークス代表取締役社長。1987年4月大手鉄鋼メーカー系のゼネコンに入社。制御用コンピュータ開発と生産管理システムの構築に携わる。
その後、多くの企業のサプライチェーンマネジメントシステム(SCM)の構築とそれに伴うビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)のコンサルティングに従事。
2005年8月株式会社フレームワークスに入社、SCM・ロジスティクスコンサルタントとしてロジスティクスの構築や改革、および倉庫管理システム(WMS)の導入をサポートしている。

単に言葉の定義ではない、企業に応じたオムニチャネルを実現するために奔走中。

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